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106 変わり果てた場所

いつもありがとうございますm(_ _)m

ブックマーク等励みになっております。


 デニスと共にクリスティーヌ達は地上へと戻り、そのまま孤児院へと向かったのだ。


 王宮には早便を出し、現状を伝えている。


 騎士団達は国境付近で、異質同体(キメラ)に手を取られている。こちらへの派遣はなさそうなので、この面子で調査するしかない。

 危険と察すれば直ぐに撤退命令も出ているのだ。


 孤児院へと着いた一行は、以前に見た外観と違う事に驚きを隠せないのだ。


 以前の孤児院では、子供達の笑い声や泣き声等が聞こえ賑やかな状態だった。


 そして周りには緑や花、小さな畑があり質素ながらも笑顔が耐えない孤児院だったのである。


 だが、クリスティーヌ達の前にある孤児院は全くその面影もない。


 建物の窓は壊れ廃墟と化していた。

 草花や畑は枯れ果て、子供達の笑い声も聞こえず、人が一人もおらず異臭が漂う。


「一体何が起きたと言うんだ? 」


 デニスが悲痛な表情で呟く。


 クリスティーヌ達は暫く呆然とこの光景を見ていたが、デニスの言葉で我に返り、周辺の調査を行う。


 孤児院にいた子供達、そして孤児院の先生達は一体何処へいったのだろう。


「何かが燃やされたような跡があちらにありました。そこからこの異臭がするかと……」


「何が燃やされたんだ? 」


「わかりません……何か獣のような塊でしょうか……? 」


 スマイリとエスイアは二人で異臭の元となっているであろう焼け焦げた物体に近付いた。


「くっ……臭いが凄いな……」


 卵が腐った臭いと肉が焦げきった臭いが混じり、エスイアは腕で鼻と口を抑えながらも

 その物体を調べる。


 顔のような物が2つあったようだ。一つの顔のような物は潰れており、一つの顔のような物は半分焼けて焦げ付いている。


「まさか……これは……」


 エスイアとスマイリは、直ぐにデニスを呼ぶ。


「この焼け焦げた物体は、間違いなくキメラだ。きっとこの孤児院は襲撃を受けたに違いない」


 エスイアの言葉に、デニス達は絶句してしまう。


 襲撃を受けたとなれば、子供達はどうなったのか。

 調査より先に、子供達の生存確認を始めたのだ。


 孤児院の建物内に入ったクリスティーヌ達は、中の光景に言葉を発声られなかった。


 壁には血飛沫の後、床には血が溜まり数人の子供達の残骸が折れ重なるように積み上げられていたのだ。


 血生臭い臭いと死臭が建物に漂い、鼻を覆いたくなるが誰一人として覆う事なく、怒りを押し込めている。


 奥の開いた扉から、何か物音がした。


 クリスティーヌは唇を噛み締め、右手に魔力を込め、言葉を発しないまま奥の開いたままの扉へと向かい部屋の中へと足を踏み入れたのだ。


 そこにはキメラが人間を食しており、側には黒のフードの者がいた。黒のフードの者は、孤児院の先生達と子供達の屍を剥がそうとしている。


 子供達を必死に守ろうとしたのか、地下への扉を塞ぐように絶命している孤児院の先生達が死しても尚、結界を紡いでいたのだ。


「許さない……」


 クリスティーヌの言葉に黒いフードの者は驚き、直ぐにキメラに命令をしたのだ。


 キメラは命令通り、クリスティーヌに血の滴る牙を剥き出し飛びかかってきた。


 クリスティーヌは、魔力を込めた右手でキメラの首を掴むと魔力を放ち、キメラの首を意図も簡単に吹き飛ばした。


「な……貴様……誰だ! 」


 黒いフードの者は叫ぶ。


「言う必要はない」


 返り血を浴びたままの怒りに満ちたクリスティーヌは、ゆっくりと歩き、空中に紋様を描きそのまま黒いフードの者へと放つ。


 紋様は生きているかのように、黒いフードの者に絡み付き皮膚へと吸収されたのだ。


「は……、はっはははは‼ 何だこれは‼ 貴様、魔法は失敗だったな‼ 」


 高らかに笑い、小馬鹿にした罵倒を幾度となく言い放ち、黒いフードの者はクリスティーヌに向かって魔法攻撃を放とうとしたのだ。


 しかし、魔法が使えないのだ。それどころか、身体の内側から刺すような痛みが全身に走り、耐え難い苦痛が襲ってきたのだ。


「な……なん……だ?! 何が……起きて……いるの……だ……‼ 」


 痛みの余り、立っても居られずその場へ倒れもがき苦しみ出す。


 クリスティーヌはその姿を見ながら、今までにない冷たい声で言葉を発したのだ。


「これからが始まりよ、簡単には死なせない」


 更に空中に紋様を描き、ブツブツと詠唱を行い、更に魔力を込め、倒れて苦しみ出している黒いフードの者へと放ったのだ。


「や……やめろ……」


 黒いフードの者は青白い炎に包まれ、叫び声を上げ続ける。


 クリスティーヌの後ろにいたエスイアは、直ぐにクリスティーヌを止める。


「やめろ……、クリス……」


 青白い炎に包まれる黒い塊を、無言で見つめるクリスティーヌを制したのだ。


 エスイアはこれ以上にクリスティーヌに声を掛けれなかったのだ。ここまで静かに怒りに満ちたクリスティーヌを見たのは初めてだったのだ。

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