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武装鉄鋼アームドローダー  作者: 戦艦ちくわぶ
第七章 若き芽よ
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対空戦闘開始!(3)

 エシャネーアーカが戦闘態勢に入った際、ヴィエイナたちの小隊は格納庫へと向かっていた。戦闘開始からすぐに四人全員がそろったので皆で狭い通路を進んで機体後部にある格納庫へと進んでいったのだが、あくまで自分たちは乗せてもらっている旅客に過ぎない、この場合行動が優先されるべきはエシャネーアーカの正規の乗組員であるため彼女たちは何度も通路の壁に体を押し付けてせわしなく走り回っている乗組員たちのために隙間を開けて通してやったり、損傷個所へと走っていく重装備の修復班を窪みに体を寄せ合いつつ見送っていかねばならなかった。そのため、四人は思っていたよりもかなりの時間を格納庫にたどり着くまでに要してしまい、何とかたどり着いたときには既に二発目の被弾をしたために捕虜のぶち込まれていた監房からリンド達が抜け出してしまっていたころになっていた。

「大尉」

 とジェリク軍曹。彼の言わんとしていることはわかる、格納庫内は他の箇所と違ってそれほどあわただしくないのだが、それには理由があった。エシャネーアーカは格納庫内に航空機やALを積載して飛行することは可能だが、現状ではこの機体は空中での格納庫からの機体の発着には対応できていないのである。

 これは後々改められていくのだが、この一番機ではまず着艦装備がないのだ。発艦自体は出来るがそれから飛行中にこの機に着艦しようとする機を改修するためのシステムや機構が備えられておらず、そのため発艦すれば行ったきり、帰還は地上の基地で行わなければならないという欠点があった。そのため、パイロットの回収の保証の出来ないことを踏まえてこの機では発艦も禁止されていた。

 そう言うわけで、今こうして一応格納庫に駆け付けた四人であったがこれといってできることもないのだ。かといってこのような危機的状況でただぼーっと客室で待機しているわけにもいかず、パイロットとして取り合えず自分たちの乗機の下へと駆け付けた、というわけであった。

「とりあえずそれぞれALへ」

「何故です」

「もしもの時のため」

「わかりました」

 それぞれ部下の三人はキャットウォークへと上がっていき自分たちの機のところへと走るのをよそに、彼女は機体の前方を思うところがあるらしく、そちらのほうばかりを見つめていた。リンドがこの機に連れ込まれるときに彼女のことを目撃したのと同様に彼女もまたリンドの姿を一瞬ではあったが確かに目にとめたのだった。それは単なる同乗という偶然ではなかった、何せリンドを本国に移送するように仕組んだのは彼女なのだから。

 ヴィエイナはどうしても彼を逃がしたくないと考えていた、それは以前彼が捕虜となってその後脱走したことを聞かされていたのでまたもや脱走されてはかなわないと思い、ヴァルソー家の力を使って上に掛け合い、他の捕虜も連れていくことでカモフラージュとしリンドを見事にオースノーツ本国へと移送させることに成功したのである。

 それが今、命の危機をもっておじゃんになろうとしている状況を彼女は非常に不安視していた。自分はどうにかなるかもしれないが、監房に収容されている彼がこの高高度から脱出する方法など皆無である。

 何故自分でもそこまでして捕虜であるリンドを逃がしたくないのかはわからない、あれだけ殴打したことでとりあえずの積もった恨みは晴らせたと自分でも思っていたのに、どうやら自分の中にはまだ彼に対する深い殺意というものが残っているらしい。乗機に二度も損傷を与えられ部下を一人奪われ、そして大事な両手をも奪われた。そんなことがたった十数発の殴打で解消できるはずもなかった。

 ではかといってどうやって彼と命をもって決着をつければよいのだろうか、まさか捕虜をALに乗せるわけにもいくまい、出来るとすれば鹵獲したシェーゲンツァート製ALに乗せて実戦訓練で殺すしかないだろう……

 それならまだいくらか可能性はありうるが問題はそれで自分の気持ちは済むのだろうか、という点であったが、部下たちが自分の機に乗り込んでしまうのを確認すると彼女も同様にキャットウォークへと上がっていった。

「出撃待機命令が出たので?」

 リジェースの整備を行っていた整備士が、コックピット内に上半身をつっこんで不安げにそう尋ねたので、彼女はそれを否定する。

「一応待機しているだけだから」

「そうですか……」

 彼の不安は当然のもので、もしこの格納庫に穴が空きでもすれば命綱一つつけていない彼は吸い出されて外に放り出されてしまうのは必至で、それを防ぐにはキャットウォークの手すりに瞬時にしがみつかなければならず、整備士というのは大体手が塞がっているのだからそれは非常に難しい話であった。

 外では相変わらずドンパチが続いているようで、ヴィエイナは機が立ちあがったのを確認するとチューフにレーダーの起動と距離を狭めるように指示する。探知可能半径を絞ることで範囲が限られる代わりにより強力で正確な探知を行うことが出来るためだ。

〈了解いたしました〉

 すぐに小さめのモニタにレーダー情報が表示され、全部で十一個。一番大きいのがエシャネーアーカで中心とそのすぐ近くにいるのがヴィエイナの隊のAL、そして外で動き回っているの六個がボルードフ小隊とメルデ小隊で、互いに三機ずつであった。

 始めは四対六であったのが三対三ということはメルデ小隊は戦力を半分に削られたのに対しボルードフ小隊は僅か一機の損失に過ぎない。機体性能に対した差はなく寧ろまだボルードフ小隊のサレナスのほうが特殊機である分汎用性はメルデ小隊のシャーエンFの方が上であった。これはひとえにパイロットの能力の差であろうか。

 しかしかといってメルデ小隊の方も劣っているというわけではなく、キサナデア帝国でも非常に優れたパイロットたちが選出された特別編成の部隊であった。ボルードフ小隊はつまるところ更にその上を行く猛者たちだったといえよう。

 

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