03:異世界の世界情勢
「激戦地に行かせて下さい」
あたしの周囲を取り巻く人たちの空気が凍ったと思ったら、次の瞬間、どっと爆笑の渦に包まれた。
王様のボディーガードみたいな屈強な男たちなんて、腹抱えて笑ってるし。失礼な。
その中の一番偉そうっていうか、強そうな人がずいっとあたしの目の前に立った。175cmあるあたしでも見上げるだけの長身だ。きっと190近くはあるんだろうな。
あー、あたしもヒール履いてりゃ見下ろされずににすむのにー。
「あー笑った笑った。お嬢さん、激戦地って…どんな所か知ってるか?」
「当たり前じゃない。だから言ったんだけど。あたしは自分が実行出来ない事は口にしない主義なの。」
「だったら、余計に。あんたは召喚された王の花嫁候補だ。それにあんたは女。戦場に出させるわけにゃいけないだろ。」
何それー。男女差別はんたーい!
「頭弱いのね、あなた。可哀想に。」
あら、顔がひきつったわよ。まだまだ修行が足りないわね、ぼ・う・や☆
「あたしは花嫁候補だって言うけど、王様直々にその権は免除されたわけよね。そうでしょ?」
「ああ。お前が王妃になんてなったら、国民がむせび泣く派目になるのは目に見えてる。」
「あら、歓喜にむせび泣くのよ。わかってないわね。で、話は戻すけど。花嫁候補から外れた異世界人のあたしの処遇はどうするか。目下の問題はそこでしょう?まぁ、ここから遠からず、近からずの場所に送られるんだろうけど、それで暮らして行くには働かなきゃいけないし。ただ漠然と暮らすなんて、税金の無駄遣い以外の何者でもないでしょう?まー、ここに生物工学の研究室とか、製薬会社なんかがあったらそこであたしの素晴らしい頭脳を発揮出来たんだけど、ないでしょ?あるわけないわよね、召喚ができるくせに魔法が使えないへっぽこな世界なんだから。だったら、あたしが出来ることって言えば戦場での大活躍!しかないわけよ。わかった?」
「いや、全く…」
「はー…頭の回転をちょっとは働かせなさいよ。ちゃんとシナプスが神経伝達物質運んでるんでしょ?ちゃんと受動しなさいよね。ねぇ、そこの!あんたよ、あんた!!そこの王様の隣に立ってる無駄に顔がいい男!そう、あんたよ!!あんたが、王様の次に偉そうだから聞くけど、この世界の情勢ってどうなってるわけ?まさか大陸全般に平和ですって事はないんでしょ?」
無駄に顔がいいって言うのは語弊じゃない。王様には劣るけど、この人だって立派なイケメンだ。趣味じゃないけど。
「は…はぁ。確かに大陸全てが平和と言うわけではございません。ここより南の国では、内乱がございますし、西では後継者問題が国際問題にまで発展しておりますから…。」
「ほらー、異世界でも平和って尊いものなんでしょ?じゃああたし一人がその平和活動する事に依存はないじゃない。それに、異世界人のあたしが死んでも、あなた方には痛くも痒くもない、単なる些細事なはず。だったら、いい厄介払いになるんじゃない?」
にっこりと周りに花まで撒き散らしながら微笑んでやった。実際、撒いたわけじゃないけどね。
「それに、あたし、こう見えても修羅場の数はくぐってきてるからね。そう簡単には死なないわよ。死ぬ気もないし」
「いいだろう。戦地に行くがいい。ただ、すぐにはダメだ。」
「あぁ、他の候補たちとの顔見せとか?別にすぐ居なくなるんだから、そんな面倒くさい事しなくていいのに。あ!あたし魔獣ちゃん欲しいのよね!何処にいるの?」
「ガッシュの森だ。」
ガッシュの森ね!よし、思い立ったが吉日!今すぐ捕獲しに行こう!
って、さっきの筋肉質のボディーガードが通らせてくれない。ちょっとー邪魔なんですけど?
「ねぇ、どいてくれる?今からそのガッシュの森とやらに言って、魔獣ちゃんを捕まえてきたいんだけど。」
「捕まえたいんなら、俺を倒してから…ぶっはぁ!!」
「邪魔しないでくれる?それとも何?あんたドM?このまま踏まれてたい?」
掴みかかってきた筋肉質を四の五の言わずに、関節技をかけて投げ飛ばし、ついでに踏みつけてやった。
いやーん、弱いのね。ピンヒール履いてないのが、惜しすぎる!
あれ、でもなんかうっとりした目で見られてるわね。キモいわ。真面目にドM?しかも、羨ましそうな目で見てる人たちがそこここにいるし…ちょっと、この国大丈夫?
「あ…あの!!とりあえず、今日は遅いのでお休みになられてから、明日詳しい事を決めると言うことで如何でしょう!」
王様の次に偉そうな男…面倒くさいので次郎さんでいいや。ちなみに、王様は太郎ちゃんね!!
次郎さんがま、それもそうね。っていう提案をしてくれたので、大人しくそれに従うことにした。
あ、踏みつけてたマッチョメンは手を差し伸べて、起こしてあげましたよ。あたし、優しいからさっ!




