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ほら穴でのできごと

 ギューイはあんなふうに言ってくれたけど。


 あれからぼくたちはつかれてしまってぐっすりと眠ってしまったんだ。


「おい、起きろ!! ギューイ。この役立たずが!」


 気配を察知する前に、ぼくとギューイが鋭い靴先で蹴られていた。


 ぎゃん、と鳴いていてしまったけれど、ギューイの方がもっと痛そうで、おなかをかかえている。


 やめろっ! 


 ギューイはいい子なんだぞ。


 ぼくをたすけてくれたんだ。


 ぼくにごはんをくれたんだぞ。


 だれなんだ、おまえはっ。


「まったく。うるさい野犬だな。おまえも昨日の親子の兄弟なんじゃないか?」


 そう言うなり、大柄な男はぼくを乱暴につまみあげた。


「やめてよ、お父さん!! ワンタンはぼくのたいせつなともだちなんだよっ!? それに、昨日の子たちだって、この子のたいせつな家族だったのに。どうして連れて行かせたの!?」


 連れて行かせた?


 それは、もしかして、もう会えないってことなの?


 それに、この乱暴者が、やさしいギューイのお父さんだなんて、とても信じられないよ。


「まったく、少しの間母親がいなかったくらいでフヌケになりやがって。ゆうべも帰ってこなかったからもしやと思ったら、またここだ」


 ギューイのお父さんは、ぼくをつまみあげた手をふりほどいた。


 ちいさな、ちいさなぼくの体は、湿り気の乏しい土の上にドカリとたたきつけられた。


「やめてよ!! お父さんがそんなんだから、ぼくは家にいたくないんじゃないかっ」

「そうか? だったら出て行くがいいさ。ほれ、手切れ金だ」


 お父さんに何度も蹴られたギューイは、最後にポケットのお財布から投げ出されたコインを必死になってかき集める。


「ふん。おまえ、本当におれのこどもだったのか? ものごいみたいなマネしやがって」


 そして、ぺっとツバをはいた。


「いいか、もう二度と帰ってくるんじゃない。わかったな!?」

「っわかってるよ!!」


 そして、お父さんの姿が見えなくなると、ギューイはしくしくと泣きじゃくり始めた。


 つづく

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