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武装鉄鋼アームドローダー  作者: 戦艦ちくわぶ
第一章 第21AL空挺連隊
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ジッタ要塞攻略戦(3)

 突撃銃の銃弾にも少量ながら内部に炸薬が仕込んであるため、コンクリートにただ突き刺さるだけではなく小爆発を起こして表面を削り取るのに一役買っている。だが単に削り取るのはバカのやること、いくら銃弾があっても足りない。後方から味方の投げたグレネードが銃弾の雨の上を飛び越し、ゆっくりと放物線を描き次々と要塞内部に落着する。それと同時に信管が作動、激しく爆発を起こし要塞内部を薙ぎ払う。それでもやはりまだまだ敵の抵抗は激しく、一向に迎撃の手を緩めてくる気配はない。

〈こなくそ!〉

 背後の足元で、頭と腕だけ露出させたマオールとリムス少尉が突撃銃で援護射撃をしているようだ。迫撃砲が飛来し味方の陣地で炸裂する。敵ALの放ったバズーカの弾が胸部に直撃し、第一装甲が破壊され第二装甲も一部が裂けてしまい、内部が一部露出する形となってしまった。これは非常にまずい、激しい振動に何とか倒れずにこらえると、リンドは遂にガトリング砲を使うことにした。残った味方の重ヴァルも同じことを考えていたようで、ガトリングがバックパックから展開していくのが見える。リンドはここでニヤリと笑みを浮かべると、狙いを定めレバーを思いっきり引いた。

 二対、計十二本の束ねられた砲身が空転を始めるやありったけの銃弾の豪雨を掃射し始めた。今までのお礼といわんばかりの激しい攻撃は、瞬く間に要塞を焼き尽し、破砕していく。見る見るうちに要塞は見るも無残な姿に変わり果て、そこにいた人間も戦車もALも原型をとどめない。そんな強力なガトリングだが一瞬でものすごい数の弾を吐き出してしまうため、あっという間に弾倉が空になってしまう。その上リンド機は直前にマオールのために少し消費してしまっていたため、一瞬早く僚機より弾薬が空になった。だがそれでもなんの問題もなかった。既に最前面の敵の抵抗は無いも同然で、わずかに動く影も最早反撃の気配はない。

「こちらオーセス伍長、第一ラインの撃滅を確認………フウ……これより再進撃を開始します」

 放心した状態で報告をすると、途端に歓声が通信機の向こうからいくつも飛び込んできた。

〈よくやったぞ伍長〉

〈ヤーハー!流石重ヴァルだ!〉

〈最高だぜ!おら突撃だ!〉

 AL達が待ってましたとばかりに枯れ川から我先にと飛び出してきた。AL達は二機の停止した重ヴァルを追い抜き、次々と要塞の塀だったものや残骸を跨いでいく。それを見ると、自分はやったのだという実感が湧いてきたのだ

「ああ、やったぜ」

〈ああ、やったな〉

 振り向けばマオールが隣にいた。マオールの中ヴァルの手が重ヴァルの肩に置かれると、重たい金属音を上げる。

〈メチャメチャだな……動けるか?〉

 マオールは重ヴァルの正面をさっと見回すと、しかめっ面をして尋ねた。これほどひどいやられ方をすればさすがの重ヴァルでもまともに動けないのではないだろうか。

「ああ、それがどうもアクチュエータの循環器がさっきの振動でイっちまったみたいであちこちで赤表示が出てるんだ」

 機体の状態を表示するモニターには、全体が赤い異常個所を示す表示が出ており修復必要個所を示す文が絶えず下から上へと流れ続けている。バズーカまでならまだ行けたみたいだが、ガトリングの使用が決め手となったらしい。ガトリングのもたらす膨大な振動が、歪んでいたパイプや機構に止めを刺しあちこちからオイルや流体パルス液などが機外に漏れ出していた。

〈へへっ、おもらしだ〉

「うるせえ」

 小突きたくても腕のクランクやピストン、油圧もシャフトも完全に逝っており小刻みに動いたかと思うと、破壊音を上げて肘から先が地面に落下した。これで両腕を失ったというわけだ。ロケットの残弾は無く、ガトリングは残弾無しの上に砲身は焼き付いている。これは完全にダメそうである。しかしこれだけの損傷を受けていながら、コックピットにいるリンドが無傷なのは、重ヴァルの優秀な防御性能の証明でもあった。

「オーセス伍長であります。完全にALが損傷しており動けません。戦線の離脱を希望します」

〈よかろう、重ヴァルはよくやってくれた。キミラー軍曹も、戦死したシェルケル軍曹もよくやってくれた。君たちは後方で整備班の到着を待ってくれ。可能であれば復帰をしてくれ、以上〉

 ヴェケラ中尉の優しい言葉に、思わず涙ぐんだ彼は鼻をすすって涙を拭うと元気よく返答した。

「ありがとうございます!ご武運を!」

 リンドは進んでいくマオール達の背中を見送った。これが少尉や中尉との今生の別れとなる。

 こうして早々にリンド・オーセスの初陣は終わった。本人はやりとげたつもりではあったが、まだ要塞攻略は10パーセント程度しか完了していない。重ヴァルの援護のない空挺連隊は、新たな重ヴァルの補充が入るまで長い攻略戦に入ることになる。リンドはこの二日後に補充部隊と入れ替えで帰還した。尚、今作戦にて彼の搭乗したアルグヴァルは修理不能と判断されたために解体され、リンドには新しいアルグヴァルが支給された。そして、今作戦で壊滅的打撃を受けた第21空挺連隊は解体されることとなる。

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