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アヤノちゃんの誕生日も無事終了ししばらくしたある日。
私はとても気まずい空間の中にいた。
赤羽会長と、2人きりという空間に。
授業がすべて終わった放課後の保健室。
私達たちは保健室の先生に「まずは自分たちで話し合いなさいな」と言われ、2人きりで取り残されていた。
私の右足の膝には不恰好なガーゼがはりついており、血が滲んでいる。ところどころ痣のようになり、内出血が目立った。
頬にも膝と同じようにガーゼや、絆創膏などがはりついている。ちなみに背中にはシップだ。
そして私と対照的な位置に座っている赤羽会長の表情は俯いているせいか何も見えない。ただどんよりとした暗いオーラを纏っている。
無傷の赤羽会長と、わりと重傷な私。そして、赤羽会長の方は暗いオーラを纏っている。これだけでお気づきの方もいるだろうが私のこの大量の怪我は存外、赤羽会長が一つの原因でもあったりするのだ。
卯月家とは別に、大きな財閥としてあげられるのは赤羽家や青角家といったものだが他にも財閥は存在する。
それの代表例が華月財閥なんかなのだが、そのさぞ有名な華月財閥の可愛がられ甘やかされて育った箱入り娘がこの学院に在学しているのだ。
その子の名前は華月智鶴という。我儘の世間知らず娘である。その子がまた横暴でだ、自分より格が下の家の逆らえない大人しい女の子をターゲットにいじめなんかもしているらしい。目をつけられたら大変らしい。
そんな華月智鶴に目をつけられたのが、案の定大人しくあまり自分の意見を言い出せないような女の子だった。
きっかけはその女の子が赤羽会長と親しげに話していたこと。それが彼女の逆鱗に触れてしまったらしかった。ええ、親しげに話しただけでそんな事するなんてなんて狭い器だと思ってしまったのは私だけではないだろう。それに赤羽会長は別に華月さんと付き合ってるわけでも婚約を誓ったなかでもないのだから。
そうして目をつけられたその子はそれから些細な嫌がらせを受けるようになり、それがどんどんエスカレートしていったらしい。
そしてある日ーつまり今日、階段でもめていたところ女の子は華月さんを思いっきり階段から突き飛ばしてしまった。
そして丁度その階段には赤羽会長がいたため、赤羽会長は華月さんの下敷きになり怪我をするかと思われたがなんとまったく痛くなくただ衝撃を感じただけで驚いて、起き上がってみるとさらに私が赤羽会長の下敷きになっていたというね。なんて運が悪いんだろう。
そのせいで背中を強打しいろいろなところを打ち付けたため出血したり痣ができたりとなったわけだが。
赤羽会長はそれに大分責任を感じているらしかった。
この学院には病院ばりの設備が整っているので簡単な治療ならできてしまうし、それが手術を伴わない怪我ならなおのこと楽に手当できた。
なので、痛いといえば余裕で痛いし立ち上がるのもつらいが、そんなに暗くなるほどではないと思うんだ。
何も悪いのは赤羽会長だけではないんだから。
しかしこういう時どう声をかければいいのかわからないのは相変わらずだ。うん、さっぱりわからん。
なんだかバスケットボールが頭に直撃したときとのデジャヴを感じるなと思ったけれどきっとその程度の問題じゃないんだろうな赤羽会長からしたら。
私が軽視しすぎなだけかもしれないけれど赤羽会長は考えすぎだと思うんだよなあ。考え過ぎたらきっと人生つまらないよまだこんな年なのに。
そう考えていると、不意に赤羽会長が呟いた。
「俺は君に怪我をさせてばかりだな」
「バスケットボールがあたったりとか?」
そう聞けば「うん」という短い返事が返ってきた。
「別にあれは怪我してないし私の不注意でもあるからノーカンだよ」
「前はたとえノーカンになっても今回は絶対にノーカンにはならないよ」
「ノーカンでいいと思うよ、別に悪意があったわけじゃないし」
「悪意がなければ何でも許されるってわけじゃない」
ああ言えばこういうなあもう!!こっちが許すって言ってんだからノーカンでいいじゃないか。
「別に私は何も気にしてないからいいんだよ」
「俺はよくない」
立ち上がろうとした瞬間ぐっと腕を掴まれる。おい待て痛いっつーの。予想以上の力に椅子に引き戻される。そして幸か不幸か、ガラリと保健室のドアがあいた。保健室の先生ならば良かったんだろうがドアを開けたのはアヤノちゃんだった。
今の私は怪我だらけで、その上赤羽会長に腕を握られている。
対する赤羽会長は苦痛に満ちた表情で私の腕を握っている。
どうしようか、なんだか収集がつかなくなりそうだ。




