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とくべつなきもち

 おちこんでいるぼくに、ギューイは必死に守りとおしてきてくれたミルクの入った革の水筒と、かたいパンを服の中から取り出した。


「さぁ、いっしょに食べよう。ぼくもおなかぺこぺこなんだ」


 ミルクはママの母乳とちがうニオイがしたし、パンはかたい。


 なにより、ママたちに会えないことが悲しくて、おなかがすいていたのに、ほんの少ししか食べられなかった。


「元気ないね、ワンタン。もしかして、今日連れて行かれた子たちって、ワンタンのお母さんたちだったりする?」


 ワン!!


 ぼくは必死に吠えたけど、すぐにしずかにしなくちゃいけないことに気がついた。


「そっかぁ。だったらやっぱり会いたいよね、お母さんたちに」


 ギューイは思いつめたように下を向いた。


「ぼくのお母さんは、妹を生んですぐに遠い場所へ行ったきりなんだ。だからもう会えない。けど、ワンタンはちがう」


 え?


 どういうこと?


「もしかしたら、会えるかもしれないよ。ねぇ、ワンタン。ぼくといっしょでよければ、この村を出ないかい?」


 え? 


 だって。


「お父さんはすぐにあたらしいお母さんと結婚したんだ。ぼくの居場所はここしかないんだ」


 ほら穴の中をじっくりと見回してみると、いくつかの本と懐中電気がていねいにならべてあるのが見てとれた。


「あした、いや、今日これから出かけよう? ね? ワンタン」


 ギューイはそう言うけど。本当に大丈夫かなぁ?


 つづく

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