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馬鹿王子と結婚して国を守った王女の話

作者: 山田 勝

 天にまします我らが女神様、どうかこの国難をお救い下さいませ・・・


 私は祈る。この国難に・・・


「陛下!敵三方向から攻めて参ります!我国単独ではもちません・・・」


「うむ・・・」


 私は王女ミリディ、末の王女ですわ。

 我国が宣戦布告されて困っていますわ。


 民が戦火に巻き込まれて泣いてくらしておりますの。


「ええい。ノース王国に救援要請を!」


「それが・・・返事は『否』とのことです。あそこは馬鹿・・・王子の国ですから、毎日宴会ばかりしているそうですな」


 この国は四方囲まれている。北の国をのぞいて東西南の国境から軍が殺到していた。

 北の国、ノース王国は騎兵が強い国だ。

 その国が味方についてくれれば・・・・



 私はお父様に内緒で北の国に行きましたの。

 私に構っている余裕はないみたいだわ。


 私は馬を操り数人で向かいましたの。


 ついたらすぐに面会をして下さいましたわ。

 ここは王子殿下が軍事を担っていますわ。

 是非、お話を聞いて頂いて援軍を出して頂かなければ・・・


「ルードリッヒ殿下にご挨拶申し上げすわ」

「用件は何だ」


「是非、援軍をお願いしますわ・・・民が困っております」

「失せろ!」



 王子殿下はそれからも会ってくれないわ。

 官吏達も話を聞いてくれないわ。


「とても、割に合いませんな」

「ええ、出兵する理由はございませんわ」


 私・・・思わず泣いてしまいましたわ。


「グスン、グスン、グスン、ウウウ。お願いしますわ」


 1日、2日、3日・・・私は王太子宮の前で泣き崩れましたの。

 笑われましたわ。


「うわ。泣いている」

「みっともない。国が亡くなるからな。必死だ」



「殿下、民のためです。お願い申し上げます」



 ☆王太子宮


「アハハハ、殿下楽しいですわ。おい、殿下に酒をお注ぎしろ。私の娘ゲリーナでございます」


「殿下、私・・・殿下、どこを見ているのですか?外?ああ、あの泣き女ですわね。みっともないわ」


「興が冷めた・・・下がれ」

「殿下・・・王太子妃は是非私めに!」



 チィ、女はどいつもこいつも同じだ。俺と関係を持ちたがっている。いきなりスカートの裾を持ち上げた令嬢もいた。

 俺の母上は美男子の弟を可愛がっていた。俺を毒殺しようとした・・・


 俺には愛がない。いや、必要がない・・・



 ・・・それからもミリディが王太子宮前で泣き続けていた。


「ゥ、ゥ」


 涙は涸れ声も嗚咽になっていた。

 それを指さし笑い合う宮廷雀たちが大勢いた。


「殿下、まるでコジキのようですね!」

「殿下、とても良いワインを献上させて下さい」

「さあ、ゲリーナついで差し上げなさい」


 ルードリッヒは令嬢からワインを注いでもらい口につけたが・・・・


「お味はどうですか?」

「・・・不味い・・・涙が入ったようだ」

「殿下!どこに行かれるのですか?」


 ルードリッヒはミリディの前に立ち告げた。



「援軍を出そう・・」

「ゥ、ゥ、ァ・・・・ゥ」


 ミリディはその言葉を聞き失神をした。


「兵を挙げる!ザクセン国に援軍を出すぞ!」

「殿下、何故?」

「理由が分かりません」


「・・・これほどまでに国を想う姫がいる。その国を列強は滅ぼそうとしている。なら、我国はどうだ?国を想う烈女を笑う者ばかりだ!簡単に滅ぼされるぞ!」



 軍兵五万、救援に駆けつけ。三カ国は引かざるを得なかった。


「ミリディよ。王太子妃なれ」

「殿下・・・でも、私の母は側妃の出ですよ」

「人の心に身分など関係ない!」

「殿下・・・・」


ミリディは馬鹿王子を改心させた賢妃として列国に名が広まり夫婦仲は良好であったと烈女伝に記載されている。



最後までお読み頂き有難うございました。

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