勇気
ぐしゅっと鼻を鳴らしたあと、ギューイはすくっと立ち上がった。
さっきよりも自信に満ちあふれた顔に変わっている。
「ぼく、ワンタンを家で飼ってもいいか聞くべきだったんだ、お父さんに。でも、お父さんは犬がキライだから、きっとダメだって言われるって思ってあきらめてた。でも、簡単にあきらめちゃダメなんだよね、ワンタン」
ギューイに持ち上げられて、ぼくの体は宙に浮いたような浮遊感を感じた。
正面から見るギューイは、さっきよりもずっとたくましくなったように見える。
「あのね、ワンタン。きみのお母さんと兄弟を探しに行こう!! 今なら間に合わせてみせるから」
そう言うなり、ギューイはぼくを小脇に抱えたまま走り出そうとした。
ダメだよ、ギューイ。ぼくだってきちんと走れるんだぞ、ワンワン!!
「あ、ごめん。ギューイ。自転車の速度についてこれる?」
もちろんさ、ワン!!
そうして、空腹なこともわすれたぼくたちは、国道沿いまで走った。途中でギューイの自転車を拾い上げる。
はじめて見る自転車は、とてもこわくて。
でも、それ以上に国道というか、車の方がこわくて、足がすくんだ。
「おいで。やっぱり心配だから、カゴに乗っているといいよ。全速力で走るからね。振り落とされないように、おとなしくしていてね?」
こうして、ぼくたちのちっちゃな大冒険がはじまったのだった。
つづく




