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今日から木曜日にかけてお家を完全に留守にするのでPC勢なため感想は金曜日に返信させていただきます。
お気に入り登録が1000件を突破しました。ここまでのびるとは正直思っていなかったので嬉しいです。
パーティーは無事終了し私はその後家に帰宅した。
赤羽会長とか赤羽会長とか赤羽会長とのやり取りはかなり体力を消耗して疲れたけれどアヤノちゃんと話せたのは嬉しかったし癒された。
私のオアシスはアヤノちゃんだけだ……。
あ、そういえばアヤノちゃんのお兄さんにも会った。
赤羽会長との一波乱が終了した後アヤノちゃんが戻ってきてその隣にはお兄さんもいた。イケメンだった。
謎のキラキラとしたオーラを放っていて「アヤノをよろしくね」と言われた瞬間凍り付くかと思った。
文句なしのイケメンだったし謎の余裕があって大人だなあと思いました。まる。あれ、作文。
まあ私も精神年齢は大人なはずなのだけれどね。
冬休みはあっという間に過ぎ去った。
課題を早急にすませた私はやることがまったくなくて暇だったので毎日ちまちまやるんだったと少しばかり後悔したがそれでも短く感じるぐらいにはあっという間に過ぎ去った。やることがないなどなんだかんだぼやきながらもわりとやることはあったのだ。
空乃と遊んだりとか。
長期休暇の時しか会えないのだからその分一杯関わらなければ本当に空乃に覚えてもらえない。
それはつらい。
ということで必死にかかわったわけだ。
お正月になると親戚がたくさんきてお小遣いをたくさんもらった。それはもう大量に。子供に与える量じゃないだろうと思いつつも貯金箱の中に詰め込んだ。ありがたいにはありがたいわけだからね。
初等科も後半にさしかかり、もう立派な高学年になった私だ。
低学年の頃の私は赤羽会長や青角くんを除く攻略対象キャラ達とはあまりかかわりを持たなかったし、頑張った方だと思う。
しかしその努力もむなしく何故か私は黄牙くんと同じクラスになってしまった。
ちなみに言うとアヤノちゃんとは離れ離れだし、瑠奈ちゃんもまりなちゃんとも離れている。なんて悲惨なクラス分け。
アヤノちゃんのクラスには赤羽会長と青角くんの二人がいる。
あの二人がそろっていることからアヤノちゃんのクラスの休み時間は女子が騒がしいらしい。
そりゃそうだろうな。
アヤノちゃんはクラスで孤立していないようだったので良かった。しかし若干寂しくもある。娘が嫁入りする前の父親ってこんな気分なんだろうな。
とりあえず何が言いたいかって黄牙くんと同じクラスっていうのがいただけない。
私は黄牙くんをとてもじゃないが好きになれないと思っているし、現に好きじゃない。
それに、青角くんと同じクラスだったときは青角くんがやんわり女の子たちをしずめてくれていたからなんとかなったものの黄牙くんの場合はほとんど無法地帯となる。中等科のお姉さま方や、6年生なんかが頻繁に出入りして正直言って居心地がとても悪い。
それを黄牙くんはとがめないのだから尚居心地が悪い。
攻略対象キャラと同じクラスになるということはこういうことなのだ。
しかし黄牙くん……。何故そこで黄牙くんという謎のチョイスをしたんだ……。
しかも私のクジ運は悪いレベルのものではない。
通路を挟んで黄牙くんと隣である。男女が机をくっつけて二人ずつで座るわけだ。
私の左隣は伊達くんだ。伊達くんと聞いて一瞬独眼竜を思い浮かべたが別に眼帯はつけていなかったし、普通にかっこいい顔立ちをしていた。それに普通にいい人だったのでそこは安心した。が、問題は右となりだったのだ。先ほどいったように通路を挟んで右側には黄牙くんがいる。とても居たたまれない……。
クラス替えに絶望し、しばらくたったある日のことだった。
私は黄牙くんと同じクラスだったことを、激しく後悔した。
私と黄牙くんの持っていたシャープペンが、偶然同じものだった。私は今の今までそれに気づかないでいた。
別にそれだけだったらシャープペンを変えるだけですんだのだがそうはいかなかった。
休み時間、黄牙くんが筆箱をごそごそと漁りながら呟いた。
「あれ、シャーペンない」
攻略対象キャラ達は、勿論人気がある。なのでその私物を盗んだりする不届きな人間も必ず存在するわけで。
「ねえ、そのシャーペンさ」
黄牙くんが疑い深い目で私を見た。
そう、偶然にも黄牙くんと同じシャープペンを所持していた私は当たり前のように標的にされるわけで。
「アナタが盗んだんでしょう」
びしり、上級生のお姉さまのうちの一人が指をさして高らかに言った。
人に指をさすなんてお嬢様の癖に随分と行儀が悪い、それにただ同じものをもっていたというだけでそれでいてたまたま黄牙くんのシャープペンがなくなっていただけでどうして私が盗んだという扱いをされなければならないのだ。
大体アンタ、クラスはおろか学年違うだろ、帰れ。そう思ってしまったのは悪くないと思う。
「濡れ衣ですが」
「じゃあその手に持ってるシャーペンはなんなのよ」
「いや私のシャープペンですが」
上級生のお姉さまは目に見えて苛立っていた。苛立ちたいのはこっちだというのに。
結局その日は結果が有耶無耶になってしまったが、その日を境にクラスの私に対するあたりが強くなったのは確かだった。
私のクラスはどうやらミーハーなファンが多めというか、ほとんどがミーハーなファンで形成されていたらしくクラスの女子からフルシカトという謎の嫌がらせというかなんというか。そんなものをうけた。
わりと悲しいわけだが、対して仲の良い子がいるわけでもないし別にいいかという結果に落ち着いた。
アヤノちゃんにフルシカトされたら立ち直れないどころじゃあないがな。
実を言うと前世で若干いじめられっこだったりもしたのだ。経験値の差だ。
一週間もすればそれは収まったし、何より一週間ほどたったある日に黄牙くんのシャープペンは見つかった。あるクラスの女の子のポケットから。その子は焦りながら黄牙くんにあやまっていたが、黄牙くん以前に私に謝れとも思ってしまった。
そりゃ対して気にしなかったとはいえ無下に扱われて腹が立たないわけがなかった。
大体黄牙くんは自分の発言力を考えて発言してほしい。そんなこともわからないのだろうか。
私だって前世があるとはいえ人間だ。黄牙くんとなんらかわらない人間なんだ。だから腹だって立つしこれから黄牙くんのことを好きになれる気がしない。というか絶対に好きにならない。
クラスの女の子のほとんどが謝ってくれた。別にもう気にしてない、嘘だ、とても気にしている。
「……女の子って大変だね」
「ほんとね」
ふうとため息をついたら伊達くんに話しかけられた。本当多感な時期に何しでかしてくれてんだってねー。




