1話
初投稿です。気に入ってくれたら幸いです。
僕は、兄が嫌いだ。兄の姿を見ただけで吐き気がする。生理的に受け付けなく、見たら目が腐ってしまうのではないかと思うほどに、嫌い。兄の声は僕にとって、不協和音であり、耳をふさいでもその声は、聴こえており、イライラしてしまう程の騒音でもある。
ここまで、僕が兄のことを嫌いに思ったのは、僕が小学校4年生の時だ。兄の高校は実家から通えないため寮に暮らすことになっており、僕はそのことがとてもうれしいと感じていた。生まれた時から、兄らしいことなんて一つもやってくれなかった。寧ろ、僕のことをいじめていた。遊び道具を奪い、壊したり、そのことを僕のせいにしていたり、と色々僕に対してやっていた。親は、そのことを兄弟げんかだと勘違いしていた。僕はこんなことで、親に泣きついてしまったら、また兄に馬鹿にされてしまうと思いあえて言わなかった。
それでも、僕に対してのいじめは、収まらず寧ろ、だんだんと陰湿なものへとなってきた。部屋の引き出しには、生ごみがあったり、財布からお金が無くなったり、教科書は破かれたり、色々なことをされた。さすがに耐え切れず僕は母に言った。すべてのことを洗いざらいに。何もかもこと細かく。兄がしてきたことを一つ一つ丁寧に話していくと、母の顔は段々と怒りの色に染まっていった。すべてを話し終えた僕は、母に対してこう言った。
「あいつがこの家から出って行って良かった、もう苦しいこともなくなる」
僕は母に心配かけないようにできるだけ笑って言った。いままでの話を聞くと母は多分気づかなかったことを悔やんでしまうと思たから、心配させるために言ったつもりはないし。ただ、少しだけ僕の方に気を引きたかったのかもしれない。
「いい加減にしなさい。お兄ちゃんを悪く言うのは」
え?今、なんて?
「いくら、お兄ちゃんとけんかしているからって言って、悪口を言うのはお母さんどうかと思う」
違うよ、母さん。悪口じゃない。
「けんかしているのなら、謝りに行きなさい。もうすぐ、お別れなんだから。」
違う、違う。謝るのは僕じゃない。
「それに、冗談でもお兄ちゃんに対して「あいつ」って言ったり、「出で行って良かった」って言ったりしない」
聞いてよ僕の話。聞いて。
「兄弟は仲良くするものよ、いいね」
じゃあ、母さん買い物に行くからっと言って僕の目の前から消えてしまった。
僕は、僕の味方がいないことを初めてこの時知った。思えば、母と父は兄に対して甘い所が多かった。僕に対しては、家事全般手伝えって言っているのに、兄に対しては何も言わなかった。例え、兄がテレビゲームをして、僕が勉強をしていても必ず僕に対して、手伝えと言ってくる。
「母さんも死んでしまえばいいのに…」
少しだけ、ほんの少しだけ僕は、母に対して殺意を抱いてしまった。