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ヤギミルク

 ギューイはひたすら自転車を走らせたけど、さすがにお腹がすいたことに気がついたらしい。


 露天商のおじさんからヤギミルクとパンとハムを少し買った。


「いそいで食べちゃおうね?」


 わんわん!!   


 ぼくは夢中になって吠えた。


 ヤギミルクはクセのある感じがしたけど、ゆうべギューイが持ってきてくれたミルクよりは飲みやすかった。


 ギューイはデニムのポケットから小型のナイフを取り出して、ハムとパンを切り分けてくれる。


「さぁ、食べよう。ハムは塩分があるから、ワンタンの分は少しだけど、それでもいい?」


 いいに決まってるよ!! 


 それから必死になって二人でパンとハムをかみしめるように食べた。

 

 もしここに、ギューイのお父さんがいたら、なんと言うだろうか?


 それは今、考えなくてもいいのかな?


 ハムだけを食べつくしたギューイは、残ったヤギミルクとパンをぼくの前に差し出した。


「残り物でわるいけど、ワンタンにあげるよ。ぼく、これからお母さんに電話してみる」


 え?


 でも、それって大丈夫なの?


「最悪の場合を考えても、ワンタンだけは飼い犬にしたいんだ。もちろん、きみのお母さんたちもいっしょだともっといいんだろうけど。それに、さ――」


 ギューイは声をしぼり出すようにして、ムリに笑ってみせる。


「ぼくも本当はお母さんといっしょに暮らしたかったんだ。だから、ウソじゃない、本当の気持ちを伝えてみるよ」


 ギューイはデニムの反対側のポケットから、携帯電話を取り出した。


 ねぇ、ギューイ。もし、きみのお母さんに反対されたとしても、ぼくはギューイをうらんだりしないからね。


 つづく

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