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-母親の死- プロローグ
暗い山中で月の光に反射しはっきりと見える。
赤い血が音と共に溢れでる。
母親を殺した。
あんなに、好きだった母親を殺した。
自分の意思でも、行動ではない。
いつも絶望と共に生きてきた自分は、
"死"
を知らない。
いやな事が積み重なり、
自分を殺す。
人は死ぬと心も体も停止し
やがて腐食して
原型も無く消え去ってしまう。
だが自分は
心すら停止せず、自分を傷付ければ
付けた分だけ、いやな事が積み重なり
ただ絶望するだけだ。
そしてただ支えてくれたのは母親。
父は、母が言うには自分が生まれる前に
家を出て行ったと聞いた。
そして今。
大切な家族を殺し、家族がいなくなったところだ。