プロローグ
よく似たような夢を幾度と見る。
たくさんの黒い手が私の手や足を掴み、底の見えない沼のようなところへ引きずっていくような悪夢を。
そのたびにまた人を救えなかったのだと落胆し、吸い込まれていく。
ーー巫女の癖に。
ーー神様なんて本当にいるのか。
ーーただのお金もうけだろ。
ーー裏切り者が。
そこで目が覚めた。
ただの職業病なのかもしれないし、
ストレスになっているだけかもしれない。
神様は誰にもすがることはできない。
自らの悟りで人々に崇め祀られ、気がついたときには
神は「願いを叶えてくれる便利な存在」となっていた。
便利な存在といわれ続け、それに怒った神が造り出したのが
アバターという存在。
神自身がアバターという架空の存在になり、ひとつの一族に
神の能力を与える。
発動条件はそれぞれだが能力を与えられた人間たちは
神社を守らなければならないと言い伝えられている。
だからこそ、やめたくてもやめられない。義務だからだ。
世界や一族のために命を費やしてでも。
勢いよく部屋の扉が開く。
「くれはっ!起きて」
天夢 くれは。
「天夢神社」の神主兼巫女であり、
天照大神のアバターを司っている。
この物語の主人公である。
「う~んあと15分。」
目を少し開けると水色の長い髪、藍色の瞳をした少女が
私に刃を向けている。
彼女の名は天水 真琴。
私が巫女をしている「天夢神社」で一緒に住んでいる
同居人の一人であり、幼馴染。
スサノオのアバターを司っている。
「ほら、アバターのアマテラスも眠いって言ってるよ」
「アマテラス見えないし...能力使うときだけでしょうが...」
仕方なくベッドの横に立て掛けていた太陽の杖を手にもち、
神社の中のリビングとも言える居間へ向かう。
「真琴がうるさいから目が覚めたわ。ゲームでもしようかな」
「いや、バカなの?いくら参拝客がいようともうちらは仕事しないといけないの!ほら、まずは街の見回りするよ。」
「えー。」
神と対の存在、邪神は神社や世界を荒らす悪。
邪神と戦うために巫女たちはアバターの訓練や街の見回りをしなければならない。
いつ能力を発動されて街を破壊させられてもおかしくないのだ。
くれはは真琴に引きずられるまま、賑わいを見せる街へ向かった。
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