表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/208

第36話 いいアイデア

 あたらしいいえ名前なまえが、ネリネに決まってから、私達は本格的ほんかくてきいえづくりに着手ちゃくしゅはじめました。


 まぁ、実際じっさい作業さぎょうをしてくれるのは、建築の術(アーキテクチャ)だけどね。

 ゴーレムたち量産りょうさんしてくれた丸太まるた沢山たくさんあったから、今回こんかいは20たい建築の術(アーキテクチャ)準備じゅんびできたんだよ。


 木彫きぼりの人形にんぎょうつくるのに手間取てまどるかと思ってたけど、ハナちゃんが大活躍だいかつやくしたんだよね。


 私のマネをして、小さなナイフで人形にんぎょうつくはじめたハナちゃん。

 が付いた時には、私よりも上手じょうず木彫きぼりの人形にんぎょうれるようになってたんだから。

 なんだか、彼女の成長せいちょうを見た気がして、ちょっとだけなみだが出そうになっちゃったよ。

 ちょっとだけだよ?


 そうしてつくり上げた人形にんぎょうたちが、今まで丸太まるたつくってたゴーレムたちに、いえづくりの指示しじを出しはじめたんだよね。

 だからためしに、ゴーレムたち命令めいれい上書うわがきしてみたんだ。


 そしたら、ゴーレム達が指示しじどおりにはたらはじめてさ。

 そこからはかなりはやかったね。

 いえりそうな土台どだいはじめたのが初日しょにち


 数日すうじつうちには、土台どだいげちゃって、次にはじまったのがいえ枠組わくぐづくりだね。


 ふゆもりの中にトンカントンカンと、かわいたおとひびわたる。

 キッチンのまどからそんな工事こうじ様子ようすてた私達は、あらかじめかんがえてた願望がんぼうを、建築の術(アーキテクチャ)つたえたのです。


 徐々(じょじょ)み上がっていくネリネ。


 そして今日きょう

 最後さいごのこった作業さぎょうを、私は今からはじめようとしています。


「おぉぉ……。おっきいね!!」

「うん。まさか、5かいてになるなんて思ってなかったよね」

「ははは。リグレッタさま屋内おくない菜園さいえん原因げんいんなのではないですか?」

「だ、だって! ふゆあいだ野菜やさいれたら、最高さいこうでしょ!?」

「それはそうなのですが」

「それに、ベルザークさんだって、鍛練室たんれんしつつくってたじゃん」

「どうかんがえても必要ひつようでしょう?」

「いや、らないよ。そと鍛練たんれんしなよ」

「ふふふ。今更いまさらおそいですよ、リグレッタさま

「ぬぐぐ」


 そのとおりだけどっ!

 なんかムカつくなぁ。

 ベルザークさんが鍛練室たんれんしつつくろうっていだした時、なんかテンション上がっちゃってて、いきおいで許可きょかしちゃったんだよねぇ。


 なんで許可きょかしたかなぁ、わたし

 一応いちおう、ハナちゃんも使つかいそうだから、良しとしようかなぁ。


「リッタ。やらないの?」

「え? 鍛練たんれんはしないよ?」

「ううん。鍛練たんれんじゃなくて。おうちつくらないの?」


 しろいききながら、私を見上みあげてるハナちゃん。

 そうだった、今はこんなくだらないことで言いあらそってる場合ばあいじゃないじゃん。


 ゆきこそってないけど、今日きょうもいつものようにさむいんだから。

 ハナちゃんも、はやあたらしいおうちに入りたいよね。


「うん。作ろう。2人とも、準備じゅんびは良い?」

「えぇ。私はいつでも、大丈夫です」

「ハナもだいじょぶだよっ!」


 私のごえに合わせて、家の土台どだいまでけて行った2人が、そう返事へんじをしてくる。

 そんな返事へんじいて、私はそのにしゃがみみ、両手りょうて地面じめんえた。


 イメージは、大きなクマさん。

 背中せなかに私たちのいえせてあるく、大きなクマさん。


 そんなクマさんを、地面じめんの中の巨大きょだいいわつくげる事こそが、私のお仕事しごとなのですっ。


 もちろん、いわ1つじゃいえ背負せおうことなんてできないから、沢山たくさんいわつなわせて、大きなクマさんをイメージだね。

 今日きょうまで、何回なんかいも小さなクマさんで練習れんしゅうしたから、大丈夫だいじょうぶなハズ!

 ううん。成功せいこうさせなくちゃダメなんだ!


「ハナちゃん! ベルザークさん!! そろそろだから! 準備じゅんびしてね!!」


 地面じめんの中でつくり上げたおおきなクマさんを、地面じめんうえ土台どだいの下にこしていく。

 足元あしもと地面じめんこまかく振動しんどうはじめたのが、上手うまくいってる証拠しょうこだよね?


 そしてついに、クマさんが地面じめんからかおした瞬間しゅんかん

 ねらさだめていたエントさんによって、からめとられたのです。


 うん。予定よていどおりだね。

 あとは、クマさんをつたって、土台どだい首輪くびわこしベルトに固定こていしてあげれば、完成かんせいだよ!!


「よ~~し!! みんなっ! ひっぱれぇ~!!」

「ここが正念場しょうねんばですね!!」

「え~い!!」


 おおきなクマさんをかこんでるエントさんたち一緒いっしょに、ハナちゃんとベルザークさんもつたってる。


 こう見ると、みんなでクマさんをイジメてるように見えるけど、そうじゃないんだよ。

 そもそもクマさんは、私の指示しじけてうごいてるんだからね。


 あくまでも、クマさんが自力じりきいえ背負せおえないから、手伝てつだっているのです。

 クマさんの背中せなかには、いえ土台どだいがぴったりとハマるくぼみも作ってるし、固定こていさえできちゃえば、良いんだよね。


 今がさむふゆだってことをわすれるくらい、私達わたしたち全力ぜんりょくつたった。

 そうしてようやく、私達のあたらしいおうち『ネリネ』が完成かんせいしたのです。


「やったぁぁぁ!!」

「できましたね」

「ネリネッ!! 出来できたよ!! リッタァ!! はやくなかに入りたい!!」

「そうだね。でも、ちょっと待ってねハナちゃん」


 うれしさのあまり、ピョンピョンねてるハナちゃん。

 そんな彼女かのじょかせながら、私は元々(もともと)いえかってこえけた。


「ほら、みんな。お引越ひっこしだよ!!」

 そう言ってすぐに、私はリーフちゃんのうたを口ずさむ。


 ううん。

 このうたはもう、リーフちゃんのうたじゃないかもだね。

 だって、木のだけじゃなくて、大きな丸太まるたまで、おどってるんだから。


 ベッドシーツとか本とかほうきとか、いえにあった家具かぐたちがあたらしいいえかってんでく中。

 あらかじめ家のわきいてた丸太まるたたちが、かびはじめる。


 そんな丸太まるた一緒いっしょに、もともとんでたいえちゅうかび上がり、『ネリネ』の4かい部分ぶぶんの上にっかった。


「ははは。まさか、もともとんでたいえを丸ごと、5かい部分ぶぶんせるなんて、かんがえもしませんでしたよ」

「そう? でも、いいアイデアでしょ?」

「うん! いいアイデアだよっ!!」

「そうですね。良いアイデアです」


 あたらしいいえしたあと、今までんでたおもい出のいえいてきぼりにするのは、なんかさみしいよね?


 それにさ、これは私の勝手かっておもみなんだけど、ネリネって名前なまえは、ずっと一緒いっしょんでたあのおうちが、私に向けてはっしたメッセージなんじゃないかって、思っちゃったんだ。


 だとしたら……。

『またう日をたのしみに』なんて。

 そんなの、おわかれみたいでさみしいジャン。


いて行ったりしないからね。おわかれじゃないんだから。私達は、この家で沢山たくさんの人にいにくんだよ」

「そうですね。まさに、ミートホームですっ!」

「ミート……おにくのおうち!?」

ちがうよぉ! ネリネだよっ! もう、ベルザークさん、ワザとだよね!?」


 ケラケラ笑うハナちゃんとベルザークさん。

 そんな2人の笑顔えがおのおかげかな。

 今日きょうすこしだけ、いつもよりあたたかい日になりそうながするよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ