109 クリスティーヌの決断
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クリスティーヌは3日程経った頃に目を覚ましたのだ。
腕や足、身体のあちらこちらと軋むように痛い。魔力を全て放出しようとしてたのだ。身体がばらばらにならなくて良かった方だ。
ぼぉっ。とする頭から、少しづつ周りの状況を確認出来るようになる。
起き上がろうとすると、手元に手紙があった。
時の魔女からだ。
クリスティーヌが魔力を込め開封する。クリスティーヌ自身の魔力を流さないと開封できない仕様になっているのだ。
時の魔女の事だ。
きっと他の者が開けようものなら、容赦なく呪いを発動させていただろう。
クリスティーヌは何度も中身を確認するが、封筒の中には何も入っていなかったのだ。
封筒を逆さにして振ったり、覗きこんでも中身は見当たらない。
入れ忘れたのか? と疑問に思ったら、魔法陣が書かれた一枚の紙が現れたのだ。
ん?
これは……古代魔法陣かしら? 見た事ない陣だわ……
クリスティーヌは、魔法陣に触れると黄色い光を発し、クリスティーヌも含め辺り一面を光で覆い尽くしたのだ。
"久しぶりだね。クリスティーヌ"
"お久しぶりです"
クリスティーヌの前には、艶のある黒髪を一纏めにした長身の美女がいた。
"相変わらず、若さには敏感ですね"
ふふふ。と笑うクリスティーヌに時の魔女は容赦なく、額に青筋を立てながら頭に鉄槌を食らわす。
"いっ……たいですわぁぁ‼ "
"嬢ちゃんが減らず口を叩くからだよ"
頭を抑え、涙目になるクリスティーヌに時の魔女はもう一発いるかい? 、とばかりに拳を握る。
実体が無いのに、何故クリスティーヌに鉄槌を下すことが出来るのは、時の魔女の魔力が強いからなのだ。
実体無き物を具現化する魔術、古代魔術の一つである。
"で? 何の御用ですか? "
"嬢ちゃんは、まだまだ気持ちのコントロールが出来ない。このままでいくと駄目になっちまう。今からでも遅くない。私の古い知り合いの所に行きな"
クリスティーヌは少し考える。
確かにクリスティーヌ自身、他の同年代と比べ幼稚な部分もある。そして精神面でも脆さが出てしまい、邪心に操られていた部分もあるのだ。
アレクシスやエスイア、ジュイナがいなければ、クリスティーヌは邪の道へと落ちていただろう。
"何か裏があるのですね。時の魔女……いえ、ベリア様"
"おやおや、私の名前を知ってるとはね。行くってことかい? "
"もちろん。強くなる為に"
クリスティーヌはにっこり笑い、ベリアの言う道を選ぶのであった。
その日のうちに、クリスティーヌは手筈を整えアレクシスと念話を送り合う。そして、王宮の医務室からこつ然と消えたのだ。
一言も無く消えた事によって、王宮の医師や警備の者達が慌てたが、アレクシスのお陰で何とか収まったのである。
何をしようにも迷惑な令嬢、クリスティーヌなのだ。
エレノーワ家には、クリスティーヌからの早便が届いており、事情は伝わっている。
だが、誰もクリスティーヌの行き先を知らされていないのだ。
そんな中、他の教会や施設にも異種同体が現れた報告が入る。
キメラ討伐の為に、アレクシスも現場へと向かう。
向かった先々では、犠牲になった者も多くいた。魔法師達も出動したりと、少しづつではあるが、ニズカザン帝国に不穏な空気が漂い始める。
C組の生徒達はというと、クリスティーヌが居ない事に気付いていない。
元々、有事の際に国から協力要請を受けてその場に居なかったせいもあり、いつも通りの光景としてとらえられている。
クリスティーヌもその事をわかっていたのかは分からないが、暫く学園に顔を出さなかったのだ。
♢♢♢♢♢♢♢
クリスティーヌは、ペンブレッド山の麓にある古びた小屋に来ていた。
「で? 何故、俺達も? 」
「ベリア様の推薦よ」
「ベリア様? 」
「時の魔女よ」
「時の魔女ぉぉぉ?! 」
クリスティーヌの言葉にエスイアとジュイナは、一斉に声をあげ驚いたのだ。
そう。
この二人を連れてくるように指示したのは、時の魔女ことベリアである。決して、何時ものクリスティーヌの巻き添えではないのだ。
アレクシスも名指しで行かせたかったのだろうが、ベリアの事だ。ニズカザン帝国とアレクシスの内情も、お見通しの上での提案だろう。
ペンブレッド山に来るまでクリスティーヌ達三人は、クリスティーヌが眠っていた時の事、冷静にならず感情的になった事など色々と話しをしたのだ。謝罪をしたり、説教をしたりと三人はいつも通りのチームに戻っていったのだ。
そして、今からエスイアとジュイナと共に精神魔力の修行すると言うことも伝える。
ベリアの知人と聞いて、エスイアとジュイナは顔面蒼白になったのは言うまでもない。
絶対、恐ろしい修行だと確信したのだった。
「さぁ、取り敢えず中の方に挨拶をいたしましょう」
クリスティーヌは張り切って、小屋の戸をあけようと取っ手を握りしめた。
すると小屋の戸に魔法陣が現れ、クリスティーヌは激しく弾き飛ばされたのだ。
「クリスさん、大丈夫ですか?! 」
「あいたたた……ジュイナ、大丈夫。少しびっくりしたけれどね」
「お前は人間じゃないな‼ 」
エスイアがそう言うのも訳がある。
クリスティーヌが吹き飛ばされた後ろには、数メートル先にかけて木々が吹き飛び、土が耕されたのか? と思える程にえぐれていたのだ。
常人であれば、全身打撲で気を失う威力だろう。
「えへへ。エスイアに褒めて貰えるとは、なんだか照れくさいわね」
「いや、褒めてねーーし‼ 」
クリスティーヌの発言により、エスイアが突っ込み煩く言い合いをしながら騒いでいると、小屋から声が聞こえてきたのだ。
"お前達は誰だ?! "