一方
「やあ、アレース将軍。こんな所へわざわざようこそ。」
「今は挨拶を交わしている暇はありません。これはアトランティス連邦に関わる一大事です。」
「は....はい。ですがまだ彼は眠りについていますよ。」
「いつ目覚めるか見当つくかね。」
「科学者によれば一日後と.......。」
「ともかく彼を見せてくれ。」
ここは魔王城跡だ。現在はアトランティス連邦軍によって管理されている。
アレース将軍と科学者はビニールで囲まれたバスタブのような物に近づいた。
「コイツか......。」
「はい。神話の中の者だと我々も思いましたけど。」
バスタブの中には青年が寝ていた。水の中につけられている。
「この風呂桶は?」
「これは回復の泉ですね。」
「殺せないのか?」
「やってみてくださいよ。」
アレース将軍はベレッタ92を取り出すとバスタブに向かって1発撃った。
パーンッ!
すると不思議な事が起こった。勇者を覆っていた水がまるでゼリーのように弾を跳ね返したのだ。
「なるほど。泉は物理攻撃を受け付けないのか.......。」
「それだけではありません!!旧約聖書にはリンゴを食べるだけで体力を回復したり、殺しても宿屋で復活するんですよ。」
「.................................................パンツァー(戦車)を20台、榴弾砲を各所に配置する。」
「しかし.....。」
「やると言ったらやるのだ!!!」
「は...はい!」
その頃.........
「何か今日は騒がしいな。」
「あっ見て!リベッレ(オーニソプター)」
「連邦軍のだぞ。パンツァーをぶら下げているみたいだ。」
「戦争か?」
マオのクラスの生徒は皆窓に釘付けだった
。
「オイ、授業にならないぞ!」アイヒェ先生が言った。
「うるさいです、先生。」車椅子に乗った女子生徒が言った。だが彼女は足を骨折してはいない。大体足が無いのだ。その代わりヒレが生えていた。
「シレナ、先生にそれはダメでしょ。」
隣にいた生徒が言った。メデューサのようだ。
「ハーーッ.......。ゾーラ、先生を石化出来る?」
「ダメだよ。魔術取締法に引っかかる。」ゾーラが答えた。
「なら、キカイ!機関砲で消し炭に出来るか?」
「それは普通に連邦法で禁止にされている。」答えたエルフは体のいろいろな所に機械が付いていた。
この世界ではマシーネケルパー(いわゆるサイボーグ)が、若い魔族の中で自衛用、義足代わり、さらにはファッションとして百年前から流行っている。
「はいっ。それじゃあ、リベッレが行ったので授業の続きを...........。」
バァン!!
「結局、遅れちまった!!」ケンタロウが叫んだ。「ごめんなさい。先生!!」
後からマオがゼエゼエ息を吐きながら追いついて来た。
「お前ら、これで何日目だと思っているんだ?!まあ良い、今は歴史の授業だ。シュトルムブラット(タブレット)の56ページだ。」
マオとケンタロウは席に座った。
ここで少し歴史の説明をしよう。
統一帝国崩壊後、世界は大きく
「ムー共和国領土」「レムリア王国領土」「パシフィス連合国領土」「アトランティス連邦領土」
に分かれた。
今から50年前、パシフィス連合国が度重なる政策失敗と革命によって崩壊。
元連合国領土の石油資源が豊富なアラニアス砂漠を巡ってムー共和国とアトランティス連邦が軍隊を展開。その結果、ムー共和国が資源の権利を手にし、アトランティス連邦は共和国の監視下に置かれた。
以下が条件
1 軍隊を持たない
2 共和国の軍用基地を連邦内に作る
3税金の半分を共和国側に支払う事
しかし近年、ムー共和国内でクーデターが発生。共和国は荷物となる連邦を解放した。
なので連邦軍も出来たてホヤホヤなのである。
「それじゃあ統一帝国はいつ崩壊したでしょう?」
「ハイッ!」シレナが手を挙げた。
「約700万年前です。」
「正解です。セイレーンさん。それではアンゴルモアくん、幾つの国に崩壊後は別れたでしょう?」
アンゴルモアとはマオの名字だ。慌ててマオは立ち上がった。
だがそのせいで言葉が出てこない。
「アッ....エーー...........分かりません。」
クラスが爆笑した。
「正解は四つです。アンゴルモアくん、今日は居残りですね。」
マオは顔を赤らめながら着席した。




