01:プロローグ
えーっと。
ここはどこかしら?
どうして、こんなにあたしの周りに人がいるのかな。
ていうか、初対面だけど言っちゃっていいかな。気になるんだけど。
「変な服」
あれ、これ地雷だったのかしら?
なんかものすごく青筋立ってるような気がするわ。
だっておかしな服着てるんだもの、口に出しちゃうでしょうよ。
大体なんなの、そのズルズル裾の長いローブみたいなの。
あんた男だよねぇ?そうよね?どっからどう見ても男よね。その青いアゴ見りゃわかるわよ。寄らないでよ、キモイわ。
うっわ、袖から出てる腕毛…。あたし体毛濃い人って苦手なのよね。かといって女以上にツルツルなのも嫌だけど。
「この女が召喚された花嫁候補か?」
はぁ?
あれ、他にも人がいたのね。
ていうかー!!
召喚ってまさか召喚?じゃあここ異世界?うわ、なんかテンション上がるんですけどー!!
ママー!!あたし異世界トリップしちゃったー!!凄くない!?この世界魔法とかあるわけ?あたしも使えるの?だったら、空飛びたーい!!
え?魔法が使える世界じゃない?は?そんなのアリなわけ?召喚出来たんなら、魔法使えるでしょうよ。なんなの、その中途半端な感じ。なんかその半端さに腹立つんですけど。責任者出て来い、こらぁ!!
あたしはクレーマーじゃないけど、これにはクレームつけていいでしょ!?
え?魔獣はいる?嘘ー、超見たいんですけどー!乗れたりするの?え?出来る?きゃー!!あたし専用の魔獣ちゃんほーしーいー!!!!
あ。
つーか、花嫁候補って何よ。花嫁じゃないのね。候補って何よ、候補って!!
じゃあ、候補から外れたらどうすんのよ。え?好きに生きていいって?
はっ!バカじゃないの、あんた達。いかにも世間知らずよね。この世界の事を何一つ知らないのに、いきなり予告も無しに召喚されて、はい、候補からあぶれました。じゃあ好きに生きてくださいなんて、じゃああんたが逆にあたしの世界に行ってみなさいってーのよ。
そんな趣味の悪い服なんか着てたら、確実に警察に職務質問されて、「はいはい、わかったから、名前教えてねー」って軽くあしらわれて、最悪派出所に連れて行かれるんだから。
うーけーるー!!
「お前のような女なんか絶対花嫁に選ばない」
うっるせーよ!!
あたしにだって選ぶ権利あるのよ!!つーかあんた誰だよ!!
「余はこの国の王だ」
ふーん。そうですか。
反応薄いなって?いや、展開読めれば普通わかるでしょ。バカじゃないんだから。
つーか、あたしのタイプじゃないし。いくらプラチナブロンドの髪に蒼い目って言われてもねぇ。はいはい、天に授けられたようなルックスですよ。お綺麗ですこと。
でもね?あたしのタイプは蝶野さんなの!!ゴリマッチョ大好きなの!!あんたじゃ細すぎるのよ!!鍛え直して来い!!
あー、もう疲れたー。
寝たいんですけどー。
「お前は一体どうしたい。余の花嫁には選ばぬ故、好きに致せ」
うわ、上から目線。カティーンですよ、あたし。
うーん。好きに、か。じゃあ…
「あたしを激戦地に行かせてください」
さあ、血が湧くわぁ!!