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9 雪山ですよ

いつもありがとうございます。見て頂ける方がいて感謝です。更新遅くなりましたが宜しくお願い致しますm(_ _)m

 デジュの樹が丸裸になり真っ白な雪が降り続く季節になった。


 クリスティーヌは父ガウスと侍女のマリエルと共にメイダント山に雪遊びに来ている。


 メイダント山は帝国の北の位置にあり、年中雪が降り続く山なのだ。

 氷草や氷系魔獣が生息しているが、人が居てる場所には滅多に来ないので雪遊びが堪能できる娯楽の場所として人々から人気があるのだ。


 クリスティーヌは防寒をしっかりとし羊毛たっぷりのブーツを履くと、自分の肩幅より少し大きめの長方形の鉄板にブーツを装着し固定をする。ブレードボードだ。この国ではブレードボードが雪の季節に人気あるのだ。


 ブレードボードとは、長方形の鉄板にブーツを固定し足から魔力を少し注ぐと動く、ニズカザン帝国で人気の遊びなのだ。

 冬は雪山、夏は海で気軽に遊べるのだが少しコツがいるので練習は必須なのである。魔力が少ない者は魔石を上手く使い、コントロールして滑るのである。魔力が多すぎると板が耐えきれず、大破してしまうので微量で十分なのだ。


「お嬢様! 準備ができましたよ」


 マリエルがそう言うとクリスティーヌは嬉しそうに白い息を吐きながら返事する。


「マリエル!ありがとう! 今日は障害物回避の仕方を教えて頂戴! 」


「かしこまりました! お嬢様は覚えが早いので教えがいがあります! 」


 そう、マリエルはブレードボードの上級者なのだ。学園内のブレードボード大会で好成績をおさめる程の腕前なのである。


「進行方向に身体を使ってカーブを描くように進むんです、その時足に魔力を込めるのを忘れちゃだめですよ」


「こ……こう、かしら? 」


 恐る恐る言われた通りにすると、ノロノロと進み障害物を1つかわせた。


「そうです! 上手です! 慣れますと、上から滑っている時でも自然と出来るようになりますよ」


 クリスティーヌはコケてもぶつかっても必死に練習をするのである。その先にある目的はただ一つ。魔獣捕獲と魔草の為だけにあるのだ。

 この時の練習が後に役に立つとは知らないクリスティーヌである。


 クリスティーヌが何度目か分からない位に滑り障害物にぶつかった時、何処からか女性の悲鳴がしたのだ。


「誰か! 誰か助けて下さいませ! 」


 女性の金切り声が聞こえたかと思ったら、何処かの貴族の侍女なのか転がるように走ってきたのが見えた。


「お嬢様、どうなさいますか? 」


「決まってるでしょ? 少しでも力になるなら、行くべきよ。それに魔獣関係の匂いがプンプンするわ」


 口角を上げ嬉しそうな顔をクリスティーヌを見ながら、お嬢様は魔獣探知機がついてるのかしら?、とマリエルは一瞬考えるのである。


「どうなさったのですか? 」


 マリエルが声を掛け、クリスティーヌは喜ぶ顔を必死に抑え何処かの貴族の侍女であろう人物の話を聞くのだ。


「お……お嬢様が! レイラスお嬢様が魔獣に連れ去られてしまったんです‼ どうか助けて下さい! 」


 マリエルは必死になる侍女を宥め、落ち着かせて他の情報を聞き出すのである。


 サーモス伯爵家のレイラス嬢とこの侍女リズは、二人でこの山に遊びに来たそうだ。ここから少し上にある展望台へと上がり、景色を堪能していたらしく、その帰りの雪道で森から数体のゴリラのような魔獣が現れ、抵抗する間もなくレイラス嬢を攫っていったという。


 クリスティーヌは少し考えてマリエルに耳打ちする。


「きっとテュコングの仕業ですわ。早くしないとレイラス嬢が危ないですわ。父に早く連絡しなければりませんわ」


 マリエルは頷き、すぐさま魔石を取り出し念を込め地面にぶつける。モクモクと赤い煙が立ち昇る。そう。これは1回限りの使用だが、緊急用の"狼煙"の魔石だ。


 狼煙を見たガウスと数名のレンジャーがすぐさまクリスティーヌ達の元に集まってきたのだ。


 ガウスとレンジャー達に状況を説明し、早速テュコング討伐隊が組まれたのである。


「お父様! 私も同行致します! 」


「駄目だ! テュコングが危険な時期だと言う事はお前もわかっているだろう? 」


 ガウスはクリスティーヌを全力で止める。


「わかっています。ですが、テュコング討伐には私の力も必要だとお父様もおわかりの筈です。マリエルが側に同行し、魔石も持ちます。魔獣も召喚して共につけますのでお願いします‼ 」


 クリスティーヌは必死にガウスに訴える。


 ガウスはクリスティーヌが言う事が最もなので反論ができずにいた。だが人命がかかってる以上、自分の娘だけ庇う事はエルノーワ家の真髄に反する。ここはクリスティーヌの提案を呑むしかないようである。


「苦渋の選択だか、やはりそれしかないな」


 ガウスはゆっくりと頷き、クリスティーヌに早く用意をするよう指示をし自身もクリスティーヌが入った隊列を考え直すのであった。


 空から雪がゆらゆらと舞い降り、少しづつ日が落ちてきていた。地面には更に雪が積もっていくのだった。

次も雪山編です。誤字脱字ございましたら申し訳ありません。

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