表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/208

第81話 片方折れちゃって

 燃える魂(ウィルオ・ウィスプ)らす坑道こうどうは、ちょっとだけ神秘的しんぴてき

 迷宮めいきゅうなかは、もっといいかんじになるんだろうなぁ。


 れるひかりなか、にこやかな笑顔えがおのハナちゃんが、けるんだ。

 うん、想像そうぞうするだけで、かんじだよ。

 まえてたアラクネさんの着物きものだったら、よりがするのです。


 つぎなつに、あそびにようかな。

 なんて、そんな呑気のんきなことをかんがえてるのは、きっとわたしだけなんだよね。


足音あしおとするよ!」

わたしきます!」


 ハナちゃんの警告けいこくにいちはや反応はんのうしたベルザークさんが、素早すばやまえしてく。

 たましい位置いち確認かくにんしてたけど、ハナちゃんのとおり、数体すうたいのゴブリンがすこさきかどせてるみたいだね。


「ベルザークさん、そのさきかどに4たい。さらにおくから、2たい増援ぞうえんかっててるよ!」

「ありがとうございます!」


 まえくベルザークさんとハナちゃんに指示しじしたわたしは、すかさず周囲しゅういらしました。


 せま坑道こうどうなかで、はさちにされちゃったらあぶないからね。

 わたしつね周囲しゅうい見張みはってるのです。

 壁越かべごしでも、魔物達まものたちうごきがなんとなくかるのは、便利べんりだよね。


 四方八方しほうはっぽうるのは大変たいへんだけど、ハナちゃんごうったままだから、あるかないだけマシなのかな。


 そんなわたしすこうしろから、ハリエットちゃんとホリーくん、カッツさんがいててる。

 そのさらにうしろを、ラフじいまもってるかんじ。


 探索たんさくはじめてからずっと、この隊列たいれつ移動いどうしてきてるけど、結構けっこう安全あんぜん移動いどうできてるとおもうよ。

 みんなそばに、たてとかけんはべらせてるおかげかもしれないけどね。


 正直しょうじき、これだけ慎重しんちょうだったら、だれ怪我けがしないとおもっちゃう。

 ううん。

 ダメだね。

 油断ゆだんしちゃダメなんだよ。


「よし。こちらは片付かたづきました!」

「ありがとう! そしたら、そのかどがりましょう!」

「まがるぅ~!」

 ベルザークさんが対処たいしょしたゴブリンの遺体いたい股越またごして、ハナちゃんがすすんでく。


 たのしそうなのはいけど、足元あしもとにはけてね。

 まぁ、ころんでも、たてささえてくれるとおもうけどさ。


挿絵(By みてみん)


「ず、ずいぶんとふかくまで来たっスね」

「そうだね。油断ゆだんしちゃダメだよ」

かってるっスよ」

「でも、これだけ慎重しんちょうだったら、さすがに大丈夫だいじょうぶなんじゃないの?」

「その油断ゆだん命取いのちとりになるかもしれないから、けてね、ハリエットちゃん」

「り、リグレッタにわれると、冗談じょうだんこえないわね」


 そりゃそうだよ。

 冗談じょうだんじゃないもん。


 そんなことはさておき、そろそろ目的地もくてきちちかづいてたみたいだね。


 わたしたちが目指めざしてた場所ばしょ

 それは、魔物達まものたち一番いちばんおお出入でいりしてるっぽい場所ばしょです。


 坑道こうどう侵入しんにゅうしてくる魔物達まものたちらすためには、まずはそこをふさ必要ひつようがあるからね。

 出入でいりがおおいってことは、出入でいりしやすいってこと。

 そこをつぶすのが一番いちばん効果的こうかてきだって、みんなではなったんだ。


「そろそろだから、みんなめてね」

かりました」

「ってことは、もうすこしでノームの迷宮めいきゅうはいれるってことよね。なんだかワクワクしてきたわ」

「なんでワクワク出来できるんスか!?」

「なんでって、伝説でんせつになってるような場所ばしょけるのよ? 面白おもしろそうじゃない!」

こわそうの間違まちがいじゃないんスか!?」

なさけねぇなぁカッツ。おめぇ、そんなことじゃ盗賊とうぞくとしてやっていけねぇぞ?」


 ハリエットちゃんたちは、随分ずいぶん呑気のんきかんがえてるみたいだね。

 まぁ、こわがってるよりはいかな。

 ホリーくんも、時々(ときどき)坑道こうどうかべえてるこけとかを興味きょうみぶかそうに観察かんさつしてるし。


 意外いがいとみんな、タフだよね。


「ゴブリンたくさん! リッタ、どうする?」

 ちょっとあきれながら周囲しゅういてたわたしに、ハナちゃんがこえけてる。


 いよいよ、ぐちえて位置いちまでたみたいだね。

 さすがに、ハリエットちゃんたちしずかになったよ。


「さてと。ベルザークさんとハナちゃんは、一旦いったんハリエットちゃんたち一緒いっしょにここで待機たいきしててくれるかな?」

「え? 待機たいきですか?」

「うん」

「リッタはどーするの?」

「ちょっとゴブリンたちはなしてみる。大丈夫だいじょうぶたてけんれてくから」


 ホントうと、ここにるまでも、出来できればゴブリンたちはなしたかったんだけどね。

 襲撃しゅうげきしてくるたびはなしてたら、いつまでたっても時間じかんりないから、仕方しかたなくベルザークさんに対応たいおうをおねがいしてたんだ。


 ころさなくてむなら、そっちのほういでしょ?

 それに、キラービーやアラクネたちとおなじみたいに、仲良なかよくなれたら、そっちのほういよね。


 まぁ、はなしてもおそってるなら、それがかれらの選択せんたくうことで、むかつしかなくなるけど。

 そのときは、すこしのあいだだけ、かべまっててもらうことになるかな。


「こんにちは~」


 みんな防御態勢ぼうぎょたいせいととのえるのをてから、わたしおおきくいたあなむらがってるゴブリンたちこえけました。


 直後ちょくごわたしいたらしいゴブリンたちが、あなおく一斉いっせいしてくのです。


 な、なんか、ショックなんだけど。


 被害ひがいさずにとおれるのなら、しとしましょう。

 うん。

 被害ひがいは、かった。

 わたしこころ以外いがい被害ひがいかったよね……。


「リ、リグレッタさま……」

「すごいしょんぼりしてるわね」

「まぁ、あれだけげられたら、ボクだってショックだとおもうよ」


 ハナちゃんまでもが、あわれむようにわたしる。


 みんなでこころえぐらないでよっ!

 むぅ……。

 こういうときあたまでてもらえたら、なぐさめられるのかな。

 ハナちゃんがうらやましいよ。


 はぁ。


 わたしおおきなためいきいたそのとき

 ドスンというおおきなおとが、坑道こうどうひびわたりました。


爆発ばくはつ魔法まほうっスか!?」

「いえ、このおとちがいますね。みなさん、警戒けいかいを!」


 ベルザークさんがうならちがうんだろうね。

 ねんのために、おとのしたほうらしたわたしは、ぽっかりといているあなさきから、やたらとおおきなたましいが、こちらにかってちかづいてるのをにしたのです。


「な、なんか、でっかいのがこっちにちかづいてるんだけど」

「まじっスか!? やばいっスよ!! げましょう!!」


 ドスン、ドスンっておとたびに、たましいちかづいてる。

 つまり、このおと足音あしおとみたいだね。


「カッツ、け! じょうちゃん、そのデカいのってのは、どれくらいの位置いちにいるんだぁ?」

「もうあなそばだよ」

「っ!?」


 ラフじいいかけにこたえたそのとき迷宮めいきゅうつながってるあなから、くろ毛並けなみとつのったあたまがひょっこりと姿すがたせました。

 よくたら、つの片方かたほうれちゃってるみたいだね。


「っ!? な、なんだ、なんなんスか!? あれ!!」

「でっけぇうしあたまじゃねぇか」

牛頭うしあたま魔物まもの……まさか、ミノタウロス!?」


 おどろきとともさけぶベルザークさん。

 そんなかれこえ呼応こおうするように、ミノタウロスがくちひらいたのです。


「もぉ~~れつにちくたびれたぞ、解放者リリーサーよ。ようやくあらわれもぉ~~したかぁ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ