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武装鉄鋼アームドローダー  作者: 戦艦ちくわぶ
第七章 若き芽よ
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ワンショット(2)

 砲台の麓に到達した第一小隊だが、他の部隊はどうだろうか。同じく降下した第二小隊は腕を失うなどの中破機が出てはいるものの驚くべきことに全機が無事上陸を果たしており敵の迎撃も少なく快進撃を収めているという。ただし、建物の配置の問題で抵抗はあまり受けてはいないものの足取りは遅いらしい。

第六小隊はというとあれからさらに一機がやられはしたが依然として七機が継戦可能であり左翼から砲台に向かって前進していた。

 次に後方から上陸しつつある揚陸部隊はというと、現在歩兵部隊が空挺AL部隊の蹂躙した後の廃墟と化した前線で橋頭保を築くために掃討を行っていた。だが、その周囲に敵の戦力は殆ど残っておらず、いても撤退が遅れ取り残されてしまった者やケガが酷く動けずにいた者が大体で、数もさほどいなかったので簡単に制圧が出来た。そこからどんどん軽戦車隊や工兵隊、主力歩兵部隊などが上陸し主力部隊が出そろうこととなる。



「ああ?うっそだろ……」

 砲台に達したリンドは目を疑った。その巨大さもさることながら艦対地ロケットを食らっておきながらいまだ健在で彼らが見ている間にももう一発海上に向けて光を放っていた。

「あれなんだと思う?」

 どうも見た感じただの砲弾を撃ちだしているとも思えないし、かといってビーム兵器なんて世界中で殆ど実用化を諦めたという噂も官民とはず耳にしたことはあった。しかし、それでも目の前でその威力を目の当たりにしたものだから、どうしてもそのビーム兵器とやらではないのかという疑念が払えずにいた。シムシュカの堅牢な正面装甲を突き破りさらに二機のALを貫通、そのまま後方へと抜けていくような威力など、そうそうあっていいはずがないのだ。

 あまりそういった分野に聡くないリンドは部下の三人なら誰かしらわかるのではないかと思いそう尋ねてみたが、彼らもまた学力が高かったわけではないので、ああだこうだと憶測を飛ばしてみたがやはりこれだといえる知識が出てくることは無かった。

<すみません>

「いや、いいよ。俺だってわかんねえからな」

 考えて見ればそうだ、彼らは自分よりも幼い歳で戦争に駆り出されてきたのだから、寧ろ彼よりも学力が浅くて当然なのだ。それでも彼よりも賢いものは当然ごまんといるはずだがそういった者たちは皆、軍務ではなく後方の技術分野などに進んだり、士官学校に入れられるのだ。彼らのような一般階級や取り立てて秀でた学力をもってもいない者たちはこうして名もなき一兵士として前線に送られ使い潰される。

 それでも、こうしてALに乗せてもらえる彼らたちはまだマシだろう。何せリンド達にはAL搭乗適正があったためこうしてALという鉄の鎧を着込めるがそれもないものは本当にただ歩兵として前線に投入されるほかないのだ。

 いずれにせよ、こうして現状のように彼らはそんな生身の兵士達よりもぞんざいな扱いでズタボロにされていたが、それでもALに乗れているだけマシだと信じて操縦桿を握り続けていた。

<どうするでありますか?>

 メインカメラに付着した汚れを吹き飛ばして視界を良好にしながらエンレルルーは尋ねる。

「そうだな……いっそのこと俺がガトリングで潰すか。その方が手っ取り早い」

<力技でありますね……>

「その方が犠牲も出ないで済むだろ」

<なるほど>

 砲台破壊という命令であれば彼の考えた案が一番確実で合理的である。だが、そこにある疑問を抱いたレッケが質問を投げかけた。

<隊長殿、ですが先ほどのSSBRでも破壊できなかったのにガトリングで破壊できるでしょうか>

 確かに、彼の言う通り大型のSSBRですら破壊出来なかったあの砲台を言うほど簡単に破壊できるとは思えない。だが、リンドには勝算があった。

「ほら見てみろあの被弾の境目」

<え?>

 三機はリンドの言った通り砲台のほうを拡大して注視するとある線を境に爆撃で傷ついた部分と綺麗なまま装甲が残っている部分がわかれていることがわかる。

「多分だが、あの時砲台は急いで格納されたんだろう。それであの被弾している部分は表面に露出してやられてない部分が基部に格納されてたんだ。つまり、あれより上が装甲が厚く下の部分が比較的装甲の薄いか弱点の部分じゃねえかな」

<なるほど!さすがですね隊長!>

<経験の差ってやつでありますか?>

「いや、別にそう言うわけじゃねえよ……」

 図らずもこうして部下の尊敬の念を集めてしまったことに照れくささから否定して見せるリンドだが、その声に嬉しさがにじみ出ており操縦桿を握ったまま手を横に振ったので一緒に重レーアも手を振る。

「じゃあやるか」

 リンドがガトリングシステムのレバーに手を伸ばした時であった、急遽司令部からの通信が入る。

<こちら司令部。全部隊に通達する。敵の未確認砲台破壊命令を破棄、砲台に可能なかぎり損傷を与えずに制圧せよ>

「なんだってえ!?」

 手を止めたリンドはその不自然な姿勢のまま思わず怒鳴る。ここまで来て、あと少し手を伸ばして引くだけで指令の達成ができたというのにあまつさえ制圧をしろというのか。

「こちら空挺第一小隊!話が違うぞ!もう破壊できそうだってのに!」

〈第一小隊、破壊は禁止する。敵の砲台を調査し可能であれば我が軍で再利用することに決定が下った〉

「ざけやがって!ALじゃあ制圧は出来ねえぞ!」

〈わかっている。こちらとしても可能な限り速やかに上陸した歩兵部隊に前進をするよう通達している。それまで出来るだけそちらで制圧を行え。以上〉

「あっ!」

 まだ言いたいことのあったというのに一方的に通信を切断され腸の煮えくり返っているリンドは唸り声を上げるとそのままガトリングシステムを起動し砲台の麓に向かって一斉射を行った。

「言うだけならなあ!!」

 こっちはここまで来るのに戦力の六割を失っている。そしてすぐ近くには味方の部隊はなく従ってたった四機、いや補給型を抜いて三機でこの砲台をどうにかしろとのたまうのか。どうすればいいのか、彼にはわからない。頭を抱えたリンドに、三人の部下は欠ける言葉もなくただ口をつぐむばかりであった。

「……一纏まりで行くぞ。道がここしかなさそうだからな」

 リンドが操作するコンソール上のマップが各機の小モニタにも表示され彼が画面上を指でスワイプすると赤い線が続いてマップ上に表示されていく。線は砲台を囲んで建てられている高さ二十m程の大きな防壁の正面に生じている隙間をまっすぐ通っており、正面突破ということとなる。

〈隊長、それではかなりの抵抗が〉

「わかってるよ……でもここしかない。他はどうやら車両用の通路しかないみたいだ。ALが通るにはここしかないし、この壁を越えようにも陸戦用ALの上昇速度じゃあ良い的だ。陸戦用なら陸戦用らしく地上を歩いていくしかないだろうさ」

〈ですが……〉

 彼らの脳裏にはアイエラーダ伍長の最期が思い起こされていた。彼のように無駄死になどするものか。

「心配するな。俺が先頭だ。その右斜め後ろにポロ、左斜め後ろにエンレルルー、最後にレッケが続く。レッケを守りながら進むんだ。俺のことは気にするな」

 そうは言ったものの、既にリンドの重レーアもかなりの被弾のためにあちらこちらの装甲が剥げており、そう多くは受けることはできない。したがって目に入った敵は可及的速やかに仕留めていくということを繰り返す必要があった。

「いいな、行くぞ!」

 たった四機の第一小隊は、砲台周辺の敵を掃討すべく歩みを再開した。

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