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猫のカフカ  作者: キャベツはどうした
ロマンは空に
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第5節

 彼と犬を覆う大きな影が落ちてきた。

 その正体はやじろべえを思わせる骨格に、肉と羽をつけくわえた頑丈な体躯を誇る、鷹だった。



 次の瞬間、鷹は犬に爪をたて、羽ばたきながら威嚇した。



「狂気に囚われた愚かな狗め。その牙の意味をはき違えたか!」 



 それから鷹はハクビシンの彼を掴み上げると上空へ飛び立ち、玄関の外側にいる私のところへ着地させた。



 彼は息も絶え絶えに巨大な鷹を見上げると、放心状態に陥っていた。

 無理もない。

 続けて二度もドデカい相手を目の前にしているのだから。



  そして彼は正気を取り戻した途端、身を竦ませて叫んだ。



「ひぃー! 食べないで!」



 犬は鷹の迫力にすっかり怖気づいたのか奥に行ってしまっている。鷹の彼が塀の上にとまった。



「食べないさ。俺はこいつに頼まれて来たんだ。そしたらお前が襲われそうになっていた。しかし、君の勇敢さに俺は承服する。自分よりも大きな相手に立ち向かうなんて並大抵の根性じゃできないことだ。だからそんな君を食べるなど俺の信条が許さない」



 鷹は私を見やった。



「彼は私の数少ない友の一羽でね。アマリリスというんだ。君をさっきみたいに持ち上げて、空を飛べるようにしてくれと頼んだんだ」



「どうして」



 ハクビシンの彼は若干の怯えを残しながら首を傾げた。



「さぁね。君の挑戦は無謀だが、その努力は純粋だ。それに、夢に立ち向かうことはいいことだからね。だから公園にもいった。でもそろそろ学ぶべきだよ。君は飛ぶことはできない。だが彼に協力してもらえば別だ」

「それでも一人で飛ぶんだ。だいたいちっぽけな問題なんだよ。飛ぶ、飛べないなんていうのは。周りが反対したってわざわざ悩むようなことでもないからね。ア、アマリリスさんには申し訳ないけれど、僕は僕だけで成し遂げるよ」

「翼も生えてないのにか?」

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