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プロローグ
君の生きている理由が無いんだったら、私も一緒にその理由を探してあげる。だから、もう2度と「生きている理由もないから死にたい」なんて、言っちゃダメよ、と。出会ったばかりの一つ年上の少女に、そう優しく言われた時……。
きっとそれは、僕……鈴木竜也の人生における、1つのターニングポイントだったんじゃないかと思う。
あの時、僕に向かってのばされた救いの手を、もし僕が取っていなかったら。今の僕は、恐らくここにいないだろう。
そう思えるほどに、彼女の言葉は僕にとって、福音に等しかったんだ。