涙の正体
ごめんよ、と。ひとしきり泣きじゃくったギューイは、さみしそうな声でポツリと言った。
「ぼく、ウソつきなんだ」
ウソつきって?
ギューイはすごくいい子なのに?
ぼくは、ギューイをはげましたくて、彼の涙をちょっとだけペロリとなめた。
「ぼくのお母さんはたぶん、ぼくがイヤになって、家を出たんだ」
それはとてもかなしい告白だった。
ぼくはどう答えればいいの?
ぼくには人間の言葉が話せないんだ。
だから、ギューイをはげますことができないんだよ。
「本当は、妹が生まれる前から家の中が変わっていくのがわかってたんだ。お父さんにはお母さんとはべつに、好きな人がいたから。でも、それが学校でバレるのがイヤだった。からかわれるのがイヤで、ウソつきになった」
最初はね、とギューイは話をつづけようとして、また涙を手の甲で乱暴にぬぐった。
「最初はね、お母さんを守るためのウソだったんだ。だけど、一回ウソをつきはじめると、次々とウソをつかないとつじつまがあわなくなっていくんだ。それに、最後には自分を守るためだけのウソになってた。お母さんは、ぼくのことを好きじゃなくなって、妹を連れて家を出たんだ。ぼくは、お母さんに捨てられたんだ」
そんなことないよ。お母さんがきみみたいな子を捨てるなんてありえない!!
だけど、やっぱりかなしいんだ。
だから、ギューイの目からも、ぼくの目からも、涙がポロポロあふれてとまらなくなるのだった。
つづく