表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/208

第68話 分かんないよ

 今日きょうも、お手紙てがみはいってません。

 おかしいね。

 どうしてとどかないのかな?

 ずっとまえしたのに。


 もしかして、づるさんが迷子まいごになっちゃってるのかも!?

 だってハナたち、ネリネでもりからちゃったもんね。


 むぅぅぅ。

 リッタにしかったのにっ!


「ハナちゃ~ん。ちょっと手伝てつだってくれる~?」


 リッタがんでるっ!

 かなくちゃ!


 このこえはきっと、はたけだね!

 カッツさんとラフじいこえこえるから、またコネコネをやってるのかな?


 ハナも一緒いっしょにコネコネする!


 ん。

 ちがった。


 コネコネじゃないや。

 またはたけ暴れ生姜(ランペイジンジャー)がガオガオしてるんだね。


「ハナちゃんおねがい! いつもみたいに!」

「わかった!」

「ちょっ! あんなちいさいなにをさせるつもりっスか!?」

仕方しかたないでしょ! わたしさわっちゃったら、鮮度せんどちるんだもん!」

「それどころじゃないっスよ!?」

大丈夫だいじょうぶだよ、カッツさん。ハナちゃんはすっごくつよいんだからね」


 えへへ。

 リッタにめられちゃった。

 頑張がんばるっ!


 ハナのつめなら、暴れ生姜(ランペイジンジャー)っこなんて、こわくないもんねっ!


 スパッ、スパッとってくのは、お料理りょうりみたい。

 ハナもいつか、リッタと一緒いっしょにお料理りょうりできるかな?

 おかあたんがしてくれたみたいに、あーんって、やりたいな。


「さすがハナちゃん! ありがとう~」

「うん!」

「す、すげぇ……っス」

「かっかっかっか、さすがは、獣人族じゅうじんぞくってところだなぁ!」

「ふふふ。もっとめていよっ!」


 リッタもカッツさんもラフじいも、みんな、ハナのことをめてくれるからき。

 ごはんも、みんなべれるし、たのしいよねっ!


「こんなにちっこいのに、やるっスね! ぬすみも上手うまそうっス」

「ちょっとカッツさん? ハナちゃんにへんなことおしえないでよね!」

「わ、かってるっスよ! こんなかわいいに、犯罪はんざいなんかさせられないっス」


 カッツさんが、あたまでてくる。

 ラフじいが、ゲラゲラしながら、背中せなかたたいてる。


 たのしいね。

 たのしいけど、ハナはね、ちょっとモヤモヤしてるの。


 なにか、へんなものべちゃったっけ?

 ううん。

 きっとちがう。


 おなかじゃないんだもん。

 おなかより、ちょっとうえほうが、すこしだけキュッてなるの。


 リッタなら、ってるのかな?


 リッタはなんでもってるし、なんでもできるからね。


 でも、けないんだ。

 だって、キュッてなるのはいつも、リッタをときなんだもん。


 最近さいきん、ネリネに沢山たくさんひとがいるから。

 たのしいことが、えてるのに。

 ワクワクが、えてるのに。


 ……いたくないから、大丈夫だいじょうぶだもん。

『ハナちゃんはすっごくつよいんだからね』

 リッタもそうってるし。


「ハナ、いまから『たんれん』してくるね!!」

「そっか! 頑張がんばってね、ハナちゃん! 応援おうえんしてるよ!」

鍛練たんれんっスか!? 頑張がんばるっスねぇ」

「おうカッツ。おれらも仕事しごとわったら、鍛練たんれんしにくか?」

「か、勘弁かんべんしてほしいっス!」


 またにぎやかになるはたけ

 あ。

 ほら、まただよ。


 わらってるカッツさんたちから、すこはなれた位置いちで、リッタが微笑ほほえんでる。


 こわくないよ?

 いたくもないし。

 もちろん、きらいじゃない! 大好だいすき!


 リッタは綺麗きれいだし、つよいし、あかるいしまぶしい。

 それなのに、キュッってなるんだもん。


 どうして?

 かんない。

 かんないけど、かんないときは、『たんれん』したらいって、おいたんがってたよ。


 だから、『たんれん』にこう。


 身体からだうごかして、お風呂ふろはいって、ソファでくつろいでれば、おなかのキュッはきないからね。


 手紙てがみないし、キュッってなるし。

 なんか、モヤモヤする。


かあたん、とうたん、また返事へんじしてくれるかな?」


 リッタとはじめてもりそととき、すごくきれいなお返事へんじをしてくれた。


 そのあとも、何回なんかいかお返事へんじをくれてたんだよ。

 でも、最近さいきんはお返事へんじくれないの。


 いそがしいのかな?


 いつも、ハナのことをてくれてるんだよね?

 でも、いそがしいなら、仕方しかたないよね。


 ん。

 おいたん、今日きょうは『たんれん』してない。


 いつも、さきにいるのに。


 なんか、ちょっと、さびしいな。


 ……リッタも、さみしいのかな?


 かあたんととうたんが、ってた。

 もりなかには、一人ひとりさみしいおもいをしているおんながいるって。


 もりからたまにこえてこえは、そのおんなこえなんだよね。


 でも、いまもりじゃなくてネリネにて、リッタのまわりには沢山たくさんひとがいるんだよ?

 それなのに、さみしいのかな?


「んー。わかんない」

なにからないのですか?」

「ふぇっ!? お、おいたん! いたの?」

鍛練場たんれんじょうないわたしなど、わたしではないとっても過言かごんではないでしょう……いえ、さすがに過言かごんですね。わすれてください」


 おいたん、またへんなことってる。

 いつもどおりだね。

 ちょっと安心あんしん


「おいたん、今日きょうは『たんれん』しないの?」

「するからここにたのですよ」

「そっか」


 それなら、ハナも『たんれん』をはじめようかなぁ。


「あの、ハナちゃん」

「んー?」

「なにか、あったのですか?」

「……え?」


 おいたんが、またへんなことをはじめたよ。


のせいだったらべつにいいのですが、なんとなく、元気げんきいようにえたので」

「ハナは元気げんきだよ?」

「そうですか? では、なにかあったら相談そうだんしてくださいね」

なにいよ~」

なにくてもです。わたし相談そうだんをしてしいんですよ」

へんなの」

「そうですか? ではハナちゃんは、リグレッタさまから相談そうだんをされたら、うれしくないですか?」


 そんなのっ!

「う、うれしー……かも」

「でしょう? わたしも、ハナちゃんから相談そうだんをされたら、おなじくらいうれしいのですよ」

「そうなんだ」


 おいたん、やっぱりへんなことってるね。

 でも、もっとへんなのは、ハナのほうだよ。


 なんでまた、キュッってなるの?

 かんない。

 かんないよ。


相談そうだんいですか?」

「……かんないよ」

「そうですか。でも、それでいいとおもいますよ」

「? どーいうこと?」

「ハナちゃんがかかえてる、その『分かんない』というもの。それがなんなのかってくのが、たのしいのだとわたしおもうのです」

かんない」

「まぁ、えず。ハナちゃんはどんなときでも、リグレッタさまそばてあげてくださいね」


 そんなの、たりまえだしっ!!

 おいたんは、ハナがリッタのそばはなれるとおもってるのかな?

 もしそうなら、ちゃんとかってもらわなくちゃ!


「ずっと一緒いっしょだもん!!」

「ずっと、ずっと。ですね」

「うん!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ