表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫のカフカ  作者: キャベツはどうした
どんぐりと鳥
10/90

第4節

草むらの中の暗闇が陽光に照らされたことによって、不気味に通っていく黒い肌が見えた。



 私はもっと早く忠告をくれてやるべきだったと後悔している。



 ヘビだった。



 艶やかなうろこを光らせて、草の海を音もなく突き進んでいる。



 彼が今どこにいるのかはわからない。



 そのとき私が驚いたのは一瞬だけで、あとは特に危機感を抱いてはいなかった。

 彼は若いし、ヘビの気配などすぐに察知して逃げると思ったからだ。



 だがいくら待てども、彼が飛び立つ様子がない。



 運よく遭遇せずにいるのだろうか。

 ヘビが草むらに入った理由が彼を狙ってのことではないとも考えられる。



 瞬間、ある一か所の葉先が揺れた。



 私は視線を絞ると、その箇所めがけて走りだした。

 それから長い時間は要しなかった。



 私を息をつく。



「ごめんよ。ついうっかりね。どんぐり探しに夢中になりすぎてた」



 彼は申し訳なさそうにしながら、赤くにじんだお腹を羽でさすった。



 私が駆けつけた時、彼はヘビに後ろを取られていたのだ。

 私もよくあの位置から捉えられたと思う。

 まだまだ若い証拠だろう。



 爪を立て体躯を大きく見せたことで、ヘビはすぐさま退散していった。



 だがその間際、ヘビの牙が彼のお腹をかすったのだ。

 毒は持っていないだろうから数日もすれば完治するだろう。



 どんぐり探しはさんざんだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ