表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/17

風を切る音

 自転車のかごの中で、ぼくは不思議な気持ちであたりを見まわした。


 生まれてから今日まで、ずっと薄暗い場所にいた。


 兄弟がどれくらいいるのか、ママはどんな顔なのか、それすらも知らない。


 手がかりがあるとすればそう、ニオイだけ。


 それなのにギューイは、ぼくに可愛らしい名前をつけてくれた。


 それだけじゃない。


 食べ物もミルクもあたえてくれた。


 なによりも、ママたちをいっしょにさがしてくれるという無償の愛までプレゼントしてくれたんだ。


 こんなことってあるのかなぁ?


 ギューイの運転する自転車のかごの中で、ぼくはまた考える。


 景色が流れて、いろいろ見えるけど。


 ぼくはやっぱり、ママたちといっしょがいいな。


 ねぇ、ぼくのママが見つかったら、ギューイはどうするの?


 ギューイのお父さんとお母さんは、また仲良しになれるのかな?


 それはムリかもしれないけど。


 ギューイのこころはもう動いている。


 だからきっと、大丈夫なんだ。


 ねぇ、ギューイ。


 ギューイがウソをついたのって、きっと家族でしあわせに暮らしたかったからだよね?


 それくらいのことなら、ぼくにもわかるんだよ。


 ねえギューイ。


 もしぼくのママたちが見つかったら、ギューイのお父さんにいっしょにあやまりに行こうよ。


 それがいい。


 ぼくを振りほどいてゆく風。


 その風を切る音。


 たくさんのガソリンのニオイに、人のニオイ。


 だけど今だけは、ギューイのニオイが一番安心するんだ。


 つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ