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猫のカフカ  作者: キャベツはどうした
どんぐりと鳥
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第1節

 私が川沿いの道を散歩していると、どんぐりをくわえて近くの木へ運んでいく、を繰り返している鳥を見かけた。

 


 聞けばこれから本格化する冬に備えて、どんぐりを集めているらしい。

 


 鳥の彼が行き来するその木を見上げると、小さな穴の大群があった。

 


 そこに一つ一つどんぐりを入れ保管しているようだ。見れば無数のどんぐりの頭が覗いている。

 


 これはドングリキツツキの習性だが、彼はムクドリだった。あとで聞くと、ペットのどんぐりキツツキと仲よくなり教えてもらったらしい。

 毎年冬の食料調達に苦労していたので参考にしたという。

 


 しかし数的に冬を凌ぎ切るには十分だった。

 何故これ以上集めるのかと問うと、件のキツツキの話を聞いたどんぐり好きの恋人が、たくさん溜め込んでほしいといったからだという。

 


 それに従う彼は、何と律儀で世話焼きな鳥なのだろうと私は感心した。



「大変だね」



 わたしがいうと、



「いいや、これも彼女のためだから」



 彼は元気にいった。 



 作業工程は彼女があけた穴に彼がどんぐりを探して入れていくというものだった。

 まだ空洞のままの穴は、どんぐりがあるものと比べても半分以上残っている。



「この一帯は探したのだけれど」



 持っていた最後の一つを穴に収めたところで、鳥の彼が肩を落とした。



 私も周りを見回したが、どこにもどんぐりは落ちていなかった。



「ここら辺は通学路だからね。小さき人間が拾っていったのかもしれない。あれの好奇心は計り知れないものがある。未知だよ」

「まぁ仕方ないさ」



 鳥の彼はまた飛び立とうとした。

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