再会
私たちが塔を訪れなくなって何年かしたとき、
もう大人になったリーフが荒野へと出かけたときでしたか、
小屋であの娘によく似た母親を見たというのです。双子の男女を育てる気丈な母親だったと。
もちろん私は、いいえ、私の家族は、荒野へと行きましたよ。あの娘に会いに。
荒野は木の実も十分にとれなくて、食べ物が足りなくなる危険もあったのですよ。
それでも私たちのラプンツェルに会うためですもの!行かないという選択肢はなかったわ。
そうやって苦労して見つけたあの娘はたくましく、強い母の顔をしていたわ。
彼女に私が話しかけようとしたそのときのこと。
あの憎い青年が――もう青年と言えるような姿ではなかったけれど――現れたのは。
あの娘が子どもたちと歌っていた歌に呼び寄せられたのでしょうね。
彼は目が見えないようでした。あの夜失明していたのか、森を彷徨ううちにそうなってしまったのかわかりませんが。まあ私から見れば彼は前から盲目だったように思いますけれどね。
ラプンツェルは彼を見つけると、涙を流して走り寄りました。2人の幼い子どもを放っておいて走り寄ったのよ。
彼女の涙が彼の頬に、そして両の目に流れたとき、突然彼がこう言ったのよ。
「見える!見える!」と。
あの娘はさらに涙を流して喜びましたけれど、リーフは残念そうな複雑な顔をしていましたよ。
あの、薬草と苦虫とを一気に飲み込んだような顔といったら、家族全員の気持ちを代わってくれたようだったわ。
そうして麗しいラプンツェルとその可愛らしい2人の子どもは「王子様」とともに荒野を去っていってしまったの。
お別れはちゃんとしたのよ。あの娘のほっぺにキスをして、子どもたちには歌を贈ってあげたわ。
彼女が見えなくなってから、
リーフはさっき言った通り、なんとも複雑な顔をしてひとことだけ呟いてね、「くやしい」って。
セーラは「あの娘が幸せになるなら」って。
ウッディは何も言いませんでしたけどね。
これで私の知っている、塔の上の女の子、ラプンツェルのお話はおしまい。
おばあさんはどうしたかって?私はなんにも知らないけれど、可愛らしいあの娘を失ったのだから
――それも自らの手で追いだしたのだから――今までのようにはいないんじゃないかしら。
だって。閉じ込めておきたいくらいあの娘を愛していたのでしょう?
―おしまい―
やっと完結させました。文章自体はあったのですが……
なろう、の仕組みに慣れていなかったのと、サブタイトルをつけるという想定で書いたものではなかったので、その辺で悩んでしまいました……。もっとうまいことできたらいいなと思います。