表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/208

第52話 風の道

つめたっ!!」

 フカフカのベッドで心地ここちよくてたわたしは、首筋くびすじはしするど感触かんしょくで、ましました。


 天井てんじょう付近ふきんを、1ほんのスプーンがたのしそうにおどってるよ。

 たしかに、みんな寝静ねしずまったらこしてねっておねがいしてたけど、こしかた意地悪いじわるじゃないかな。


「ふぁ~。まぁいいや。ばっちりめたことだしね」

 今回こんかいばかりは、おとがしにしてあげよう。

 でも、ちゃんとスポンジにあらってもらうんだよ。


 そんなわたし意図いと理解りかいするように、スプーンはキッチンのほうかってってきます。


 そろそろわたしも、かける準備じゅんびをしなくちゃだね。

「コートとマフラーと手袋てぶくろと、ニットぼうかぶっておこうかな。あ、それと、腹巻はらまきもしておいたほういかもだね。きっと、そとさむいからなぁ~」


 おまけに靴下くつした二重にじゅうきながら、私は意識いしき王都おうとアゲルにける。


 解放者リリーサーとしてきてた私は、集中しゅうちゅうすれば、ものたましいとおくからかんじることができるのです。

 ボンヤリとしたもやみたいなものが、えるってかんじだね。


 それ自体じたいは、まえからってたことだけど、最近さいきんあたらしく気付きづいたことがあるんだよね。


 それは、私自身わたしじしんたましいを、ほかたましい明確めいかく見分みわけることができること。

 もりときは、そんなことなかったんだけどなぁ。

 もしかしてわたし成長せいちょうしちゃってる!?


「これもハナちゃんにおしえたら、めてくれるかなぁ~。って、ダメダメ。いまはそんなことをかんがえてる場合ばあいじゃないんだよ」


 調子ちょうしっちゃうと、すぐに失敗しっぱいしちゃうからね。

 それよりもいまは、王都おうとアゲルにえるしろわたしたましいを、いかけなくちゃ。


 しずかにドアをけて、廊下ろうかる。

 うん。

 2人ともちゃんとねむってるみたいだね。

 このまま、バレないようにまちかいましょう。


 ホントは、カルミアさんと一緒いっしょこうとおもってたけど。

 今日きょうのペンドルトンさんの様子ようすたら、ひとりでくべきだとおもいました。


「ベルザークさん、ハナちゃんのことたのんだからねっ!」


 小声こごえで、勝手かって約束やくそくわしたわたしは、そのままテラスにた。

 ハナちゃんごうってきたいところだけど、速度そくどがあんまりないから、バレちゃうかな。


「やっぱり、シルフィードをつくるのがさそうだね」

 丁度ちょうど今夜こんやつめたいかぜいてるし。都合つごうさそうです。


 こうして2日連続(れんぞく)でシルフィードをつくることになるとはおもってなかったけど、まぁ、練習れんしゅうにはもってこいだ。


 右手みぎてあつめたかぜでシルフィードをつくる。

 そのままテラスからったわたしは、まずまち上空じょうくうかった。


 そこからなら、リーフちゃんをつけやすいからね。


「あ、いた。あそこだね」

 王都おうとアゲルの北西ほくせい

 そこにある薄暗うすぐらかんじのとおりに、リーフちゃんはるみたい。

 でも、なんか、ちょっとへんだね。


「もしかして、地下ちか洞窟どうくつでもあるのかな?」

 建物たてものならんでるとおりより、さらにふか場所ばしょに、リーフちゃん以外いがいにも複数ふくすうたましいえる。


「もし洞窟どうくつなら、ぐちさがさなくちゃだね。ちょっと時間じかんかるかなぁ?」

 こういうときこそ、じゅつたよるべきだよね。


「シルフィードちゃん。ちょっとまちなかびまわって、情報じょうほうあつめててくれる? それと、っぱもはこんできてくれるとたすかるな」


 指示しじけて、わたし右手みぎて渦巻うずまいてたかぜなかから、一陣いちじん旋風つむじが、まちりてった。


 それからすこってると、大量たいりょうっぱがあつまりはじめる。

 そんなっぱに協力きょうりょくあおいだわたしは、沢山たくさんのリーフちゃんをまちはなった。


 ごめん。

 明日あした朝起あさおきたとき掃除そうじ大変たいへんかもしれない。

 なるべくかたづけておくけど、完璧かんぺきむずかしいからね。


 しばらくってると、さっきりてった旋風つむじもどってくる。


「お、もどってたってことは、まかせていかな?」

 なにわず、わたし足元あしもとかう旋風つむじ

 準備じゅんびできてるみたいだね。


「よし、それじゃあシルフィード。まかせたよっ」

 わたし宣言せんげんすると同時どうじに、右手みぎてうずるうちに巨大きょだいになってく。


 わたし完全かんぜんつつんだかぜうず

 そのまま急降下きゅうこうかはじめたうずに、まかせるしかないよね。


 これぞ、風の道(ウインドロード)

 たしか『ひでんのしょ』5冊目さつめの40ページにかれてた、便利べんりじゅつ


 わたしはあんまり使つかったことないけど、とうさんがりで使つかってるのを、何回なんかいたことあるよ。

 かあさんがうには、移動いどう使つかじゅつなんだとか。


 りに使つかとうさんは、ちょっとへんだったのかもね。

 かくいうわたしは、移動いどう使つかっているわけです。


 このじゅつは、シルフィードがあらかじめ設定せっていした場所ばしょまで、あっというはこんでくれるというもの。

 移動いどうする速度そくどはやくて、まわりのひとからはほとんどえないって、説明せつめいかれてたのをおぼえてる。


 ふゆ使つかうと、かぜつめたくてさむいんだけどね。

 ちなみになつ使つかうと、すごく快適かいてきだよっ。

 えへへ。とうさんに、何回なんかいもおねだりしたっけ。


 それはさておき、けるべきは着地ちゃくちだからねっ!!


 唐突とうとつ途切とぎれる風の道(ウインドロード)

 一気いっきひろがる視界しかい確認かくにんしたわたしは、咄嗟とっさった。


 なんて。

 そんな上手うまくわけないよね。

 そもそも、した時点じてん天地てんちがひっくりかえってたら、なんてれるわけないジャン。


 結果的けっかてきに、沢山たくさんのリーフちゃんがめてくれなかったら、あやうくかべ全身ぜんしんけるところだったよ。

 ありがとう、リーフちゃん。


「うっ……それにしても、くらくてくさ場所ばしょだね……どこだろ、ここ」

 まえうしろにひろがってるのは、なが洞窟どうくつ

 でも、自然しぜん洞窟どうくつじゃないみたい。

 だって、かべ天井てんじょうゆかも、建物たてものおなじようないしつくられてるから。


 洞窟どうくつなかを、沢山たくさんみずながれてるから、水路すいろかな?


「とりあえず、すすんでみよう」

 まえほうえるリーフちゃんのたましい

 そこにかえば、なにかがわかるかもしれないよね。


 やっぱり、ほかにもだれかがいるみたいだし。

 なんでだろ、ちょっとワクワクしてきちゃった。


くさくなかったら、明日あしたハナちゃんと一緒いっしょ探検たんけんしたかったけどなぁ~」

 ついでだから、においの原因げんいん調しらべておこうかな。

 くさいのはだれだって、いやだもんねぇ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ