1、活気な街
基本的にくれはからの目線となります。
表記を「天照大神」から「アマテラス」に変更します。
街へ向かうときは決まって巫女装束を着なければならない。窮屈な上に動きづらいので、本当は緩い格好が望ましいのだが。
「いつみても広いねぇ。」
私が感嘆の声をあげると、当たり前だという風に真琴にため息をつかれる。
「街に何回来てると思ってるの...。前にも話したでしょう、この大和帝国は他の神社とも協力して守っているからその分とても大きいの。」
この国は、主に私たちのいる「大和帝国」と隣に位置する「浄土帝国」の2つに分かれている。他にもたくさんの帝国があるけど、話始めたらきりがない。
街も田んぼがたくさんあるところや店がたくさん並んでいる場所など、様々である。
しばらく歩きながら周りを見ていると、たくさんのお店が並んでいて一つ一つに個性があり、どこも活気づいている。
街の見回りはそこまで頻繁にいかないが、神社の参拝客からよく下町の話を聞いているからお店の把握は大まかにわかる。
ふと、1つの店が目に入り、足を止める。
「こんなお店あったっけ」
いかにも怪しそうなお店だが、窓から中を見てみると内装は綺麗な感じ。客は他のお店に比べ、全くといっていいほど人がいない。
「なんか最近不思議なお店があるって聞いたことあるけど、ここかな。」
「入ってみよう‼」
「ちょっと!見回りの途中!!」
制止の声を振り払って店の中に入ると、たくさんの書物や置物が販売されていた。
先には大きな鏡と上に続く階段。
「すいませんー。」
声を出してみても、店主らしき人物が見当たらない。一応上にも上がってみるが、本棚と積み上げられた詩集だけで人影は見えない。
もし出掛けているんだったら盗みが入ってもわからない。
「店主もいないじゃない。客も少ないし、潰れちゃうわよ。」
「ここにいるんだけど。」
背後から声が聞こえて、振り替えると25歳くらいの青年だろうか。なにやらメモのようなものをもっていて、もう片方の手には買い物したあとの袋を手に持っている。
「買い出しにいってたんですね。誰もいないから少し心配になりましたよ。」
「それは失礼。でもきちんと準備中の札をかけていたのに入ったのはあなた方ではないですか。」
立て掛けている看板を確認すると、準備中の札が確かにかけられていた。
「ドアが開きっぱなしだったから空いていると思ったのよ。これからはちゃんと閉めておいてください。」
真琴が、少し怒りを含んだ顔で青年を見つめると、なにかをひらめいたような顔で私たちを見た。
「君たち巫女か。少しお願いがあるんだけどいいかな。」
「えっ! 全然構いませんよ!!」
仕事や依頼が自分宛に来ると喜んで受けるのは正直やめてほしい。
私にまで飛び火がくるし、たまに自分が不都合になると押し付けてくるのは本当に殴りたい。この世は力を制すものが世界を制すはずなのに。
すごく帰りたいが、この店に入ったのは私であるから責任をとらないといけない。
ばれないように不満な表情をしながら、しぶしぶ青年の話を聞くことになった。
まだまだ始まったばかりですが、評価や感想をいただけると幸いです。
これからもよろしくお願いします!