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武装鉄鋼アームドローダー  作者: 戦艦ちくわぶ
第二章 舞い降りる機動要塞
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第2機械化混成空挺師団第4遊撃小隊

シナイの森での降下作戦の終了から一週間がたった。司令部によって第21AL空挺連隊は解体及び再編成が命じられ、残存兵達はそれぞれ新たな部隊へと散っていった。ある者は激戦地へ、またある者は僻地の唯一のAL乗りとして、またある者は同じようにまた降下するために空へ……

 元21空挺所属であったリンド・オーセス伍長は再び空挺隊へと配備されていた。


 第2機械化混成空挺師団


 それが彼の新たな身寄りであった。勇猛果敢な空挺部隊として名高くその規模もシェーゲンツァート空軍ではかなりのものを誇るこの部隊に彼は配属された。その辞令を受けた当初、彼は困惑していた。第2師団といえばかなり強者揃いのはずで、自分のようなペーペーが配備されるようなものではないと考えていたからだ。

 その中でも彼が配属されたのが第4遊撃小隊であった。遊撃部隊といえばいわば攻撃面での何でも屋といったところだろうか、あっちに駆り出されこっちに駆り出されとにかく戦い続けるといった印象が彼にはあった。

彼は兵舎の第4遊撃小隊の札のある戸を恐る恐る叩いた。

「失礼します」

 ゆっくりとドアノブをひねり、戸を押した。安っぽい軋みを上げて戸が開く。中には三人の男たちがおり、ペレカ(カード遊び)に興じていた。

「あ、誰だ」

 真ん中にいるモヒカン頭に小さなサングラスのいかにも軍人には見えないような男が酒焼けした声を発した。レンズの外からのぞく眼光は鋭く、そして疲れていた。

「本日より第4遊撃小隊に配属となりました、リンド・オーセス伍長であります」

 彼が名乗ると両脇の男が立ち上がり、おもむろに歩み寄ってくる。二人の手にはそれぞれ酒瓶とペレカが握られている。彼は右の男の札が負けているのがちらっと見えた。

「ああ、お前が新しい重ヴァル乗りか」

 右の額に傷のある男がリンドをつま先から頭頂部まで見渡す。襟にはよれた軍曹の階級章が輝きを失ってくっついていた。上着のボタンは一つも止められておらず、その見てくれはまさに絵にかいたような古参軍人といったところだ。

「俺はジュードル。こいつはヴィレルラル。軍曹」

 左の坊主頭の方はヴィレルラルというらしい。こっちは坊主頭で真面目そうな印象だ。何故ならほかの二人と違って上着のボタンは一番上以外しっかりとめられているし、階級章もほつれがない。ただかなり寡黙そうではあった。

「まあ来いよ」

 ジュードルに促され、彼は床に座り込んだ。

「今は隊長がいないがまあじき来るだろうよ。俺はスライ曹長だ」

モヒカンが名乗った。階級からして恐らく副隊長であろう。

「お前、経験は?」

と、スライ。

「あ、はい。19日前にクルイテでジッタ要塞戦で降下したのが初めてです」

 彼がジッタという名を口にすると、ジュードルとスライは少し驚いたように声を上げた。

「ほーう、お前あの降下作戦の生き残りかよ。運がいいな」

「ああ、しかも初陣と来たか。あれは確か全体の70パーセントが死んだって聞いたぜ」

「よくもまあ生き残れたもんだぜ、なあヴィル」

 ジュードルは瓶をあおるとヴィレルラルの肩を軽くたたく。しかしヴィレルラルは眉一つピクリとも動かすことなく、ただ頷くだけだった。

「隊長はちょい前に指令室に行ったからもうすぐ戻ってくるとは思うがな。お前のベッドはそこだ。そこ」

 スライが入り口向かって右の三段ベッドの一番下の段を指した。確かにそこはたたまれた寝具が端に積まれており、使用者のいないことを示していた。リンドは荷物をひとまずベッドに置くと再び床に座った。

「お前どこ出身だ?」

と、ジュードル。

「あ、フォルティルゲン、であります」

「ああ、あの西の方にある。な」

「俺ビヤメラなんだよ。隣じゃねえか。え?」

 フォルティルゲンと聞いたスライが少し声を躍らせて彼の背を叩く。

「ビヤメラですか。叔母が住んでて子供のころよく行きました。行くとよくミザーゴに連れて行ってもらいました」

ミザーゴとはシェーゲンツァートに展開する中では一番有名な百貨店のことである。休祭日や年末年始は多くのシェーゲンツァート人でごった返す。

「ああ、ミザーゴ……懐かしい響きだぜ……」

 ミザーゴの名を聞いた三人は、とても懐かしむように目を閉じ黙り込んでしまった。この三人は一体どれだけの間帰国をしていないのだろうか。ふと、もの悲しくなった。もしかすると、生き残れればだが自分も長い間国に帰ることができなくなるのではないだろうかという疑念が脳裏を一瞬よぎる。

 そのままリンドたちが国の話に花を咲かせていると、不意に戸が開き、男が一人入ってきた。男は屈強な如何にも軍人といった風貌をしており、伸びた無精ひげがまた老練な兵の雰囲気を醸し出していた。上官であることからロケットのように跳びあがって、直立不動で敬礼をすると背後で笑い声が聞こえた。立ち上がってみると彼はその威厳に反し思っていたほど背丈は大きくないことが良く分かった。だがその風貌は彼を身長以上に大きく映し出していた。しかしALのパイロットにはある程度の身長制限があるため、リンドでもシェーゲンツァート軍のALパイロットとしては大きい方なのである。リンドはシェーゲンツァート人でも割と大きい方ではあったが。

「お前……ああ新入りか」

低い声が、彼の喉から響く。

「ハッ!リンド・オーセス伍長であります!」

 彼は先ほどよりもさらに力を込めて官姓名を名乗った。

「宜しくさん。ジュラス・キリルム中尉だ。この四小隊の隊長だ」


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