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世界崩壊後、日常生活スキルで俺が最強拠点を作ってしまった件  作者: ナマケモノ


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コンビニ制圧と新たな機能

第10話です。宜しくお願いします。


エンジン音が静かに響く。

 住宅街を抜ける細い道路を、黒瀬悠真は慎重に車で進んでいた。

 助手席では、瀬川陸斗が窓の外を警戒するように見つめている。

「……やっぱり、誰もいないですね」

「ああ」

 短く返す。

 崩れた建物。

 割れたガラス。

 放置された車。

 ほんの数日前までは、人の生活があったはずの場所が、まるで廃墟のように変わっていた。


 人の気配は——ない。


 あるのは、異様な静けさと。

 いつ現れてもおかしくない“何か”の気配だけ。

 その時だった。

 視界に、見慣れない表示が浮かび上がる。


《テリトリー登録可能対象を検知しました》

対象:軽自動車

テリトリーとして登録しますか?

【はい/いいえ】


「……は?」

 思わず声が漏れる。

「どうしました?」

「車……テリトリー登録できるらしい」

「えっ?」

 陸斗が驚いた顔でこちらを見る。

「乗り物でも関係ないのか……」

 つまり、“その場所”として認識されれば、建物じゃなくても対象になるということか。


 だが——


「……今回はやめとく」

 俺は迷わず「いいえ」を選択する。

 今の目的はコンビニだ。

 無駄に枠を使うわけにはいかない。

「車も拠点にできるんですね……」

「便利ではあるな。でも今は後回しだ」

 そう言いながら、俺は前を見る。

 目的地まではあと少し。

 だが。

「来るぞ」

 俺が呟いた瞬間。

 前方の路地から、影が飛び出してきた。

 犬型の異形。

 その後ろから、さらに二体。

「陸斗!」

「はい!」

 即座に陸斗が手をかざす。 


「——バリア!」


 淡い光が車全体を包み込む。

 次の瞬間。

 ドンッ!!

 激しい衝撃が車体に伝わる。

 モンスターが体当たりしてきたのだ。


 だが——


 車はびくともしない。

「防げてます!」

「そのまま維持!」

「はい!」

 バリアの中で、陸斗はすぐに次の動作へ移る。

 両手を重ねる。

 準備スキル。

 すでに発動していたそれは、道中の移動中に溜めていたものだった。

「まだ残ってるか?」

「はい、かなり……!」

 視線の先に、ゲージが表示されている。


 減っているが——まだ十分。


「撃て!」

「——光線!」

 瞬間。

 二本の光が放たれる。

 至近距離。

 真正面からモンスターを撃ち抜く。

 さらに残った一体へ、追撃の一閃。

 ドォンッ、と鈍い音とともに、三体がまとめて吹き飛んだ。

「……いけるな」

「はい……!」

 陸斗が息を吐く。

 だが休む暇はない。

 すぐに、別方向からも気配が来る。

「まだ来る!」

「任せろ!」

 俺はアクセルを踏み込む。

 車を前に出しつつ、陸斗が再び光線を放つ。

 準備ゲージはまだ残っている。

 完全にゼロになるまでは、威力は落ちない。


 だからこそ——


 連戦が可能。

 光線が次々とモンスターを撃ち抜いていく。

 突撃してくる個体。

 側面から回り込もうとする個体。

 どれも、近づく前に消し飛ばされる。

「……これ、強いな」

「はい……!」

 数日前の自分なら、考えられなかった。

 あの絶望的な状況。

 最後の一体に追い詰められた時。

 それを思い出せば、この状況は明らかに違う。

「……あと少しだ」

 前方に、見えてきた。

 目的地。

 コンビニ。

 看板は傾き、文字はかろうじて読める。

「ジョンソン……」

 俺は車を駐車場へ滑り込ませた。


 ◇


「着いたな」

「……はい」

 エンジンを切る。

 一瞬の静寂。

 だが中に入る前に、俺は周囲を確認する。

「……今のところ、大丈夫そうだな」

「行きましょう」

 車を降りる。

 入口の自動ドアは壊れており、半開きのまま止まっていた。

 中は暗い。


 そして——


「……うわっ」

 陸斗が顔をしかめる。

 中に入った瞬間、鼻を突くような異臭が広がった。

 腐敗臭。

 生ゴミのような、いや、それ以上の不快な匂い。

 電気は止まり、冷蔵も冷凍も機能していない。

 棚の商品は荒らされ、床には散乱した食品。

 その上を、ハエが飛び回っている。

「……ひどいな」

「ちょっと、これは……」

 思わず口を押さえる陸斗。

 だが。

「……ここを使う」

 俺は静かに言った。

 この状態でも。

 いや、この状態だからこそ。

 このスキルがある。

 目の前に、表示が浮かび上がる。


《テリトリー登録》

対象:ジョンソン〇〇店

登録しますか?

【はい/いいえ】


 迷いはなかった。

「……はい」

 選択した瞬間。

 新たな表示が連続で出現する。


《テリトリー修復を開始します》

《環境維持を適用します》


 次の瞬間。

 店内に、淡い光が広がった。

「……っ」

 陸斗が息を呑む。

 床に広がっていた汚れが、波紋のように消えていく。

 割れていたガラスが、逆再生のように戻る。

 ひび割れた壁が、音もなく修復されていく。


 そして——


 ブンッ、と音がして。

 電気がついた。

「……え」

 蛍光灯が点灯し、店内が一気に明るくなる。

 同時に。

 あの異臭が、嘘みたいに消えた。

 ハエも、跡形もなく消失している。

「……すご……」

 陸斗が呟く。

 さらに。

 冷蔵ケースが動き出す。

 冷気が流れ込み、曇っていたガラスがクリアになる。

 中の腐っていた商品が、一瞬で“入れ替わる”。

 新品の状態へと。

 まるで、時間を巻き戻したかのように。

 だが、表示を見ると分かる。


修復進行:63%

環境安定化:71%

残り時間:01:12


「全部直すのに、これだけの時間でいけるのか……」

「はい……どんどん綺麗になってます」

 その通りだった。

 棚。

 床。

 天井。

 すべてが、みるみるうちに“正常”へと戻っていく。


 そして——


 約二分後。

修復完了

環境安定化完了

 表示が消える。

 そこにあったのは。

 完全に機能を取り戻した、コンビニだった。

「……すごい」

 陸斗が、心からの声を漏らす。

 俺も、少しだけ笑った。

「ここまでとはな」

 正直、予想以上だった。

 レベルを上げていたからこそ、ここまで大規模に修復できたんだろう。

 その時。

 新たな表示が浮かび上がる。


《テリトリー複数登録ボーナス》

新機能を解放しました

詳細……


「……なんだこれ」

 気になるが、今は後回しでいい。


「とりあえず——」


 俺は店の奥を見る。

「拠点、繋げるか」

「はい」


 ◇


 《テリトリー置換》を選択する。


 対象は——自宅。


 次の瞬間。

 空間が歪む。

 視界が一瞬揺れる。

 そして。

 コンビニの隣の空間に、家が“現れた”。

「……っ!」

「これ……」

 まるで最初からそこにあったかのように、違和感なく存在している。

「行くぞ」

「はい」

 二人で家の玄関へ向かう。

 ドアの前に立ち、俺は軽くノックしてから開けた。


「ただい——」


 言いかけた、その瞬間。

 目の前にいたのは。

 見知らぬ男だった。

 年老いた、背筋の伸びた老人。

 燕尾服のような服装。

 まるで執事のような姿。

 その男が、深く頭を下げる。

「お帰りなさいませ、坊ちゃま」

「……は?」

 思考が止まる。

 誰だこいつは。

 なんで、俺の家にいる。

 状況が理解できないまま。

 老人は静かに顔を上げた。

 その目は、まっすぐにこちらを見ていた。

ジョンソンってコンビニは青と白の全国にあるあのコンビニでございます。



読んで頂きありがとうございます!!


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― 新着の感想 ―
アパートの一室のみ取り寄せたの? コンビニ店内機能と商品回復させたら モヒカンのヒャッハァーな世紀末の人が集まって来るのでは?。
コンテナみたいに部屋だけ来たんか?
アパートだったのに家に変わってる
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