10 テュコング討伐へ
前回の続きです。
一応雪山編は3つに分けようかと思ってますが、上手く行くかわかりませんのでご了承頂けたら幸いです。
テュコング討伐作戦が迅速に練られ、ガウスとレンジャー達、クリスティーヌとマリエルは最終確認をしあうのであった。
このテュコング討伐の要はクリスティーヌにかかっているのだ。
テュコングとは、雪山に生息する氷属性の魔獣でゴリラに似た容姿をしており尻尾がとても長いのが特徴だ。
オスもメスも凶暴なのだが滅多に人前には出ない。だが、オスの発情期になるとたまに、若い人間の女性を攫い満足するまで卑猥な事をする変態魔獣なのである。そして満足すると、女性を捨てるのだがその後もまた厄介なのだ。メス達が嫉妬し、人間の女性を遊ぶようになぶり殺すのだ。早く救出しなければ、捕まったレイラス嬢の貞操と命が危ないのである。
「10分後に出発する!」
討伐隊のリーダーがドスの聞いた声で叫ぶと、周りのレンジャー達は力のこもった声で返事をする。
クリスティーヌは、自分に身体強化を施し手に魔力を込め魔法陣を展開する。
「来なさい。レオパンサー」
青白く光る魔法陣の上には、豹に似た頭に小さな角が2本生えた仔馬程の大きさの魔獣が現れたのだ。クリスティーヌが召喚したこの魔獣レオパンサーは、テュコングの唯一の天敵なのである。
レオパンサーの通常種は薄いベージュやブラウン系の色をしており、クリスティーヌの使役するレオパンサーは希少種と言われるもので薄ピンクをしているのだ。
風と土属性の両方を持ち、希少種はさらにもう1つの属性を持っていると言われる。
スピードが速くパワーも強い為に捕獲するには至難の業なのだが、クリスティーヌはいとも簡単に手に入れるのである。その話はまた別のお話なので割愛するとしよう。
準備が整った頃、出発の合図がされクリスティーヌ達はテュコング討伐に向かうのである。
空から雪がはらはらと舞い落ちて、地面の雪と重なり少しづつ雪が分厚くなってくる。
「確かこの辺りの筈だわ」
令嬢が攫われたという場所に着き、周辺を討伐隊が捜索する。テュコングは木に登って移動するので雪山では余計に追跡が困難なのだ。
「レオパンサー。テュコングの場所がわかる?わかるなら案内をして頂戴」
クリスティーヌはレオパンサーの顔を両手で優しく包み、目と目を合わせながら声をかける。
すると、レオパンサーは甘えた泣き声をだし、後ろについて来いとばかりにクリスティーヌの先へ歩き出す。
「お父様!レオパンサーがわかるみたいですわ!わたくしの後について来て下さい」
ガウスやテュコング討伐隊のレンジャー達はクリスティーヌの支持通りに後ろからついていく。
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その頃、攫われたレイラスは洞窟の奥に囚われていたのだ。
何か漁るような音が近付いてくる。自分を攫ったゴリラが黄色い目をギラギラとさせ、よだれを垂らしながらレイラスの前にやってきたのだ。
レイラスは恐怖のあまりに声を出すことができなかった。しかし、何もしないで殺されるよりかは少しでも抵抗した方がマシだと考え、鼻に綿を入れリズが護身用にくれた瓶を取り出す。蓋を開け、一気に頭上から液体を自分に流しかけたのだ。
途端に洞窟内は、卵の腐ったような、納豆の匂いのような、生ゴミの匂いのような、ありとあらゆる臭い物全てが混ざった鼻がもげそうな異臭が立ち込めたのだった。
テュコングはあまりに強烈な匂いを嗅いでしまい、これは堪らないとばかりに慌てて外へ飛び出したのである。
何とか一時期ではあるが、リズのお陰で危機を乗り越えたレイラスは必死に次の手を考えるのであった。
ここは何処かの洞窟かしら?
リズの事だからきっと、誰かに知らせているわ。助けが来るまでの間、何とかしなくちゃいけないのね。
このままここにいてもきっと何も出来ないわ。
レイラスは意を決し、壁伝いにテュコングが走り去った方向へとゆっくりと歩きだしたのだ。
灯りを点けたいところだが、無闇矢鱈に魔法を使うとテュコングにすぐバレてしまうだろう。
ここは我慢して、真っ暗の中手探りだけで進まなくてはいけないのだ。
次で終わるか微妙なところです。
鼻栓令嬢出来上がり。




