表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/208

第76話 白い輝き

 ラズガード鉱山こうざん爆発音ばくはつおんひびわたすこまえのこと。


 沢山たくさんたましいなかから、2つのたましいがコソコソとしてくのをてたわたしに、クイトさんがこえけてきました。


解放者リリーサーおしえてしいことがある」

「え? えっと、ちょっといまはなせないんだけど」

「……かべてて面白おもしろい?」


 かべてるわけじゃないよっ!

 そうえちゃうのは仕方しかたないかもだけどさ。


仕方しかたないなぁ。で、おしえてしいことって、なに?」

最近さいきん脱走者だっそうしゃおおいの」

「はぁ」

「……」


 え!? わり!?

 脱走者だっそうしゃおおい、ってわれても、わたしにはなんにもかんないよ!?


「クイトさん? あの、もっとほか情報じょうほういのかな? それだけわれても、かんないよ」

「そう?」

「そうだよ!」

「そっか」


 なんとか納得なっとくはしてくれたみたいだね。

 それにしても、クイトさんって不思議ふしぎひとだなぁ。

 いまだに目元めもとしか露出ろしゅつしてないから、かおからないし。


 綺麗きれい青色あおいろをしてるくらいしか、情報じょうほういんだよね。

 まぁ、む、むねおおきいとか、それくらいはかるけどさ。

 いっそのこと、かおせてっておねがいしてみようかな。


 うーん、とうなりながらかんがごとをしはじめてる彼女かのじょに、わたしはおねがいをしてみることにしました。


「あのさ、クイトさん。ければ、かおせてくれないかな?」

 もしかしたらことわられるかも?

 なんてかんがえるわたし心配しんぱい余所よそに、クイトさんはすこしだけ見開みひらいた。


わすれてた。だから、ちょっと息苦いきぐるしいんだ」

わすれてたの!? ま、まぁ、よくあるよね。うん。かるよ」

かってくれる。めずらしい」


 でしょうね!!

 ふつうわすれないもん!


 ってさけびたいところを、グッとおさえる。

 なんか、ちょっとずつだけど、クイトさんのことがかってきたがするよ。

 かってた?

 う~ん? かってあげられてるのかなぁ?


 ひとり悶々(もんもん)としてるわたしまえで、クイトさんがかぶってた目出めだぼういきおいよくった。


 そしてあらわになったのは、みじかめの金髪きんぱつ端正たんせい顔立かおだちの美少女びしょうじょ


「……綺麗きれい

われる」


 自覚じかくあるかんじだね。

 でも、全然ぜんぜん嫌味いやみこえないのは、クイトさんだからかな?

 多分たぶん事実じじつおしえてくれてるだけだよね。

 れたり得意とくいげにするでもなく、淡々(たんたん)ってるし。

 なんなら、すこしうんざりしてるようにもえてたよ。


解放者リリーサーも、可愛かわいいとおもう」

「あ、ありがとう」

 きゅうにそんなことわれたら、ちょっとれちゃうじゃん。


 って、そんなことよりになることが、あるんだよね。

「あの、クイトさん。その、みみとがってるけど、それってまれつきなの?」

「うん。エルフだから」

「エルフ。そうなんだね」


 なにかの図鑑ずかんがする。

 エルフかぁ。

 みみがぴょこぴょこうごいて、ちょっと可愛かわいいね。

 さわってみたいけど、ダメだ。ダメだよわたし


「って、ちょっと脱線だっせんしちゃったからはなしもどすけど。脱走者だっそうしゃ沢山たくさんるってはなしだったよね。それで、わたしにどうしてしいの?」

げないように、方法ほうほうかんがえてしい」

げないように?」


 そうえば、ラフじいとかカッツさんが、この鉱山こうざんひど環境かんきょうだってってたっけ?

 だったら、したいとおもわないような環境かんきょうえてあげればいんじゃないかな?


 まぁ、それをどうやってつくるのかが、むずかしいところなんだよね。


 ちょっと時間じかんのかかりそうなおはなしです。

 なんと返事へんじをしたものか。

 そんなことをかんがえてると、部屋へやとびらひらかれました。


「リグレッタさま。おたせしてしまいもうわけございません。とりあえず今日きょうところは、このまま監視塔かんしとうまっていただければとかんがえております」

 そういながらはいってたのは、ファムロス監視長かんしちょうだ。


 ここにまるのはいんだけど、出来できればネリネにもどしてしいよね。

 お風呂ふろとか入りたいし。

 そうえば、ファムロス監視長かんしちょうすごつかれてるようにえるから、お風呂ふろしてあげようかな。


 そしたらきっと、ベルザークさんたちとも仲良なかよくなれるよね。

 なるかな?

 ならないがしてきたよ。


監視長かんしちょういまわたし解放者リリーサーはなしてる」

「そんなこと、わたしには関係かんけい……おい、ちょっとて、なんだこのさらは?」

「サンドイッチ」

なにってたかをいたわけではい!! なぜこれがここにあるのだといている!! これはわたし夕食ゆうしょくだぞ!!」

美味おいしかった」

「くうぅっ……」


 もしかして、勝手かってべちゃダメだったものかな。

 わるいことしちゃったかも。


 いしばって、天井てんじょう見上みあげてるファムロス監視長かんしちょう

 キョトンとしたかおで、くびかしげてるクイトさん。


大変たいへんそうですね。ファムロス監視長かんしちょう

「……まったくです。ですが、そんなことはどうでもよいのです」


 おおきな、おおきなためいきいたかれは、ゆっくりとわたし視線しせんとし、くちひらいた。


じつは、あなたさまがここをとおるとうかがったときから、おねがいしようとかんがえていたことが―――」


 やっとはなしさきすすむかもしれない。

 そんな期待きたいむねに、かれ言葉ことばみみかたむけようとしていたわたしは、けばはげしく転倒てんとうしてしまっていた。


「いっった……」

「おわっ!? なんだなんだ!?」


 かた地面じめんが、っぺたをこする。

 ちょっといたいけど、怪我けがってほどでもないね。

 それよりも、なにきたのか確認かくにんしないと!


 集中しゅうちゅうして周囲しゅうい様子ようす見渡みわたし、なにきたのか理解りかいする。

 あんまりかんがえてる時間じかんはなさそうだね。


「ファムロス監視長かんしちょう! ちょっといそぐので、おはなしあとでおねがいします!」


 返事へんじいてるひまもないよ。

 部屋へやからわたしは、かべれながらはしつづけました。


 つづけにかんじる振動しんどうで、通路つうろくずれないように、はしらつくる。

 あまり集中しゅうちゅうできてるワケじゃないから、はしらがめちゃくちゃにちゃってるけど、ゆるして。

 これで、ベルザークさんたちそとるためのみち確保かくほできそうだね。


 でも、それだけじゃダメだ。

 まわりに沢山たくさんのけがにんがいるみたいだし。

 ここは、ゴーレムたち出番でばんかな?

 かなりいそがしくなりそうだね。


 つよいきし、したシルフィードに伝言でんごんせる。

 けがにん救出きゅうしゅつはゴーレムたちまかせよう。


 さて、のこるは坑道こうどう一番奥いちばんおくにいる3にんかな。

 すこまえまでまわりにいた沢山たくさんひとたちは、一斉いっせいしたみたいだけど。

 のこされたってコトだよね。

 そのなかには、ハナちゃんもるみたいだし。いそがなくちゃ。


 前方ぜんぽうからはしってくるひとたちにれないように、経路けいろ確認かくにんしながらける。


 こういうとき、クイトさんみたいに地面じめんなかもぐっていけたら、らくなんだけどな。


 そこまでかんがえたわたし脳裏のうりに、1つの疑問ぎもんかんだのです。


 さっき、部屋へやしたとき

 クイトさんはあたまかかえておびえてた。


 ファムロス監視長かんしちょうは、おどろいてはいたけど、どこかれてるようにえたんだよね。

 これって、ちょっとへんじゃない?


 だって、クイトさんは地面じめんなかもぐれるのに、どうしてこわがる必要ひつようがあるの?


 爆発音ばくはつおんこわがってたのかな?

 ううん。

 かんがえてもからないね。

 いまはまず、ハナちゃんをたすけなくちゃ!


 そうして、ハナちゃんたちもと辿たどいたわたしは、そのおんなひと出会であうのです。


「おや? あなたは?」

「ハナちゃん! 大丈夫だいじょうぶ!?」

「リッタ!!」


 かがやつえった、しろいフードのおんなひと

 そのおんなひとが、ハナちゃんのすぐそばってる。


 ハナちゃんがあぶない!

 とおもったわたしは、そうでもいことにきました。


「リッタ! このおねえたんがね、たすけてくれたんだよ!」

 そんな報告ほうこくをしてくるハナちゃんは、しろいフードのおんなひとに、あたまでられながら尻尾しっぽってる。

 赤毛あかげも、彼女かのじょ警戒けいかいしてなさそうだね。


 ってことは、わるひとじゃないみたいだ。


 ハナちゃんをでてるつきも、すごくやさしそうで、こわかんじとかしないしね。

 ってうか、いなぁ。

 わたしでたいのにっ!


 でも、文句もんくうような状況じょうきょうじゃないよね。

「えっと、こんにちは、わたし名前なまえは―――」

「リグレッタ……後悔こうかいかんする解放者リリーサー、ですね」

「え?」


 つぎ瞬間しゅんかんわたし視界しかい一気いっきしろかがやくのをました。

 まぶしくて、あつくて、そしていたい。


 わずかにかんじたそれらの感覚かんかくすため、わたしは、咄嗟とっさちかくのかべえたのです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ