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ついこないだ私は体調不良で倒れたらしく保健室に運ばれた。
それは黄牙くんの手によってとのことだった。
とてつもない違和感とだるさに襲われながらそれを聞いた衝撃といったら。
黄牙くんが私のこと運んだとか嘘だろと思った。いや嘘であってほしかったし。
しかし喉に魚の小骨がつっかかっているかのような、とてつもない違和感を感じもどかしいわけだがどうしようもないのであきらめた。
いつか思い出すだろう。
そして最近女子たちの騒ぎようが凄まじいなとしみじみ感じていたところ話をきけば赤羽会長がもう少しで誕生日らしい。まじか、私今まで全く知らなかったわ。というより興味がなかったので聞いてもまったく覚えていなかった。
また今までのクラスがそこまでミーハーが大量生産されているクラスじゃなかったし、何より低学年だったので誕生日でそこまで騒ぎ立てやしなかったのだがもう高学年だ、色気づいてきた多感な女子からすれば一世一代の大イベントなのだろう。
ちなみにいうと赤羽会長の誕生日は来月だ。まだまだあるじゃないですかーうわーなんて思ったのは内緒だ。しかも七月二十七日なので、正確には二か月ほど余裕がある。なのに彼女たちの騒ぎようといったら狂気を感じさせる。
赤羽会長、そこまで良いか……?
「赤羽くん誕生日らしいねー」
「そうなんですの」
談話室で雑談の最中にさりげなく赤羽会長の誕生日の話題をふると興味なさげにアヤノちゃんが相づちを打つ。本当に興味ないもんなあ。
「それで思ったんだけど、アヤノちゃんって誕生日いつ?」
今までこんなに一緒にいたのに私はアヤノちゃんことを全然知らないのだなと思ったのだ。しぐさや、口癖だとか、好きな食べ物はわかっているけれどもそれでもやっぱり知らないのだなあと感じてしまう。クラスが離れているのもあり、やはり寂しい。
「わたくしの誕生日なら八月一日ですわよ」
淡々とした口調でアヤノちゃんが言う。
「ええええ!!!もう少しじゃん!」
「どこがですの」
「もう少しだよ!だってあと二か月程度しかないじゃん!」そう喚くと「赤羽サマはよろしいんですの?」と言われた。赤羽会長とかぶっちゃけどうでもいいからアヤノちゃんの誕生日がもう少しなことに私はもうどうすればいいのか。二か月で何が用意できるんだ。最高の形で誕生日を迎えてほしいんだが。
「それなら赤羽サマのほうが近いでしょうに」
「だってアヤノちゃんの方が大切だからね」
「知ってますわよ、そうじゃなきゃわたくし流石に怒りますわよ」
ふざけたように言うアヤノちゃんは嬉しそうだ。
「カナタさんはいつが誕生日なんですの?」
「んんーいつだっけなあ」
少し考える素振りを見せると自分の誕生日も覚えてないのかと聞かれた。
「確かねー……二月十四日だったと思うよ」
「あら、バレンタインデーじゃありませんか。覚えやすいのに」
そうなんだけれどもこうも忙しいとそんな自分の誕生日なんてどうでもよいこと忘れてしまうよね。ただでさえ精一杯なのに。
「というか、まだまだ先ですわね」
「そうなんだよねえ」
「じゃあ準備期間もたっぷりあることですし、次の誕生日は楽しみにしておくといいですわ」
挑戦的な笑みでアヤノちゃんがいう。アヤノちゃんが言うんだから相当楽しみにしておくべきだろうな。家族以外に祝われる誕生日は、こちらの世界で初めてだと思うのでちょっと今からわくわくしていたりする。
まあその前にアヤノちゃんの誕生日を祝わなきゃね!




