103 地図の秘密
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遺跡の調査を終えたクリスティーヌ達は、一旦、王立学園へと戻って来たのだ。
アレクシスは先に、異質同体についての報告と遺跡の報告をキース達にする為、そのまま王宮へと向かったのである。
アレクシスから報告を受け、ニズカザン帝国の騎士団や魔法団は直ぐに緊急会議を行い、キメラやメンドラ国について対策を練るのであった。
メンドラ国の国境付近には新たな魔導具を設置し、キメラ対策を行なう。他の国境にも念の為に魔導具を設置しておく事になったのだ。
そして、ラスダンテ以外の他の遺跡についても調査団が組まれ、即日派遣されたのだ。
全ての国境警備隊にキメラの情報を収集するように伝令を送る。
クリスティーヌ達は、またもやお偉いさん方に聴取を受けるのか、とうんざりした顔付きで構えていた。
だが、報告者はニズカザン帝国の第二王子アレクシスだった為、聴取はしなくても良いと判断されたのである。
知りたい情報は全てアレクシスからの報告で済んだと言う事だろう。
クリスティーヌ達からすれば、長ければ何時間も拘束される聴取なので安心したのだ。
現在クリスティーヌは、コダックにより、補習授業を受けていたのだ。
有事の際に駆り出された時の功績が評価されている。しかし、建物破壊を一年のうち何度も行っている点で減点されているのだ。
エスイアとジュイナはクリスティーヌのとばっちりにより連帯責任として、三人仲良く机に向かっている。
元々、三人は優秀な成績をおさめているので、一部の教師からは補習免除しても良い、と意見が上がっていたが、C組の担任コダックにより、却下されたのは言うまでもない。
「この量は多すぎませんか? 」
「コダックせんせー。鬼ー、鬼だーー」
エスイアとジュイナが小言を漏らしながらも黙々と課題をこなしている中、クリスティーヌは何やら不穏な作業を行っている。
「クリスさん? 何やっているの? 」
「ふふふ。コダック先生へのお返しですわ」
ジュイナは、口角を片方だけ上げ、にやりと笑うクリスティーヌの姿を見て、悪寒を感じたのである。
「クリスティーヌ、そんな事よりさっさと課題をやった方が良いんじゃないか? 」
「課題? そんなものとっくに終わらせましたわ」
エスイアはクリスティーヌの課題の山から次々と冊子を抜き取り、中を確認していく。
「本当にやってある。数式は苦手だったんじゃなかったのか? 」
「ええ。嫌いです。ですが、ラムさんから教わって簡単に解けるようになったの」
クリスティーヌは、魔法式の数式がとてつもなく苦手であったのだ。
古代魔法の魔法の為に、先ずは基礎中の基礎から徹底的に学び直したのだ。
クラスメイトのラムから何度も何度も数式のコツを教えてもらい、今では古代魔法の数式でも解けるようになっていたのだ。
「クリスティーヌも凄いが、ラムの教え方がよっぽど上手いんだな」
エスイアとジュイナは、ラムから数式を教わろうとしているのである。
ラムの数式の教えの事を聞いて、すっかりとコダックへの仕返しを忘れていたエスイアとジュイナは後日、また課題を渡される事となったのだ。
クリスティーヌはラスダンテ遺跡で一つ気になった事があり、エスイアとジュイナが課題をこなしている間、王立図書館から持ってきた古代文字やラスダンテ遺跡についての資料を閲覧していたのだ。
中には持ち出し禁止とされている本もあるのだが、クリスティーヌはお構いなしに自習室へ持ち込み閲覧をする。そうである。勝手に持込んでいるのである。
目当てのものは中々見つからず、目が虚ろになり、睡魔に負けそうになってきた頃、持ち出し禁止の閲覧権限付の古い歴史書の一つの頁で手が止まったのだ。
現在の古代遺跡の地図と照らしてみると、だいぶと変わっている。無くなっている遺跡もあるようだ。
ふと、クリスティーヌは何か違和感を覚え、旧古代遺跡と現古代遺跡を重ね合わせてみる。
うーーん……
気のせいなの?
何にも起きないわね。
何かがおかしいのよね……
気のせいか、と首をかしげながら地図を見比べ手に少し魔力を込めてみる。
すると、先程まで両方の地図になかった線が幾つも記されたのだ。
旧古代文字も薄っすらと文字も浮かび上がる。
その線は、地下通路か隠し通路か何かの道のようだ。ニズカザン帝国の古代遺跡や教会と繋がっている。古代遺跡の多くは水脈や地脈の上に建っているものが多い。
もし、あの浮かび上がった不思議な文字のトラップが発動していたなら、ニズカザンはどうなっていたかがわからない。
クリスティーヌは一瞬にして顔を青ざめた。
きっとアレクシスの事だ。
自身で調べているが、この事に気づいているのかしら?
報告はしなければ、また他の遺跡でもキメラが置かれているかもしれない。
この地図の古代文字や魔法陣も気になるわ。
魔法陣は見た事ない模様。もしかして、魔法陣ではなくて、何かの紋様?
クリスティーヌは古代文字と並行して、異質同体の資料に目を通す。
黒い魔石といい、キメラといい、ラスダンテ遺跡の古代文字といい、ニズカザン帝国は続けておかしな事が起こり過ぎている。
クリスティーヌは念話を通してアレクシスに語りかける。
アレクシスはクリスティーヌに応え、直ぐに自習室へと来ると、クリスティーヌの話を聞き
対策を練る事にしたのだ。
以前、メンドラ国の国境付近でキメラの残骸が目撃されていると聞いていたが、既にニズカザンに持ち込まれているだろう。




