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私はもう三年生になる。
しかも驚いたことになんと私には弟ができた。
お父さんとお母さんからの手紙で二年生になった初めの頃に「弟か妹ができるわ!!」と綴られていた。まじか。私が学校に行って家を留守にしている間おまえら何やってんだとつっこみたくなったが、まあ子供は嫌いじゃないし前世にも弟がいたので嬉しい。
それからは手紙が結構な頻度でくるようになった。
「男の子なんだって!!」「頑張れ、お姉さんになるのよ!!」なんて内容だった。
お母さんそういえば男の子ほしいっていってたしね。まあ私が男だったら男だったてお父さんの方が「娘ほしい~」とか騒ぎだしそうなものだろうけど。
そして三年生の夏休み。丁度私も家に帰宅し在宅していたとき。
お母さんは元々虚弱なのもあって基本的にベッドで寝ている。たまにつらそうにせきこんだりお腹をおさえたりしていたのだが、それがいつにもましてつらそうだったので仕事最中だったのは知っていたがお父さんに電話をした。
部下らしき人に「妻が生まれるから帰る!!」と叫んでいたのが電話越しに聞こえた。
おい父よ、その言い方は少し語弊を招くぞ。
妻が子供を産みそうだから~とかもう少しマシな言い方はなかったものかと思った。
でも今思えば、仕事を放りだしてまで妻の元に帰るって、本当にお母さんのことが大好きなんだな。
一波乱ありながらも、無事弟は産まれた。
病室の外でソファに座りながらじっと待ったのだ。ちなみにその間、お父さんはずっとうろうろしていた。余程不安らしかった。
そんな一番楽しみにしていたお父さんの前に私は弟を抱いたのだけれどね。
名前は「空乃」である。
私の名前をあわせると空の彼方になる。少しロマンチックだよね。
空乃は小さいながらも美青年に育ちそうな顔立ちをしていた。
まあ私は夏休みがあっという間に過ぎ去ったから空乃にあまり会えないんだけどね。
顔も名前も覚えてもらえてないだろうし、それに私自身全然会えないせいか姉となった実感がわかない。
「アヤノちゃん、そういえばねー弟ができたよ」
「そうなんですの!!?」
話してみればアヤノちゃんは心底驚いていた。
「私の家は兄しかいませんから、弟なんてちょっと羨ましいわ」
「ええ、お兄さんいいじゃん。かっこいいし」
実は一年生の頃の夏休みのパーティーで、私はアヤノちゃんのお兄さんを見つけた。
その時は確定してはいなかったのだけれど、後でアヤノちゃんに聞けばお兄さんだと教えてくれた。
アヤノちゃんのお兄さんはキラッキラの金髪だ。サラサラストレートで品がある。丁度良い髪の長さに堀の深い外人さんのような顔。深々とした青色の目。それに加えて高身長、高学歴ときた。悪いとこなしだ!しかも優しいとくれば申し分なさすぎて人生イージーモードのようにしか思えない。
「そんないいものかしら」
「いいよーお兄さんほしい」
今までお兄さんがいるという経験がない私からしたら最高だ。
それに口ではそんなことをいいながらもアヤノちゃんはきとお兄さんのことが大好きだ。
ソースは私。
「じゃあ今度の冬休みに父主催のパーティーがうちであるのですけれど、その、招待してさしあげてもよろしくてよ!?」
半ギレ状態だった。
アヤノちゃん流照れ隠し、かーわーいーいー。
「本当?嬉しいな。でも私なんかがいっていいのかな」
「カナタさんだから良いんですわ!」
言った後に「あっ」という顔をしたアヤノちゃん。お~お~ついにアヤノちゃんにもデレ期かな!?




