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私の世界と小さな島  作者: 夢羽
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雨降る夕方

私が住んでいる島は、周りを海に囲まれ、

本土を行き来する船は、1日に3回ほど…。



島の人口もそんなに多いわけじゃない。





そんな島で私はずっと生きてきた。

そして、これからも…。



いつかの雨の日に、あの場所であの人と出会い、

私たちの、少し不思議で可笑しい日々が始まった。

雨がザァザァと降る。




昼間は、曇ってただけなのに…。

折り畳み傘持ってきといて良かった。




小さく息を吐きだして、

カバンを掴んで、教室を出る。




誰もいなくなった廊下を一人で歩く。




下校時、担任の先生に仕事を押し付けられたのだ。




押し付けられた仕事は、いくら嫌でもやるしかない。

それが、資料詳細をホッチキスで留めるという、地味だけど、異様にしんどい作業でも。




帰り際、出来上がった資料を届ける際に、先生に聞く。

「なんで、私に仕事を任せたのですか。」と。




先生はそれを聞いた後、自分の作業をしながら答える。




「すぐそこにいたから。」




私は面食らった様に口をポカンと開いたまま、暫く閉じることが出来なかった。









失礼しました。と、職員室を出たのは、それから数秒した後だった。





「雨だから、友達の部活も休みだし、一緒に帰ろうって約束したのになぁ…。」




分厚い雨雲を見上げて、ポツリと呟く。

その小さな声は、鳴り止まぬ雨音でかき消された。




灰色の空の下でポンッとオレンジ色が映える。




私はオレンジ色が好き。

強くなくて、甘すぎるわけでもない、中立の色だから。




少し前に友達に好きな色を聞かれたときに、私が答えたセリフ。

友達は太陽みたいだね。と、明るく笑ってくれた。




私はその太陽と同じ色をした傘を、くるりっと回して、

水溜まりを踏まないように、注意して一歩目を踏み出した。

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