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ここはどこ?
ゆっくりと、重いまぶたを開く。
わずかだけれど、ニオイといっしょにぼんやりとなにかが見えるようになった。
はじめに飛び込んできたのは黄色。
それから、なぜか体があたたかかった。
ママと兄弟をさがしていた時は、あんなに心細くて、さむかったのに。
涙でカピカピなはずの顔も、やけにすっきりしている。
どうしてかな?
「おきた? おはよう、ワンタン。ぼくの名前はギューイ。元気になったらあそぼうね」
人間?
『人間はこわいのよ。つかまったら、なにをされるかわからないのよ』
ママはそう言っていたけれど。
どうしてかな?
ギューイはとてもやさしいんだ。
あそぶって、なに?
ワンタンって、ぼくの名前?
ぼく、ワンタンっていう名前がついたの?
すごいやっ。
おもわずキューンって、あまえた声を出したら、ギューイがぼくの頭をやさしくなでてくれた。
ちいさい手のひらだったけれど、とてもあたたかくて、やさしくて、やわらかいニオイがする。
ぼくはきっと、ギューイが好きになったんだ。
つづく