最終話 覚悟しててくださいね (from 神無月京子)
ボクが好きになったのは、同い年の女の子でした。
「えへへ~。四宮さ~ん」
ベッドの上で、大好きな彼女へ想いを馳せます。ボクの手には、キーホルダー。彼女が見つけてくれた、いや、彼女がプレゼントしてくれた、大切な大切なキーホルダー。
四宮さんは覚えていません。五年前、ボクたちがすでに会っていることを。
♢♢♢
『初めまして。あなた、名前は?』
『……えっと。森京子、です』
『私、四宮真央。よろしくね、京子ちゃん』
小学四年生の夏休み。親に無理やり参加させられた、二週間の塾の体験入学。不安で不安でいっぱいだったボクに、四宮さんは積極的に話しかけてくれました。それがどれだけ嬉しかったか。どれだけボクの心を救ってくれたか。
いつも笑顔で、いつも明るくて。人見知りなボクのことを気にかけてくれて。そんな彼女に惹かれるまで、それほど時間はかかりませんでした。
『京子ちゃん、これあげる』
『……キーホルダー?』
『うん。家で妹と一緒に作ったんだー。なかなかいい出来でしょ?』
『ど、どうしてボクに?』
『ほら。もう少ししたら体験入学も終わって、京子ちゃんとは会えなくなるでしょ。けどこれがあれば、ずっと友達でいられるかなって』
『ずっと……友達……』
『受け取ってくれる?』
『も、もちろんです! あ、ありがとうございます、四宮さん!』
二週間はあっという間でした。ボクは四宮さんと離れ離れに。手を振って『また会おうねー』と叫ぶ彼女の笑顔を、今日に至るまで忘れたことがありません。
それからのボクは、自分でも驚くほど人付き合いに積極的になりました。話し方や表情、気の配り方。四宮さんの姿を思い出しながら、どこまででも自分を変えていきました。
中学の頃、両親の離婚で生活が一変。名字が「神無月」になるというつらい事件もありましたが、それでもボクは頑張りました。
全ては、四宮さんのような魅力ある女の子になるために。四宮さんと再会した時、胸を張って隣にいられるように。
♢♢♢
「ふふ。今日、お弁当美味しいって言ってくれましたし。明日はもっと気合い入れて作らないといけませんね」
手に持つキーホルダーを胸に押し当てるボク。
高校生になって、四宮さんと再会して。最初はその変化にとてつもなく戸惑っちゃって、なかなか話しかけられませんでしたけど。
ボクが大切なキーホルダーをなくしてしまった時、それを彼女が見つけてくれた。
これが運命でないわけがありません。
断言できます。あの瞬間、五年間ため込んだ四宮さんへの想いが爆発したのだと。
まあ、ちょっぴり暴走気味になっちゃってるのは自覚してますよ。ちょっぴり、ね。
「メニュー、何にしましょうかね。またプチシュークリーム持っていくのは確定として」
四宮さん。
大好き。
大好きです。
世界中の誰よりも。
ボク、諦めませんから。
いつか絶対、ボクのこと好きだって言わせてみせます。
「覚悟しててくださいね、四宮さん」




