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最近は連日で先生に呼び出された。


言い方が言い方なので語弊をまねいたかもしれない、別に何も悪いことややましいことをしたわけじゃないぞ。

風紀に関わる話と、生徒会についての話だ。先生に呼び出されてまた風紀の勧誘かと思えば違うらしく、話されたのは相談事だった。



赤羽会長が、会長にならないかもしれないらしい。



私はその事実に大きな衝撃をうけた。

先生の話を要約すれば、赤羽会長は自分より適役は存在するのではないか、青角はどうだろうか、と言って会長になることに後ろ向きらしい。先生も先生で強くは言えないため困っているとのことだ。先生たちの中では自然に、赤羽会長が会長になると暗黙の了解のようなものができていたから。「芦屋も何か言ってあげてくれないか」えっ。


そんなこと、私に言われても困るんだが。

私としては赤羽会長が会長にならないなら万々歳、だってゲームに忠実じゃない方が主人公との接触率も減るだろうしつまりハプニングが減る。ほら私からしたらメリットしかないんだよ。それに赤羽会長も自信がないのなら無理に進めず無難に青角くんが会長になったらいいと思うよ、ウン。

やんわりとそう伝えたところで先生との話を終えて自室に戻る。

後は寝るだけだという時間帯に呼び出さないでほしい、とてつもなく眠かったんだから!私はもどってすぐにベッドにもぐりこんだ。しかし残念ながら快眠できたとは言い難かった。


夢をみたのだ、リアルな夢を。


それは赤羽会長が会長にならずにいった場合、というありえてしまうもしものお話だったのだがそれがまあ悲惨なことになっていた。学校は一見見れば普通だが、生徒からしたら荒れ果てた。そして夢の最後には私は一般の男子生徒に襲われて無残にも食い殺された。

なんだか既視感を感じた。うーん。少しばかり考え込む。徐々に頭が痛くなってきた。痛みはどんどん増してそれは鈍器で殴られるような痛みへと悪化していった。脳内がぐわんぐわんと揺れた。気持ちが悪い。何かが流れ込んでくる。それは、夢と全く同じ映像だった。しかし夢よりも生々しく感じられた。荒れていく学校、手の付けられない生徒会に、のさばる男子生徒。そして食べられる私。


私は、一度食い殺されたことがある?


いや、確定ではないけれど。けれどそれならばなんで私は食い殺され方を知っている。それは、身をもって体験したからじゃないのか。そうでなければ、こんな鮮明にわかるはずがないだろう。血の気が引き顔が真っ青になる。


これが、もしも、本当に起きた話だったら?

はたまたこうなってしまう予定だったら?

今の私が二度目の人生ではなく、忘れているだけで三度目の人生であったら?

考え出すとキリがなかった。しかし、私はできるだけ安全な道を行きたいのだ。少しでも危ない可能性のある橋を私はわたりたくはない。

だがしかし、だ。


不安因子は早急に取り除くべきだとも思う。

不本意ながらも行動させてもらうことにする。ある程度は既に目立ってしまっているしこの際我慢しようじゃないか。自分がいつ死ぬかわかったもんじゃない。それに食い殺されるとかごめんだから。

私の足取りは重かったが、それは確かに赤羽会長の元へと向かっていた。話す内容なんて何も考えてないしまとまってない。けれど、なりゆきでなんとかなるだろうよ。




「赤羽くん」


本当君は面倒事ばっかもってきてくれるよなこっちの身にもなりやがれ。

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