表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/208

第70話 鉱山の見張り

 あた一面いちめんが、しろきりおおわれてる。

 死神しにがみもりでも、きりることはあったけど、ここまでふかいのは、たことないね。


 足元あしもとえにくいから、ころんだりしないようにけなくちゃ。

 そうおもいながらも、わたしすうメートルさきあるいてるハリエットちゃんたち会話かいわみみかたむけたのです。


「なんだか、ちょっと不気味ぶきみきりね」

勝手かってさきって、迷子まいごにならないでくれよ」

「そんなことするわけないでしょ!? ホリーにいさんこそ、そのへん植物しょくぶつ夢中むちゅうになって、迷子まいごになったりしないでよね」

「ハリエットじゃあるまいし、そんなことしないさ」


 ここが街中まちなかだったら、ハリエットちゃんはハナちゃんと一緒いっしょ小走こばしりで周囲しゅうい見回みまわしてるんだろうなぁ。

 簡単かんたん想像そうぞうができるよ。


 そんなことをされたらこまるから、慎重しんちょうになってくれてるのはありがたいけどね。


 逆に、ホリーくん植物しょくぶつ夢中むちゅうになるってうのは、あんまり想像そうぞうできないかも?

 らなかった一面いちめんってやつなのかな?


 まわりをかぎり、めずらしい植物しょくぶつがあるってかんじでもなさそうだから、あんまりにする必要ひつよういでしょう。


「だいじょうぶだよ、そのときはハナが、むかえにってあげるから!」

「あはは。なんか、わたしたちがおもりされてる気分きぶんになるわね」

「まぁ、あながち間違まちがってないかもしれないけど」


 えず、ハナちゃんが2一緒いっしょてくれれば、見失みうしなうことはなさそうだね。


「ところで、あれってものだったの?」

 ふと、川辺かわべったハリエットちゃんが、背後はいごのネリネをゆびさしながらいかけてきた。

 この場合ばあい、ネリネをゆびさしたというより、ガブちゃん(仮)をしてるみたい。


ものじゃないよ。ガブちゃんはゴーレムの一種いっしゅかな。おなかなか貯水槽ちょすいそうがあるから、ああやってかわみずんで補給ほきゅうをしてもらってるの」

「なるほど、それで毎日まいにち風呂用ふろようみず準備じゅんびできてたワケか」


 おなか貯水槽ちょすいそうからになりかけたら、ガブちゃんが自分じぶん水辺みずべさがして、勝手かって補給ほきゅうしてくれるからね。

 かなり便利べんりなのです。


 と、ハナちゃんが川辺かわべにうずくまってる。

 もしかして、はいろうとかかんがえてないよね?


「ハナちゃん、かわにははいらないようにね」

「うん。つめたかった」

 さわったんだね。

 なら、自分じぶんからんだりはしないだろうし、ちょっと安心あんしんだ。


 こんな視界しかいわるかわはいるのは、絶対ぜったいあぶないから。

 もうすこ見晴みはらしのいい場所ばしょつけて、なつにもう一度いちどれてきてあげよう


「それにしても、きれいなかわだね。どこからながれててるのかな?」

かわ沿ってすすんでいくと、ヘレズっていうおおきなみずうみがあるんだ。きっと、そこからだとおもうよ」

みずうみか。てみたいなぁ」

「どうせちかくをとおるはずだから、れるはずだよ」


 物知ものしりホリーくん

 さすがだね。

 ひろげててるのは、このあたりの地図ちずなのかな?

 のぞんでみたいけど、そんなにちかづくのはあぶないから、あきらめておこう。


「な、なぁ。リグレッタ。1つきたいんだけど」

 会話かいわ途切とぎれたので、適当てきとう散策さんさくしてるハリエットちゃんのほうかおうとしたとき、ホリーくんたずねてきました。


「ん。なに?」

もりらしてたときそとにいるボクらに、その、いかりとかおぼえなかったの?」

「え? どうして?」

「どうしてって、だって、もりなかめられてたワケだし……」


 められてた、のかな?

 べつに、こうとおもえばできたんだよねぇ。

 かあさんととうさんは、えてかなかっただけで。

 わたしも、それでいいとおもってた。


 まぁ、いまこうしててるから、説得力せっとくりょくなんていけどさ。


すくなくとも、いかりをぶつけるためにもりたわけじゃないかな」

「それじゃあどうして」

「ハナちゃんがいるからね」


 わたしは、解放者リリーサーとしてきてくことをめてる。

 でも、ハナちゃんはちがうよね。


 出来できれば、ずっと一緒いっしょらしてたいけど。

 きっと、そううワケにもいかないときがちゃうんだ。


 いやだけどねっ!!

 一緒いっしょらしていける可能性かのうせいがあるなら、全力ぜんりょくでその可能性かのうせいけるけどねっ!!


 でも、ハナちゃんの選択肢せんたくしらしちゃうなんてこと、したくないから。

 いまはただ、一緒いっしょたのしいとおもってもらえるように、日々(ひび)たのしむしかないのです。


「ボクには、かりません」

なにが?」

「あなたが、おこっていない理由りゆうです」

「そう?」

普通ふつううばわれたらいかりにまれるのではないのですか?」


 うばわれたら。

 そっか、ホリーくんはペンドルトンさんをそばてたんだっけ。


 だから、かれわたし比較ひかくして、おかしいとおもったってコトかな?

 そういうコトなら、簡単かんたんだね。


「あのねホリーくんわたしは―――」

 そういかけた直後ちょくごあたりにハナちゃんのこえひびく。


「リッタ!! なにかがちかづいてくるよ!!」


 あわてた様子ようすでハリエットちゃんをってくるハナちゃん。


「3にんとも、いそいでネリネにがって!! ベルザークさん! こえたらそとて!! 魔物まものかも!」

 さけごえかぜせて、ネリネのほうばす。


 そうしてかすかにこえて足音あしおとなおったわたしは、らめくきり凝視ぎょうしする。


 どれくらいの時間じかんったのかな?

 ネリネからりてたベルザークさんも、すでとなりって警戒態勢けいかいたいせいをとってる。


 でも正直しょうじき、そこまで警戒けいかいする必要ひつようかったかもだね。

 だって、ちかづいてたましいおおきさてきに、人間にんげんっぽいんだもん。


 しばらくってると、らめくきりをかきけるようにして、1おとこ姿すがたあらわした。


 背後はいごにしながら、全力ぜんりょくはしおとこ

 きりからたことで安堵あんどしたのか、すこあしゆるめたかれは、すぐに私達わたしたちく。


「おわっ!? 見張みはり!? うそだろっ!?」

 そうさけんで、きびすかえそうとするおとこ

 パッとただけでも、ボロボロなふくてるのが分かるね。


 見張みはりって、どういう意味いみだろう?

 なにかからげてるみたいだけど。

 もしかして、魔物まものわれてるとか?


 えず、事情じじょうきたいな。

 なんてかんがえたわたしが、そうとしてるかれ拘束こうそくしようとしたそのとき


 おとこ足元あしもとからして無数むすうっこが、かれ拘束こうそくしてしまいました。


なに!?」

「リグレッタさま、地中ちちゅうです」


 ベルザークさんにわれて、すぐに地中ちちゅう意識いしき集中しゅうちゅうしてみる。

 うん。

 たしかにいるね。


 地面じめんなかにいるなんておもってなかったから、さっきはづいてなかったけど。

 おとこ拘束こうそくした人間にんげんが、地中ちちゅうにいるよ。


 無理矢理むりやり地面じめんそとそうか。

 なんてかんがえるまえに、その人間にんげん自分じぶんから地面じめんてくれるみたいです。


 ゴリゴリゴリっていう、あんまりれないおとともに、拘束こうそくされたおとこかたわらにあな出来できた。

 そんなあなから、ヒョコってかおだけ人物じんぶつ


 おとこなのかおんななのかもからない。

 くろ目出めだぼうをかぶった人物じんぶつが、ジーッと私達わたしたちつめてる。


「えっと、こ、こんにちは」

 えず、挨拶あいさつくらいはしたほういよね。


「……」

「あの、こえてないのかな? こんにちは。わたしはリグレッタ、解放者リリーサーのリグレッタです」

こえてる……ます」


 大人おとなしいかんじの返事へんじかえってた!

 こえかんじだと、おんなひとかもだね。

 でも、どうして地面じめんなかたのかな?

 それに、そのおとこひと拘束こうそくしてるのはどうして?


 色々(いろいろ)きたいことがある。

 それは大人おとなしいかんじのひとおなじだったみたいだね。

 のっそりと、あなからがったそのひと……彼女かのじょは、身体からだいたどろはらいながら、くちひらいたのです。


わたし、ラズガード鉱山こうざん見張みはり。このおとこ脱走者だっそうしゃ解放者リリーサー、こことおるのいてる。ければ、ってって」


 ごめん、ってる内容ないようかりにくいよ。

 それに、衝撃しょうげきつよすぎて、なん返事へんじすればいいか分かんないや。


 身体からだのラインが完全かんぜんかっちゃうようなくろふく

 もりそとには、こんな不思議ふしぎふくがあるんだね。


 茫然ぼうぜん彼女かのじょつめてると、さすがにしびれをらしたのか、ベルザークさんがこえけてきました。


「どうしますか? ってきます?」

 出来できれば、りたくないです。

 なんて、即答そくとうできればいいんだけどね。

 ちょっと躊躇ためらってしまったのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ