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武装鉄鋼アームドローダー  作者: 戦艦ちくわぶ
第一章 第21AL空挺連隊
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第21AL空挺連隊、降下セヨ

 ロボット戦争ものです。ハイスピードでピュンピュン飛び回ったり、ビームや派手な格闘戦はほぼありません。地味な重たい戦争物です。主人公は最強ではないので無双はしませんし、空飛ぶワンオフ戦艦やどこぞの姫様も出ません。あと2号機も盗まれたりはしません。

 実弾と射撃が主です。

あとロボット以外の兵器もしっかり活躍するので、ロボットが最強兵器というわけではないです。

不定期

 陽暦1990年1月、国際会議にて超大国オースノーツ共和国が世界平和を名目にすべての国家を支配下に置くという横暴な声明を発表。それに反発した複数の国家が自由同盟を結成、オースノーツとその連合国に宣戦布告を言い渡し、世界はオースノーツ連合、世界自由権利同盟、中立の3つの勢力に分かれた。シェーゲンツァート帝国は世界自由権利同盟の中心に位置し、島国ながらもその優れた技術と資源を持ってしてオースノーツ共和国率いる連合国に対し劣勢にもかかわらず奮戦を続けていた。これは開戦から五年、戦局が傾き始めた頃に配属された一人のシェーゲンツァート帝国人の青年の物語である。




「ハアー……ハアー……」

 一人の男が、暗闇の中で深く息を繰り返す。額からは汗が流れ落ち、呼吸の頻度は非常に高い。操縦桿を握る両手は明らかに震えていた。現実味を帯びなかった恐怖が今、目の前に立ちはだかって漸く恐怖が恐怖たる所以を知った。志願は愚かなことだったのかもしれない。しかし、彼にはそれしか選択肢がなかった。

 粘つく生唾を飲み込むと同時に、ヘッドセットから飛んできた声が彼の心臓を飛び上がらせるのには十分であった。

〈降下目標地点まであと10分!降下用意!〉

 最早後戻りはできない。これから待つのは死のダイブだ。死ぬ前にもう一度、セレーンに会っておきたかったと、彼は美しい恋人の姿を思い描いた。

 残り5分となったあたりで、くぐもった爆発音が絶え間なく鳴り響き空気を揺らした。より一層の恐怖が襲い掛かる。輸送機ごと撃墜されてしまえば、脱出できぬまま犬死は必至だろう。それだけは避けたい。できるだけ長く生き延び続けなければならない理由が、そこにはあった。彼は機器の最終チェックに入った。エンジンをアイドリング状態に戻すと、彼の周りにいくつものモニターやメーターが光を帯び、様々な情報を映し出した。

「き、機体良好……融合炉よし、バランサーよし、アクチュエーターも問題ない。火器管制システム良好……マッピング、生命維持装置、モニターも……よし!いけるぞ」

 機体の状態を確認し、にわかに自信を取り戻すと同時であった。ひときわ激しい衝撃と共に、世界が大きく揺れだした。けたたましく鳴り響く警報と風切り音、そして今まで真っ暗だったモニターに光と炎が映ったことで、彼の置かれている状況がはっきりとした。しかし彼はまだ突然の出来事に対応できるほどの冷静さは持ち合わせてはいなかった。

〈直撃を受けた!機体を維持できないぞ!これよりハッチ開放、強制降下を開始する!全機降下、降下!〉

 パイロットの悲鳴と雑音が、ヘッドセットの向こうから状況がひっ迫していることを知らせてくれた。そしてゆっくりと、光の面積が機械音と共に広がっていった。

「なんだってんだ!」

 咄嗟に叫ぶ。高度2000ミラスから見下ろした地上は、それは遠い存在であった。これからまもなく彼は地表めがけて放出されるのだ。周囲では対空砲火の爆発が黒い花を大量に咲かせ、時折対空機銃が輸送機に跳弾する音がしていた。

 降下開始というところで機体下部の降下ハッチが開くはずだが、半分しか開かない。どうやら直撃を受けたせいで左のハッチが歪んでしまったようだ。そのためさらにバランスを崩した輸送機は機体を著しく傾け、地面へと急降下し始めていた。このままでは、いくら頑丈なこのアルグヴァルでも耐えられない。彼は意を決して、操縦桿を力強く降り、アルグヴァルと輸送機をつないでいるアームとワイヤーを強引に引きちぎった。自由になった彼が重力に惹かれる直前、正面につながれていた同僚の機体がワイヤーに絡まって脱出できないのを見た。彼は、無意識のうちに左腕のマシンガンを3発バーストし、ワイヤーを切断。彼の機体のマニピュレーターをつかみ、降下した。残りのワイヤーも、2機の重量で無理やりに引きちぎってしまった。

 これから地獄の初陣が始まる。

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― 新着の感想 ―
 作品としての感想とは違うのですが、地の文と登場人物のセリフの間や 文章の区切りに空行が無いため、自分としてはとても読みづらい文章に感じてしまいました。
オールユーニードイズキルみたいな冒頭で好き
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