100 スパルタ令嬢
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サバイバル戦に出ていた王立学園の生徒達は、学園に戻ってきた。負傷した生徒は学園ではなく、王立医療機関へと運ばれたのだ。
黒いフードの者達の襲撃により一部の生徒が負傷した件で、その様子を見ていた生徒達の聴取で暫く自習が続き、王宮や学園内の大人達は慌ただしく動いていた。
マーガレットは、騒ぎに紛れて無人島内で生徒達と合流していたのだ。
マーガレットとクレガン男爵については、内密に調査中との事だ。クリスティーヌ達にも箝口令が敷かれている。
下手に動けば、煙のように巻かれ、水面下に潜ると判断したアレクシスやキース達は、マーガレットとクレガン男爵を泳がす事にしたのだ。
クリスティーヌは学園の許可を貰い、アレクシスとエスイア、ジュイナと共に訓練場にいたのだ。自習時間を使い魔法修得に使う事にしたのである。
「違います‼ もっと繊細に丁寧に‼ 」
「ク……クリス……以外とスパルタなんだな……」
「優しい方です。エスイアとジュイナの時は、もっとシゴキましたの」
うふふ、と笑顔で答えるクリスティーヌが怖くなってきたアレクシスは、次からはクリスティーヌではなく、エスイア達から教わる事に決めたのである。
側で見ていたエスイアとジュイナは、クリスティーヌの地獄の特訓を思い出し、哀れんだ顔でアレクシスを見守るのであった。
「エスイアとジュイナ、そちらで見ているだけでは暇でしょう。別の魔法を覚えて頂きたいのです」
エスイアとジュイナは、後退りをしたが時既に遅し。後ろにはフェンリルが居たのだ。
"お嬢の言うことを聞いてた方が無難だと思うが? "
フェンリルの言葉に二人は諦め、アレクシスと共に古代魔法の修得に励むのである。
三人は、クリスティーヌから古代魔法の簡略式を教わるが複雑過ぎるが故に、頭を悩ますのだ。そして古代魔法は現代魔法より、魔力のコントロールが難しく修得するのに時間がかかるのだ。
クリスティーヌは黒いフードの者達との対峙を見据えて、アレクシスとエスイア、ジュイナに古代魔法の一部を使えるようにしたいのである。
出来れば、C組の全員にいや、王都の魔術師達にも修得して欲しいのだが、何処までハミルの息が掛かっているのかわからない。
「エスイア。そこは力を弱めて」
「こ……こうか? 」
「そう。いい感じだわ。あ……ジュイナ、複雑に考えずに。気持ちを穏やかに」
「深呼吸する気持ちよね……」
「アレク‼ ちがーーう‼ 優しく繊細に‼ アレクは魔力が高いから集中しないと魔力が暴走するからしっかり集中して‼ 」
クリスティーヌは伸びる扇を大きくし、思いっきりアレクシスの後頭部に叩き込む。
鈍い音と鈍い声が聞こえ、エスイアとジュイナは驚きアレクシスの生死を確認する。
"王子? だ……大丈夫? ……ではないよな……うん…… "
"……生きて……ますか? 痛そう。お大事に……"
「ア、アレク様‼ 起きて下さい‼ 」
フランが側にかけより、クリスティーヌの扇で叩きのめされたアレクシスを起こすのだ。
「くぉらぁぁぁーー‼ フラン‼ 誰が起こせと言ったの?? キースもそうでしたが、フランもアレクに甘いですわ‼ ほらほら。さっさとそこを退いて頂戴」
クリスティーヌは鬼の形相でフランに言い放ち、無理やりフランからアレクシスを引き離したのだ。
"クリスさん、アレクシス王子にはスパルタね"
"王子には悪いが、俺じゃなくて良かったと思ってる"
"同感だわ……"
エスイアとジュイナは、自分達に火の粉が飛んで来ないように、キビキビと特訓をする。
クリスティーヌのスパルタぶりは、グラッサ家から受継いだようなものなのだ。
「アレクは、魔力も高いし才能もあるんだから、さっさと習得して貰わないと困りますわ。甘ちゃんはまだまだ変わってなさそうですがね‼ 」
クリスティーヌはアレクシスに思いっきり悪態をつく。普通ならば、王子に対しての不敬罪で処罰される所だろう。
だが、クリスティーヌは別である。国王、王妃等からスパルタ方式での特訓を許可されているのだ。古代魔法の打診をしたのはクリスティーヌなのだが、何故か逆にお願いされたのである。
「クリスは昔から手厳しいな……。僕にそこまで言う令嬢はクリスしかいないな……」
アレクシスは呟き、クリスティーヌに焼きを入れられる前に特訓を開始する。
徐々に魔力のコントロールが出来るようになってきたのか、直ぐに浄化魔法を使えるようになったのだ。
"流石、王子だな"
"やっぱり、すごいわね"
「お二人とも。感心する前に、魔力コントロールが均等ではないわ。他所見せず、集中してしっかりやる‼ 」
クリスティーヌの激にエスイアとジュイナは焦りつつも、集中して魔力コントロールをするのである。
休憩にはC組の皆が用意してくれたスペンサー特製ドリンクを飲み、魔力や体力を即回復させ、また特訓するという事を、何度も繰り返ししたのだ。
勿論、寮へ帰っても休む暇はない。流石に魔力放出は禁止なので、魔法式を覚えたりするのである。
アレクシスは古代魔法の数式を初めて見た時、口を開けたまま固まってしまったのである。学年上位に入るアレクシスでも難解だと思われる数式を、クリスティーヌは淡々と解くのである。
アレクシスがクリスティーヌを褒めると、すかさずエスイアが、古代魔法の簡潔式のみだから。普通の授業は悲惨だぜ?、とこっそり耳打ちをしていたのだ。
地獄耳のクリスティーヌは、エスイアの言葉を見逃さず課題を10倍にして、やり返したのである。
クリスティーヌ達が、練習場にて古代魔法の魔力コントロールを習得している間、他のC組の生徒達は平和に魔法式の自習勉強をしていたのだ。




