2.突撃依頼!!
「まぁ、ここじゃあ狭いし、奥の部屋でゆっくり話そうよ。」
青年が私たちを奥の部屋へ案内すると、おしゃれなティーカップと菓子が並べてあった。
アンティーク調の椅子に腰掛けると長年使っているようなミシッとした音が鳴った。
「まずは僕の名前を紹介するよ。僕はトワ。みての通りここの店を営んでいるんだ。最近は店の雰囲気が怪しいって言われててね。みんな一向に足を踏み入れてくれないんだ。どこの店よりも価値があるものばかりおいているのに...」
悲しげな微笑みを浮かべたトワは私たちにすぐ取り繕った笑いを見せた。
「それで、依頼というのは?」
話を戻そうと真琴が本題に切り込んでいく。
「僕の妹のことなんだ。名前はメル。今まで元気だったのに急に病気を患ってしまってね。医者からは短期間で治る軽い症状のものだと言われているけど、どうも信用はできないんだよ...」
「そこでその原因を私どもが追求しろと言うことですか?」
「いや、メルが病気になった心当たりがあるんだよ。ここから15分ほど歩いた森のなかに綺麗な湖があるのは知ってる?」
確か、女神がいると噂されている湖があるとお客さんに聞いた覚えがある。
浜浦湖といって水が透き通っていて森も自然豊からしい。
「聞いたことは...あります。」
「その湖に彼女は水を汲みにいったあと汲んだ水を飲んで病気にかかった可能性があるんだ。」
「でも神様が宿っているはずの湖に病気のもとになるものがあるのかしら。」
アバターを宿している人間が湖を管理しているのなら水に問題があることは決してなってはならない。
でもなぜ彼女が病にかかってしまったんだろう。
他にも病気になったひとがいるかもしれない。
トワから案内の地図をもらい湖へ向かうことになったんだけど、できれば案内して欲しい。これから妹の様子を見てくると言って病院に行ってしまったけれど、どうせなら本人の様子を見ておけば良かった。
お店が軒並ぶ通りを歩き続けていると大きな道に差し掛かった。
「くれは。私方向音痴なんだけど。」
「いや...方位が分かる物とかないの?」
真琴が方向音痴ということは昔からの付き合いでわかっていたけどあまり町にでない私にとって道案内は得意じゃない。
地図を見ると、きちんとペンで矢印が書かれていたため、何となくで進んでいくと森の入り口までたどり着いた。
噂に聞いていた通り大木が手入れされていて荒れ果てたようすはない。毎日掃除や管理をしているとこんなにも綺麗な森になるのか。
湖を目指して木々を通り抜けていくと小屋を見つけた。トワが小屋の近くといっていたからもうすぐだろう。
「あった‼」
真琴の指を指した方向を見ると一面に綺麗な湖が広がっていた。
水を覗くと自分自身がハッキリと映った。
触れると冷たい感触が指に伝わる。
特におかしいようすはない。病気にかかるほど濁ってはいないし水の中の小魚も生きている。
「この水に原因があるとは思えないな...」
「みんなそういうよ。でもあんたたちはまわりと違う物を持ってるね。」
「えっ嘘...!」
幼い声が聞こえて湖の真ん中を見ると同年代くらいの銀色の髪の女の子が笑って水の中から顔を出していた。
「ねぇ、暇ならあたしと遊ぼうよ!十分楽しませてよね。」
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