表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君の恋、雨の色  作者: 石戸龍一
第三章 僕と姉と恋と
17/96

第三話 観覧車は回る、でも思いは回らず

今日は裕一とデートをする大事な日だった。涼風唯織はチェーンのついたスカートと、ストライプ模様の新品のワイシャツ、ちょっと大人びたメイクでばっちり決め込んでいた。気合を入れていたのである。


だが、唯織は目の前の光景が信じられないとばかりに目をぱちくりさせていた。肩透かしを食らってしまったのだ。


「な、な、な……なんでお前のお姉ちゃんがいるんですかぁ~~~!!?」


あかりは盛大にずっこけた。裕一はちゃんと時間通りに待ち合わせ場所に来た、なぜか姉を同伴して――。


天堂あかりはブチ切れた。小学生並みの身長からは想像できないほどの力で、裕一の胸倉を掴んだ。


「これは一体どういうつもりなんですかぁ!?ええ!?お前の姉を連れて来ていいなんて、誰が言いましたかぁ~!?」


「で、でも!一人で来いとは言ってなかったし……!」


「そんなふざけた言い訳が通用すると思ってるんですかぁ!?殺しますぅ!やっぱり、こいつはここであやめとかないとダメですぅ!」


「ちょ、ちょっと!ストップです!あかり!落ち着いてください!」


今にも裕一に襲い掛かりそうな親友を、唯織はなんとかして制止する。せっかくのデートがスタート時点からぶち壊しになってしまうところだった。いや、もうなっているのかもしれない。


「裕一くん。これはどういうわけなのかちゃんと説明してくれますか?」


「いや、せっかくもう一人連れて来れるのにもったいないなって思って。僕たち、遊園地なんてほとんど来たこと無かったから。ね?お姉ちゃん?」


愛海は裕一のそばで顔を伏せて縮こまっていた。申し訳なさが全身に表れていた。


「ま、まあ、そういうわけなんです……」


あかりの激怒も唯織の困惑も当然のことである。デートにお姉ちゃんを連れてくるなんて、あまりにも常識外の行動だった。


愛海はヘコヘコしながら初対面の二人に挨拶する。


「あ、あの……いつも弟がお世話になってます。傘馬愛海です。初めまして」


「あ、どうも……。一年五組の涼風唯織です。こちらは同じクラスの天堂あかり、私のお友達です」


「ふん!よろしくとは言いませんよぉ!」


最低最悪の初対面になってしまった。世の中にはいろんなファーストコンタクトの形があるだろうが、こんなパターンは人類史上初だろう。男がデートにお姉ちゃんを連れてきて、それが初顔合わせになるなんて。


(裕一くんにお姉さんがいることは知っていましたが、その……)


唯織は傘馬愛海を観察した。薄黄色のポロシャツに、水色のくるぶし丈のデニムパンツ、外ハネの茶色のショートカットで、貝殻がプリントされた髪留めがトレードマークである。


だが、学園一の美少女が注目したのは、もっと別の部位だった。


(随分とご立派なものをお持ちなんですね……)


胸から大きく突き出たソレに視線を奪われざるを得なかった。シャツが張るくらい、ギチギチに詰まっていて、なんだか服が可哀想である。


唯織はややスレンダーな体形であり、あの巨大な果実に比べれば、月とスッポンだった。愛海の成熟した豊満な肉体を見て、唯織は同性ながらも顔を赤くしてしまう。


しかし、あくまで心の中の呟きで済ませていた。『愛海さんって巨乳なんですね』なんて言ったら失礼千万である。思わず言ってしまいそうなほどのデカさだったが、なんとかこらえていた。


だが、天堂あかりはそのようなマナーとは無縁である。あかりは愛海のバストを指差し、がなり立てるような大声で、堂々と指摘した。


「はぅわ!?こいつは規格外ですぅ~~~!!怖いくらい大きいですよぉ!!」


「な、なに?どうしたの?あかりちゃん?」


「お前の胸ですぅ!どんだけ大きいんですかぁ!?チョモランマ級ですよぉ!?」


まさか自分のバストサイズを、ヒマラヤ山脈にそびえる世界最高峰の山、つまりエベレストの別名で例えられるとは思ってもみなかった。巨乳をいじられることは日常茶飯事だったが、これは初めてのことである。


愛海は頬を膨らませて抗議する。


(むぅ……!気にしてるのになぁ……!)


彼女は大きすぎる自分の胸がコンプレックスだった。いくら温厚な愛海と言えども、さすがにコンプレックスである胸を堂々といじられたら機嫌を損ねてしまう。


唯織は愛海の静かな怒りを察知し、親友の暴走を止めようとする。だが、あかりはノンストップ・破天荒ガールなのだ。


「決めましたぁ!今日からお前の名前はチョモランマですぅ!これからそう呼ばせてもらう……ふぐぅ!?」


愛海はあかりの口を鷲掴みにして封じた。ニコニコしていたが、目は全く笑っていない。裕一は経験上知っていた。愛海が本気で怒った時は、このように笑いながら怒るのである。


「あかりちゃん?いくら年下の後輩でも、言ってイイコトとワルイコトがあるんじゃないかなぁ?先輩として、みっちりと教えてあげようか?」


「ひゃ、ひゃめてくださいっ!ごめんなひゃいですぅ!」


愛海はようやくあかりを解放した。彼女の口元には赤い手のあとがべったりとついている。怒れる愛海の手の力の凄まじさを物語っていた。


(チョモランマめぇ!いつか絶対に復讐してやるですぅ!チョモランマの弟と一緒に、二人ともけちょんけちょんにしてやるですよぉ~~~!)


涙を拭いながら、あかりは復讐を誓った。



遊園地は大勢の人で賑わっていた。既にゴールデンウィークは終わっているが、その余波を引きずっているのか、普段の休日の混雑具合と比べても混んでいた。


裕一は辺りをキョロキョロと見回して、立ち並ぶアトラクションの数々に魅了されていた。親が離婚してから、遊園地に来たことは無かった。


まだ父親が家にいた時、小さな裕一は何度か遊園地に来ているはずなのだが、過去のことすぎて全く覚えていなかった。実質的には、初めての遊園地と言っても過言ではない。


四人は前後二列に分かれて歩いていた。前には裕一と唯織が、後ろには愛海とあかりがいた。唯織は三人で横並びで歩き、あかりを積極的に会話に参加させようと思っていたのだが、愛海が来たせいで二人ペアになってしまった。


(あかりが居ればもっと楽にお話しできるのに……。うぅ……)


あかりは愛海との会話に集中していた。唯織は自分の力だけで裕一との会話を盛り上げないといけないようだ。親友を頼ることはできない。


唯織はなるべく後方に意識を向けないようにして、裕一との会話に集中する。唯織が先に口を開いた。


「あの、裕一くんは何か部活に入ってるんですか?それとも委員会に所属してます?」


「いや、何もしてないよ」


「そうですか。じゃあ、趣味に熱中してるってことですよね。どんな趣味をお持ちなんですか?普段は家で何を?」


「そうだなぁ。特に何もしてないなぁ……」


「そ、そうですか……」


裕一のコミュニケーション能力は悲しいほどとぼしかった。せっかく唯織が話を振っても、一言二言返すだけで終わってしまう。


随分とぶっきらぼうな態度に見えるが、裕一は緊張しているからそうなっているだけで、別に悪意があるわけではなかった。普段は誰とも話さない陰キャにとって、親しくない女子と談笑するのは、あまりにも難易度の高いタスクだった。


唯織は自分が持っている能力をフル活用して、なんとかして裕一との会話が盛り上がるように努力する。


「あ、あの、裕一くんってあまり人と交流しないタイプですよね?中学の頃からそうでしたし。でも、それって一匹狼って感じでかっこいいと思います!寡黙な男の人って魅力的ですよ!」


「そ、そうなんだ」


「それに、もしお喋りが苦手なら私でいっぱい練習してください!私、放送部に所属してるくらいですから、話すのが大好きなんです!なんと言っても喋るのが仕事ですからね!だから、裕一くんももっとお話してくれて大丈夫なんですよ?」


「え、えっと……」


裕一は言葉に詰まった。整や愛海相手なら自然と言葉が思い浮かんでくるのに、唯織だとそれができない。何を話せばいいのだろう?どんなテーマを持ち出せばいいのだろう?会話の糸口がつかめないのだ。


裕一は軽くパニックになってしまった。助けを求めるようにして、裕一は後方の愛海に視線を送った。彼女はすぐに弟からのSOSに気がついた。


(もう限界なのね。わかったわ。あとはお姉ちゃんに任せて……)


全てを察した愛海は、弟と入れ替わるようにして会話に参加する。


「そう言えば、涼風さんって中学の時は何の部活をしてたの?やっぱり放送部?」


「いえ、女子テニス部でした。あの頃は身体を動かすのが好きで、三年の時には部長もやってましたよ?」


「へぇ!部長やるなんて凄いね!でも、高校生になって運動部から文化系に切り替えたんだね。色んなことに挑戦するなんて、偉いと思うな」


裕一とは違って、愛海とは自然と会話できた。今まで投げたら戻って来なかったボールが、ようやく返って来た。


「愛海先輩はどうなんです?何か部活を?」


「ううん。私は図書委員をしてるの。涼風さんと違って、私はスポーツも文化系もまるで才能が無いから。おっちょこちょいなの、私」


「そんなことないですよ」


唯織は会話しながら、このデートの本来の目的から、どんどん外れてきていることに気がついた。肝心の裕一は知らぬ間に会話から脱落していた。唯織の隣には愛海がいて、裕一は後方に退いていた。


唯織は裕一に話しかけようとするも、愛海の方が先に口を開いた。


「今日は遊園地に誘ってくれてありがとね。あの子、友達少ないから」


「いや、別にいいんですよ。私がそうしたかっただけですし」


「でも、どうして裕一のことを誘ってくれたの?あんまり接点無さそうなのに」


「え?あの……裕一くんとは中学の時同じクラスで、それで彼のことは昔から知ってて……」


「ああ!そうだったね!裕一からこの前初めて聞いたよ?いやぁ~、知らなかったよ!こんな綺麗な子と同じ中学だったなんて!裕一ったら、もっと早く教えてくれれば良かったのに!」


「こ、この前初めてって……。裕一くん、中学の時に私のこと話してくれませんでしたか?一度くらいは……だって同じクラスでしたし……」


唯織はショックを受けていた。裕一は唯織のことを全く意識していなかったのだ。三年間同じクラスだったと言うのに。


ほとんど話したことも無かったのだから、しょうがないことかもしれない。でも、いざ姉からその事実を聞かされると、心がズンと重くなった。裕一と唯織の間には、まだ広大な距離感があった。


大きな落胆と共に、唯織はぽつりと呟いた。


「そうですか……。それも仕方がないですよね……」


「え……?」


「いや、なんでもないんです。こっちの話ですから。それよりも、みんなでお菓子でも食べませんか?あかりも裕一くんも。ほら、あそこの売店で何か買いましょう?」


唯織は気分を切り替えるために、三人を誘ってポップコーンのお店に入った。甘くて香ばしいお菓子も、今は砂利のような味がする。


彼女の計画は頓挫寸前の所まで来ていた。せっかく裕一と親しくなるためにプランを組んだのに、彼は一向に心を開かず、なぜか彼の姉と会話を弾ませてしまった。


それに、裕一が予想以上に自分に興味を持っていなかったことも判明した。唯織は決してナルシストなタイプではないが、自分のルックスが優れていることに、ちょっぴり自信を持っていた。


男の子ならば、誰でも一度は彼女に興味を持つものだった。それなのに、傘馬裕一はこの天下一の美少女に全く魅了されないのである。


(いや、でも……ここで諦めるわけにはいきませんっ)


唯織は目をぎゅっと閉じて、大きく深呼吸した。中学の時、テニスの試合直前で緊張した時も、同じ動作をしていたことを思い出した。リラックスして、集中して、気合を注入するのである。


(私はくじけません……!一度決めたらやり切るのが涼風唯織です!こんなところで諦めたら、実るはずの恋も実りません!二回でも三回でもアタックしてみせます!だって、私は裕一くんのことが好きなんですから!)


水色の瞳は輝きを取り戻した。それはあたかも、空を覆っていた雲が散って行き、蒼穹そうきゅうの空が顔を覗かせた時と同じだった。


唯織はその気持ちが誰よりも強いからこそ、諦めないのである――。



さて、色々なアトラクションを楽しんだ四人だったが、状況は依然変わらずだった。あかりはずっと不機嫌だし、裕一は黙りこくっているし、愛海とのお喋りだけが盛り上がってしまう。これでは愛海とデートしているようなものだ。


(それなら、私にも秘策があります……!)


唯織は無策ではなかった。予定通りに事が進まないことに備えて、いざという時のための秘策を用意していたのである。


唯織はみんなに提案する。


「今度はみんなで観覧車に乗りませんか?街を一望できて、すごく綺麗だと思うんです」


「観覧車?いいね。私も乗りたい。裕一もいいよね?」


「う、うん。別にいいよ」


だが、あかりはイエスとは言わなかった。彼女にしては珍しく焦っていて、唯織のことを心配そうな顔で見ていた。


「で、でも、いおりんは……!」


「あかり、言わないで」


唯織は親友を制止し、あくまで自分のプランを貫き通すことにした。四人は観覧車乗り場に移動し、二人組に分かれる。この観覧車は一度に二人しか乗れない。唯織と裕一がまず最初に乗り、その次の車に愛海とあかりが乗ることになった。


これが涼風唯織の秘策だった。こうすれば、愛海に邪魔されることなく、裕一と二人っきりになれる。さっきは失敗したが、今度こそ会話に花を咲かせてみせるぞと唯織は意気込んだ。


ぐおんっ。足元が揺れた。二人を乗せた観覧車は動き出し、地面を離れて空高く上がっていく。


裕一は外の風景を見た。さっきまで遊んでいたアトラクションの数々が、まるでおもちゃのように小さくなっていく。それは彼が普段暮らしている街も同じことで、地平線まで続くパノラマを見ているような気分になった。


(僕たちの家、ここから見えるかな?)


裕一は自宅を探し始めた。東の方の住宅街の一画に傘馬家があるはずだった。だが、他の建物よりも背丈が低いためだろうか、裕一の家を見つけることはできなかった。


(ちぇ。残念だなぁ)


何気なく裕一は唯織の方を見た。対面に座る彼女は膝をぴたりと合わせて、全身を小さく縮こませていた。乗り物酔いした人のように顔面蒼白がんめんそうはくだった。唯織の体調がおかしいことは明白だった。彼女の肩は微かに痙攣けいれんしていた。


「あの、涼風さん?大丈夫?」


人と話すのが苦手な裕一でも、さすがに心配になって自分から話しかけた。唯織は微笑んでみせたが、それは作り笑いで、気丈に振舞っているだけだった。


「実は高所恐怖症なんです。えへへ。ごめんなさい……」


「じゃ、じゃあ、どうして観覧車なんかに……!」


涼風唯織は高い所が苦手だった。自分の身長よりも高い場所に登ると、足が震えてくるのである。タワーマンションの自分の部屋でも、カーテンは閉めっぱなしだった。外の景色を見ると、高所恐怖症が発動してしまうからだ。


(本当に怖い……。震えが止まりません……。でも、それでも、私は……)


唯織の瞳にはまだ小さな光が残っていた。高所恐怖症から来る恐怖によって、唯織の心は挫けそうになっていたが、彼女の強い意志が最後の輝きを残したのだ。


「私、裕一くんと二人っきりになりたかったんです……。せっかくのデートなのに、私、裕一くんと上手く喋れなくて……このまま終わるなんて絶対嫌だって思ったんです……。だから、怖くても……観覧車に乗ったんです……」


「唯織さん……。そんなに僕のことを……」


「あ、私の名前……初めて呼んでくれましたね……。ふふ。嬉しいです……」


凄まじい恐怖感に襲われながらも、片思いの相手が思わず漏らした自身の名前を、唯織はしっかりと心に刻んだ。


がんっ。何かが観覧車にぶつかった。足元がぐらりと揺れた。


「きゃあ!?」


唯織は悲鳴を上げて裕一に抱き着いた。どうやら鳥がぶつかって来たらしい。わしかカラスかわからないが、何らかの大型の鳥が急いで去っていく様を、裕一は観覧車の中から見ていた。


彼に寄り掛かった少女の肉体は綿のように軽くて、少しでも力を入れたら消えてなくなってしまうのではないかと思われるほどだった。桃のような甘い香りが、薄紫色の髪の毛から漂ってくる。こんな優しい匂いのする女の子を、裕一は他に知らなかった。


”綺麗なお人形さん”は、しばらく裕一に身を預けていた。離れたくなかった。ずっと裕一の腕の中で包まれていたいと思った。胸がドキドキと高鳴って来る。裕一に対する思いがうなたけり、恋心が一気にはなやいだ。


「裕一くん……」


唯織は顔を上げた。すぐそこに彼の唇があった。あと少しで届きそうだった。唯織は目を閉じて、顔を徐々に彼の方に近づけて――。


ぴりり。裕一のスマホが鳴った。電話がかかってきたようだ。唯織は彼から離れて元の席に戻る。


「もしもし?」


『裕一、大丈夫?そっちの観覧車から凄い大きな音が聞こえて来たんだけど……』


電話の主は愛海だった。裕一の安否あんぴを気遣って、電話をかけてきたのだった。


「全然平気だよ。鳥がぶつかったみたい。ちょっと揺れただけだよ」


『そっか。ならいいけど』


『そこのお前っ!いおりんに何か変なことしてないでしょうねぇ!?少しでもいおりんに触れたら、ぶち殺しますからねぇ!?いおりんは無事なんですかぁ!?電話変わってくださいですぅ!』


『ちょ!?あかりちゃん!電話の邪魔しないで!』


どうやら隣であかりが吠えているらしい。裕一はスマホを唯織に渡した。


「もしもし?あかりですか?私は大丈夫ですよ。気分も良くなってきましたしね」


『高所恐怖症なのに、観覧車に乗るって言いだした時はびっくりしましたよぉ!でも、いおりんが大丈夫そうであかりは安心しましたですぅ!ではまた!』


『ちょっと!勝手に通話を切らないで……!』


ぶちっ。あかりは強制的に通話を切ったようだ。


観覧車の中を沈黙が支配する。さっきまでの良い雰囲気が台無しなってしまった。縮まったかに思えた二人の距離が、再び開いていくのを唯織は感じていた。彼女の秘策は愛海の意図せぬ妨害によって、遂に失敗に終わってしまったのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ