ヴァルの前日譚
まさか没にしたキャラクターの前日譚が書けてしまうとは…なんか想像が思ったより膨らみました。この話はヴァルが配信者になる前、子供の姿で活動していた時の話です。一応設定を載せときます
ヴァル(擬態時) ベル・ゼ=ヴァルカン(本来の名)
種族 7大罪の悪魔
人気の大食い配信者。グレーの髪に黒い瞳、どこか野生味を感じる整った顔をした美少年。人間には無茶な量の料理を常に完食する圧倒的な食べっぷりと幼さの残ったビジュアル、愛嬌の良さから近頃話題になっている。
たまに配信を切り忘れる事があるが、「あ〜食った食った!じゃあデザートにあれ食うか〜」と30センチくらいのバケツプリンを食べて完食するまでの様子が映ってしまい、「胃袋底なしかよ…」と一瞬でトレンド入りした。
正体は7大罪の1つである暴食の悪魔であり、普段は人に擬態しているが、本来の姿は身長4メートルほどの人型生物。首から上が切断されており、その断面には巨大な眼球がむき出しになっている。腹部には縦に裂けた大きな口が刻まれている化け物。に相応しい見た目をしている。
見た目の割に性格は好奇心旺盛でイタズラ好き
人間を喰らう目的で人の世界にやってきたが、世界の食材に興味を持ち、世界中の料理を食らうまでは人間を喰らうのを第一には考えないだろう。たまにリスナーを誘う事もあるが、配信が終わった後はリスナーは行方不明になっている。彼の人間を喰らう目的の為に呼ばれたのだろう。
いつものように奇異の目で見てくる人間の視線もお構いなしに子供の姿でゴミ捨て場の残飯やゴミを食べ漁るヴァルにブランド品に身を包んだ1人の綺麗な女性が通り掛かろうとしていた。
「……ん?あんた、ベルじゃない?」
その女性はヴァルを見るなり声をかける。どうやらヴァルの知り合いのようだ。
「んあ?誰だ…ってベリじゃん」
ヴァルがいうベリという人物、彼女の名前はロベリ・アスモフィア。彼女も7大罪の悪魔の1人「色欲」の名を持つ。ヴァルをベルと呼ぶのは人間の世界で活動しているかつ、人間の世界でどう名乗っているのかを知らないために呼んでいるようだ。ヴァルとは古くからの仲のようで、ヴァルもロベリの事はベリと愛称で呼んでいる。
彼女は悪魔だと知られないように「ベリア」という名で俳優業をしている。かなり有名なようで、世界中から引っ張りだこらしい(彼女談)
「え、まさかあんたゴミ食べてるの?しかも、そのボロボロの服は何?嘘でしょ、いくら何でも食べると言ってもあんた7大罪のプライドはないわけ?ないわー」
ロベリは7大罪という事にプライドを持っている。そんな彼女がプライドを捨てたようにゴミを食べ漁るヴァルを見ようものならドン引きだろう。
「だって腹減ってんだもん。たまに食いもん恵んでくれる人間もいるけど、それ以外はこうやって食ってるぜ?別に腹壊す事ないんだからいいじゃん?」
ビニール片が口についたままの顔でニッと笑う。無邪気な子供のようなそんな顔で。
「………そんなに何でも食べたいなら、こっちにも案があるわ」
眉間に皺を寄せ、ため息を吐きながらヴァルに近寄る。ヒールでコンクリートの路面をコツコツと鳴らしながら。
「いい?まず周りをよく見る事。人間の視線を利用しなさい。人間に見られていて何も思わなかったの?」
「んー、色んな人間がいるなー、みたいな?」
「もっとこう、興味を持ちなさいよ……まぁベルなら言ってもどうせ右から左に通り抜けるだけだし…それよりコレを見てみなさい。」
ロベリがカバンからスマホを取り出してヴァルに画面を見せる。そこには若い人間が大きな器に盛られた大量の料理を食べている様子が映っていた。
「?なんだこれ?」
「大食い配信ってやつよ。人間の世界では人気があってね、ベルからして、この量はどう思う?」
「この程度なら余裕だなぁ、たったこれっぽっちの量が「大食い」になるなんて不思議だな」
ゴミを食べる手を止め、不敵な笑みを浮かべた。口が裂けたような笑みは人間からかけ離れているように見える。
「そうでしょ?あんたならこの程度余裕。なら、人間を注目させる事ができる。人間の興味が、視線が、あんたに向けられるの。有名になれば、いずれ人間も食べ放題になるわよ」
ロベリはヴァルに手招きする
「まぁ、最初は手伝ってあげる。どうすれば人間の興味がそそられるか、手取り足取り教えてあげるわ。「色欲」の名を持つこの私が保証するから。」
ヴァルを連れて歩きながらロベリは呟く
「7大罪の名を腐らせないでちょうだい。あんた、素材はいいんだからさ。」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
実は没から結局物語を書くことになりました。なのでもしかしたらこのエピソードは消すかもしれないです。




