表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/208

第64話 楽な選択

「そういえば、おちゃしてなかったね。あまめのおちゃいかな?」

 色々(いろいろ)かんがえるのも、意外いがいつかれるよね。

 そんなときは、あまものんだらいいと、わたしおもうのです。


「ハナ、ってくるよ!」

「ホント? じゃあおねがいしちゃおうかな」

「うん! しこうさくごぉ~!」

 使つかかたってないけど、可愛かわいいし、まぁいか。


「ではわたしも、お手伝てつだいしてきましょう」

「ありがと、ベルザークさん」

「いえ。これくらいまかせてください」

 そうって2がキッチンをったところで、ペンドルトンさんが咳払せきばらいをする。


「リグレッタ殿どのいたいことは、なんとなく理解りかいできました。ですが、まだ納得なっとくできないことがあります」

納得なっとくできないこと?」


 しずかにうなずいたかれは、カッツさんとラフじいにらける。

いのちうば選択せんたくが、らく選択せんたくだというのであれば。つみつぐなわず、ぬすみをはたらくこともまた、らく選択せんたくだ」

「それは、そうだね」


 かる気持きもちで肯定こうていしちゃったけど、間違まちがいだったかな。

 ラフじいがすんごくこわで、わたしことにらんでたよ。


らく選択せんたくだと?」

「ラ、ラフじい……」

 あわててめようとするカッツさんだけど、出来できなかったみたい。

 しのけられた反動はんどうで、ソファにふかくめりんじゃってる。


俺達おれたち選択肢せんたくしがあったとでもうつもりかぁ!!」

つみつぐなつづける選択肢せんたくしはあったはずだ」

ぬまで、一生いっしょう、あの鉱山こうざんはたらつづけろと!? ふざけてんじゃねぇ!! それこそ、いのちうばうのとわりねぇだろうが! いいや、それ以上いじょうだ、俺達おれたちいのちしぼって、自分達じぶんたちだけらくをしようとしてるだけじゃねぇか!!」


 いまにもこぶしげてペンドルトンさんになぐかっちゃいそうだ。

 これは、一旦いったんめたほうさそうだね。


「ちょ、ちょっとラフじいいて」

「……すまねぇな、じょうちゃん。でもな、こればっかりはゆずれねぇ」

「ラフじいにとって、盗賊団とうぞくだんつくったのがらく選択せんたくじゃなかったってことは、かったよ。ごめんなさい。それをまえて、1つ質問しつもんなんだけど」


 このままラフじいはなさせたら、もっとヒートアップしそうだし、ちょっと話題わだいえてみよう。

 純粋じゅんすいに、疑問ぎもんもあるしね。


「ペンドルトンさんのってるつみつぐな方法ほうほうってなに? さっきから鉱山こうざんとかってるけど、なんのこと?」

「……通常つうじょうおおきなつみおかしたものには、つみおうじた賠償金ばいしょうきん請求せいきゅうされる。が、その金額きんがくがあまりにもおおきい場合ばあいは、鉱山こうざん強制労働きょうせいろうどうをすることになっているんだ」


 強制労働きょうせいろうどう

 つまり、無理むりやりはたらかされてるってことだね。

 なんか、たとえはわるいかもしれないけど、ゴーレムをおもしちゃったよ。

 で、でも、ゴーレムにもちゃんとやす時間じかんをあげてるからね。

 きっと、おこったりはしてないはず。

 してないはず。

 今度こんど確認かくにんしておいたほういかな?

 って、そんなことはあとかんがえよう。


賠償金ばいしょうきんって、つまり、おかねだよね?」

「そうっスね」

「おかねはらったら、あやまったことになるの?」

「そういうことだ」


 それって、なんかへんじゃない?

 おかねって、なにものうのに必要ひつようなモノなんでしょ?

 それを、謝罪しゃざい使つかうの?

 ごめんなさいって、ちゃんとあやまるだけじゃ、ダメなのかな?


「ねぇペンドルトンさん、いま、おかねとかってる?」

金硬貨きんこうかならあるが」

「1まいしてもらえるかな?」


 ソファのうえいてもらった1まい硬貨こうかを、わたしひろげる。

 表面ひょうめんに、「ごめんなさい」っていてあるわけでもないよね。

 こんなので、ホントにあやまったことになるのかな?


たとえば、このおかねわたし無限むげんやして、そのおかねでラフじい賠償金ばいしょうきんはらったら、ゆるしてくれるの?」

「そんなわけがないだろう。それに、にせ硬化こうかつくこと重罪じゅうざいにあたる行為こういだ」

わたしなら、本物これおなじものをいくらでもつくせるけど?」

「っ……」

「でもまぁ、ゆるしてはくれないのかぁ。ってことは、おかね謝罪しゃざい意味いみしてるってワケじゃないんだね」


 そこまで確認かくにんできたら、もういかな。

 わたしってた金硬貨きんこうかをソファのうえもどした。


 ん?

 でも、わたしわりにはらうことをいやがったのはどうして?

 もしかして、おかねさえはらっちゃえばつみつぐなったことになるとか?


 そうなると、なんかちょっと不平等ふびょうどうだよね。

 だって、おかねってるひとは、どれだけわるいことをしても、ゆるしてもらえるってコトじゃん。


ればるほど、かんないものだね、おかねって」


 わたしがそんな感想かんそうべたとき、ハナちゃんたちがおちゃってもどってました。

 おまけみたいに言うと、わるいんだけど、カルミアさんもネリネにてたみたいだね。

 2あとについて、はいってたよ。


 そして、ソファでくつろぐ私達わたしたちて、うのです。

「ど、どういう状況じょうきょうなのでしょうか」


 本人ほんにんうとおこっちゃうかもだけど、カルミアさんって、ちょっとだけベルザークさんと反応はんのうをするときがあるよね。


 そんな彼女かのじょもソファにすわるようにうながして、みんなで一緒いっしょにおちゃをすする。

 うん。

 あったかいおちゃが、身体からだわたるよねぇ。

 さっきまでそとにいたらしいカルミアさんが、一番いちばんわたってそうなかおしてるよ。


 お、った。

 ちょっとれてるね。


 おちゃのおかげで、さっきまでのりつめた空気くうきやわらいだし。

 それじゃあそろそろ、おはなしすすめようかな。


「ねぇペンドルトンさん。1つ、わたしから提案ていあんがあるんだけど」


 おちゃしたわたしは、そうしました。

提案ていあん?」

「うん。ラフ爺達じいたち盗賊団とうぞくだんを、このいえるよ」

「は?」

「ぬぁにっ!?」

何言なにいってるっすか!?」


 おぉ。おどろいてるね。

 ベルザークさんだけが、ヤレヤレってかんじで、あたまいてるけど。

 あ、ハナちゃんもおどろいてるというよりは、ちょっとワクワクしてそうなかおしてるや。


 でも、べつわるかんがえじゃないとおもうんだよね。

「ラフじいとカッツさんは、沢山たくさんのおかねかせがなくちゃいけないんでしょ? でも、鉱山こうざんはたらくのはきついみたいだし。だったら、わたしのお仕事しごと手伝てつだってもらおうかなって」

「リグレッタ殿どの仕事しごと?」

「うん。万能薬ばんのうやくとか、傷薬きずぐすりとか。これからたくさん必要ひつようになるみたいだからさ、なんとかして沢山たくさんつくろうっておもってたところなんだよね。そのお手伝てつだい」

「ハナもお手伝てつだいする!」

「うん、ハナちゃんもいつも手伝てつだってくれるもんね。ありがと」

「うん!」


 この提案ていあんじゃ納得なっとくできないのかな?

 なんか、ペンドルトンさんとカルミアさんが、目配めくばせとかしちゃってるよ。


 なんてかんがえてたら、ベルザークさんががってくちひらいた。

「リグレッタさま。そのようなことをしてしまったら、万能薬ばんのうやくつくかたがバレてしまいます」

「ん? うん。そうだね」

「そ、それはリグレッタさまにとって、おおきな損失そんしつになるかと」

損失そんしつ? べつわたしそんなんてしないよ?」

「いえ、リグレッタ殿どの。ベルザーク殿どのっていることはもっともだとおもいます」


 そうったのは、カルミアさんだ。

 わたしだれかに万能薬ばんのうやくつくかたおしえたら、どうしてそんすることになるんだろう?


「リグレッタさま。あなたさまっている叡知えいちは、もりそとにおいて莫大ばくだいとみきずけるほどの価値かちがあります。それを、そのように安売やすうりすることは、いかがなものかと」


 あぁ。そういうコトね。

 つまり、万能薬ばんのうやくつくかた独占どくせんしてものにすれば、おかねかせげるってことだね。

 でも、必要ひつようないかなぁ。


私以外わたしいがいにも万能薬ばんのうやくつくれるひとがもっといたほうが、いとおもうんだけどなぁ。だってそのほうが、必要ひつようとき必要ひつようぶん準備じゅんびできるでしょ?」

「それはそうですが」


 まだ納得なっとくしてくれてなさそうだね。

 まぁ、べつにいいけど。

 今日きょうはなしいてておもったけど、もしかしておかねって結構けっこう面倒めんどうなモノなんじゃないかな?


 便利べんりではあるんだろうけど、不平等ふびょうどうだし、こわ側面そくめんもあるよね。

 あ、これがとうさんのってた、らく選択せんたくだったりするのかな?


 そうかんがえると、謝罪しゃざいわりになるってうのも、なんとなくかったがするよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ