3話
主人公の心情のみを書いてみました。
少し退屈かもしれません。
兄が帰ってきた―――。
そのことを知った僕は、今すぐにこの家から離れたい衝動にかられた。
なぜ、帰ってきた?
なぜ、今帰ってきた?
もう帰ってこないと思っていたのに。
兄と過ごしていた日々が甦ってくる。
―僕の教科書を捨てたこと
―僕の机の中に生ごみを入れていたこと
―何もしていないのに殴られたこと
―僕のおもちゃを理由もなく壊したこと
兄に関する僕の記憶は、どれもこれもまともなものはなかった。
兄らしい振る舞いをしている姿なんて僕の記憶にはなかった。
――母から愛され、父から期待され育ってきた兄。
――母から軽蔑され、父から見放されて育った僕。
同じ兄弟なのに、同じ家に育ったのに何で、どうして、こうも扱いが違うの?
悪いことをしたのは、兄で僕じゃないのに――。
どうしてみんな僕を責めるの?
悔しい、虚しい、悪いのはアイツで僕じゃない。
だから、僕は自分が良い子だと証明できるように振る舞った。
家の手伝いも自分から進んでやるようにした。
クラスのみんなが遊んでいる間、一生懸命勉強した。
クラス委員長になったり、実行委員になったりしてクラスや学校のために協力してきた。
僕は出来が悪い子じゃない、良い子なんだ。今までやってきたことが証明だ。
僕は兄とは違う。
絶対に――。
――なのになぜ、両親は僕の方を褒めないの?
――クラスメイトや学校の先生方は僕を褒めてくれるのに?
何もしていない兄。
いろんなことに果敢に取り組んだ僕。
褒められるべき対象は決まっているのに――。
お願いだから、僕のことを愛してよ、父さん母さん。
兄以上に――。